エッセイストのしまおまほさんが、今を生きるバラエティに富んだ子どもたちに出会い、話を聞き、限られた時間で彼らの本音を引っ張り出す。コドモ連載の第16回が始まります~。
第16回
一柊くん(7歳)
今回インタビューする小学生と待ち合わせたのは自宅近くにある大きな公園。夏休みに入ったばかりの子どもたちがジャブジャブ池で遊んでいる様子は、まさに芋洗い状態。
池の周りには、我が子を見守る大人たち。子どもは水浸し、大人は炎天下で汗だく。
自転車に乗ってお父さんとやってきたのは小学2年生のいっしゅうくん。今日のインタビューはピクニックスタイル。木陰を探し、敷物を広げます。すると、お父さんが籐籠から水筒とワインを出しました。
いつの間にかアウトドアチェアーも広げられています。真夏ですが木々の間を吹き抜ける風が気持ちいい。まるで森のような公園の中でお昼からワインなんて……すごく贅沢な気分です。いっしゅうくん家族は休日をこうして公園で過ごすことが多いのだそう。
植物大好き少年のたからものって?
いっしゅう:あ~チクチクするぅ~
父:どうした?
いっしゅう:これを首にこうしたら……あ~チクチク~。
いっしゅうくん、何か植物のような物を首にこすりつけていたようです。
いっしゅう:う~。
まほ:大丈夫?
いっしゅう:これ、たしか種なんだよなあ。
スズカケノキの。
まほ:スズカケノキ?
いっしゅう:うん。スズカケノキって、プラタナスのこと。首から生えてきたらどうしよ~。あ、でも傘の代わりになるからいっか。いや、養分吸われちゃうかもな~。あ~チクチクするよ~。
チクチクが止まらない、いっしゅうくんはお父さんと公園のトイレに首を洗いに行きました。
いっしゅうくん、植物が大好きな「植物博士」なんです。
いっしゅう:ただいまー。
まほ:どう?治った?
いっしゅう:なおったー!
父:どうも、すみません。
まほ:子どもって、スタートと同時に何かしらの事件起こしたりしますよね。父:(苦笑)
まほ:いや、チクチクとれてよかった。
いっしゅう:今日ね、クリスタル持ってきたよ。
まほ:クリスタル?
いっしゅう:拾ったの。宝石とかね、いっぱいある場所で。
まほ:どこ?
いっしゅう:フランス。
まほ:!!!フランス行ったんだ。
父:去年、3ヵ月滞在したんです。
まほ:3ヵ月も!フランスに!
父:いや、フランスだけじゃなく……。