2021年4月29日 12:00
「子宮奇形、私がですか?」夫に内緒で検査したら思わぬ事実が発覚して #2
その日は何も診断が出ず、結果が出るまで1週間を待った。
翌週、結果を聞きに訪れた診察室で、予想だにしない言葉が医師の口から出た。
「片方の卵管が見えません。通りが悪すぎるから、ちゃんとしたところで調べないと」
不妊治療専門のクリニックを紹介され、卵管の造影検査をすることになった。同学会によると、子宮卵管造影検査とは、「X線による透視をしながら子宮口から造影剤を注入し、子宮の形や卵管が閉塞していないかを見る検査」のこと。
さらに子宮の形態を詳しく調べるため、総合病院で子宮のMRI検査も受けた。
1人で検査結果を聞きに行くと、医師のカルテには「不妊症」の文字。
震えた。
不妊症の原因が明らかに!思わぬ事実が発覚
説明の前から頭が真っ白になった。医師は淡々と説明した。
「普通の人は卵管が2つあって、子宮は鶏の卵くらいの大きさがあるけれど、あなたの場合は卵管が1つしかありません。子宮は半分くらいの大きさでとても小さいです。もし妊娠できたとしても、体が異物だと思って流してしまう可能性があります。
妊娠したあとも大変だから、大きな病院で診てもらってください。まずは妊娠しないと話が進まないから、不妊治療専門クリニックに紹介状を書きますね」
夏美さんの子宮は「単角単頚(たんかくたんけい)」と呼ばれる珍しい先天性の子宮奇形で、通常の半分の大きさで小さく、片側に寄っており、2つあるはずの卵管が1つしかなかった。長年悩まされた生理痛の原因でもあった。
病院の帰り道はふらふらだった。本当は誰かにしがみつき、声を出して泣きたいくらいだった。
ポケットに、飴が1粒入っていた。袋を開ける手と飴をなめる口が、小刻みに震えていた。これからどうしよう。
込み上げる涙と一緒になめた飴の甘みが、これでもかというくらい心にしみた。とりあえず夫にLINEを送った。
「家でちゃんと聞きます。
とりあえずおつかれさま」
短い文章から、夫の動揺も伝わってきた。
◇ ◇◇
夫に内緒で行った産婦人科。そして発覚した子宮奇形。