新生児低血糖とは?後遺症が残ることもある?妊娠中に気をつけることは?
低血糖になっても脂肪を分解したり、ケトン体を作れると症状がでないこともあります。脳はブドウ糖以外にケトン体もエネルギーとして使うことができるからです。
●肝臓でのグリコーゲンの貯蔵が少ない
早産児や多胎児、胎児発育不全の赤ちゃんは、正期産児に比べてからだが小さく、肝臓に蓄積されているグリコーゲンも少ない状態で生まれてきます。そのため、生まれてからの生理的な低血糖に対してグリコーゲンを分解して対応していくものの、すぐにグリコーゲンが枯渇して低血糖に陥ってしまいます。
●高インスリン血症
ママが糖尿病や妊娠糖尿病を合併していたり、切迫早産の治療で子宮収縮抑制剤を使用していたりすると、おなかの中の赤ちゃんは高血糖状態になります。すると、血糖値を下げようとインスリンの分泌が亢進した状態になります。赤ちゃんが生まれ、ママからの糖の供給が止まったあとも、インスリンの分泌が亢進した状態がつづくので、さらに血糖値が下がり、低血糖に陥ってしまいます。
●その他
上記に加え、Ⅰ型の糖尿病、ガラクトース血症、高インスリン血症などの先天代謝異常や内分泌疾患などでも低血糖に陥ることがあります。
低血糖が持続したり低血糖が繰り返される場合は注意が必要になります。
新生児低血糖の症状
新生児低血糖では、次のような症状が現れることがあります。
・元気がない
・振戦(震え)
・無呼吸や多呼吸などの呼吸異常
・活気がない
・泣き声の異常(甲高い泣き方)
・けいれん
・頻脈
・多汗
・皮膚蒼白、チアノーゼなど顔色が悪い
・おっぱいやミルクの飲みが悪い
新生児低血糖の治療方法
新生児低血糖は明確な治療の基準が定められていませんが、「血糖値<50mg/dl」が治療を開始するひとつの目安になります。治療の遅れは赤ちゃんに危険を及ぼすため、迅速に的確な診断をおこない、適切な方法で治療することが重要です。
●呼吸障害、けいれん、活気がない、頻脈など、低血糖症状がない場合
血糖値が50mg/dl未満で、授乳可能な場合は、まず授乳をおこないます。その後、血糖値が安定したら定期的に血糖値を測定しながら経過を観察します。授乳をしても血糖値が安定しない場合は、ブドウ糖液の点滴をおこないます。
●呼吸障害、けいれん、活気がない、頻脈など、低血糖症状がある場合
血糖値の値が50mg/dl未満で臨床症状が現れているときは、ブドウ糖液の注射や点滴をおこないます。