【医師監修】妊婦さんは「馬刺し」NG!母子感染のリスクとは
体内の抗体が増えてくるのが食べてから2週間程度であるため、さらに個人差のあることを考慮し1カ月程度してから検査すると感染の有無の判別がより確実となります。
加熱すれば安心! 馬肉の栄養を妊婦が摂るための調理法
妊娠中は、おなかの赤ちゃんに鉄分を取られるため貧血になりやすく注意が必要です。貧血になると、めまいや息切れなどを起こしやすくなるため、妊娠中には特に気を付けなければいけません。さらに、重篤な貧血の発症は、血液に含まれている酸素が十分に赤ちゃんに届かなくなってしまう可能性があるので、おなかの赤ちゃんにも影響が出る可能性があります。妊婦さんのおよそ4分の1が発症する貧血を防ぐためには鉄分補給が必要です。
馬刺しには鉄分が豊富に含まれています。また、牛肉などのほかの肉類に比べて栄養価が高く、カロリーが低いうえ、低脂肪であるなど妊婦さんにとって魅力的な食品でもあるのです。妊婦さんにとって馬刺しは感染のリスクがある注意すべき食べ物です。
しかし、食べ方によっては出産などに向けた栄養補助として活用できます。馬刺しに含まれているトキソプラズマやリステリアは一定の低温や高温の環境に置かれると死滅する特徴があるため、冷凍したり加熱したりすることで食べることは可能です。たとえば、肉に含まれているトキソプラズマはマイナス20度で8時間以上冷凍すると死滅します。
一方、トキソプラズマの組織の中に存在する一定の原虫を高温により死滅させる方法が、67度以上をキープしながら1~2分加熱することです。また、リステリアについても肉の中心部の温度が75度以上となるように1分以上加熱すると死滅させられます。ただし、冷凍でも加熱でも食べられるようにはなりますが、冷凍処理は一般の家庭だと中心部まで十分に低温化させられない可能性があるため要注意です。一般的には、十分な加熱をおこなうほうが安心できる調理法となっています。
また、調理法だけではなく、調理時の馬刺しの取り扱いについても注意が必要となります。
トキソプラズマなどが含まれている馬刺しを切る際に使用した包丁やまな板などで、ほかの食材も切ったりすると、その食材にも感染してしまう可能性があるからです。特に、同じ包丁やまな板を使って切った野菜などを生のままで食べてしまうと感染リスクは高まります。