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いつも子どもにイライラしてしまう。どうして子どもに怒りをぶつけてしまうのだろう。そんな風に毎日怒っている自分に悩み、夜はひとり反省会をしてしまう。
そんなママのための怒りの応急処置を前回教えていただきました。今回は、
「怒り」のメカニズムについて教えていただきます。じつは「怒り」自体は、人間ならだれもが持つ、ごく自然な感情なのです。「怒り」の本質を知れば、むやみな恐れは消えるはず! NPO法人えじそんくらぶ代表の
高山恵子さんにお話を伺いました。
■「怒り」は、悪なの?
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高山先生は、言います。
「怒りは、単なる感情のひとつで、危機や攻撃に対する、人間としての自然な反応です」。人間にとって、もっとも根源的な怒りは、「自分を傷つけるものへの怒り」。ヒトが、「獲物をとる」か「獲物になる」しかなかった原始時代には、危険に立ち向かうために怒りのエネルギーを使ってきました。
怒りを感じると、意識しなくても、脈拍や呼吸が速くなります。これは、交感神経が働いているサインで、交感神経のスイッチが入ったために、自然に体が活動に備える状態になったからです。こんなふうに、怒りは、「生きるエネルギー」そのものであり、大切な身を守る手段でもあったのです。
でも、現代では野生の猛獣と戦ったり、必死で逃げたりすることはまずありません。
私たちは怒りのエネルギーをムダ使いしてしまっていないでしょうか。
「現代では、怒りの扱い方に、工夫が必要ですよね。そこを、アンガーマネジメントという
“技術”で補完しましょう」(高山先生)
■怒りのもとにある本当の感情とは?
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ところで、怒りは一瞬で湧き上がると感じていませんか? じつはそうではないのです。「怒りのもとには、必ず
タネとなる別の感情が隠れています」(高山先生)
この感情は、感じている時間が短い上に、すぐに頭は怒りでいっぱいになるため、キャッチするのがなかなか難しく、気づきにくい感情です。
たとえば、「子どもが思い通り動いてくれず、悲しい」「想定外のことが起こって、不安だ」…。こういった怒りのもとに隠れている感情を「第一次感情」といいます。
また、「第一次感情」には、「不安」や「悲しみ」といったマイナスの感情だけではなく、「希望」や「期待」などの前向きな感情もあります。そういった感情も、簡単に怒りに変わってしまうのです。
怒りが爆発しているときは、怒りと自分が一体化しています。6秒ルール※で応急手当をしたら、第一次感情に耳を澄ませてあげましょう。こんなふうに、怒りの本質を見つめられるようになってくると、怒りは、
「怖いもの」でないと感じられるのではないでしょうか?
※
6秒ルール
怒りは6秒間でピークが治まってくるといわれています。このためこの6秒間を我慢すると、怒りを静めることができます。次のような応急手当を試してください。
・おでこに手を当てて数を数える
・水を飲む
・深呼吸をする
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<怒りは意外なところからも生まれる>
●不安
「いやだ」という拒否感や、自分の心や体が脅かされそうな不安定感から生じる感情で、怒りと仲良しです。自分を守ろうとするために、怒りを呼び覚まします
●悲しみ
自分のことを理解してもらえなかった、がっかりしたといった悲しみからも怒りは生まれます
●期待・希望
「~したい」「~になって欲しい」という期待や希望には、欲があります。期待や希望がかなわなかった時に、自分の欲が満たされないことへの怒りが生まれやすいのです
出典:『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』(高山恵子監修/講談社)より抜粋
■「怒らない」よりも「爆発させない」
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怒りは自然な感情なので、
「怒らない」ようにするのは、相当の力が必要です。怒りを、「ただ、我慢」しようとすると、怒りと我慢で二重にエネルギーを消耗し、ヘトヘトになってしまいます。
しかも、「怒るのを我慢している」ことが見てわかるぐらいなら、家族が感じるトゲトゲ感は、
「怒ったとき」とあまり変わりません。こんなふうに、「ただ、我慢」するのは、消耗するわりに、良い効果はあまりえられないのです。
「怒りを無理にねじ伏せて『怒らない』ようにするのではなく、『爆発させない』方が大切です。そのために堪忍袋を上手につかいましょう」(高山先生)
■堪忍袋を上手に使うポイント3つ
「堪忍袋を上手に使うためのキーワードは、『小さく』と『少なく』です」(高山先生)
堪忍袋の上手な使い方について、ポイントを整理してみました。
●ポイント1 怒りを拾わない
人が生活をしていれば、怒りを起こす原因は、身の周りにたくさんあります。まずは、怒りを堪忍袋にいれないことが大切ことです。
「時間があるときに、『何が自分をイラっとさせ、怒りの原因になるのか?』を考えてみます。それがわかれば、拾わないように注意できますよね?」(高山先生)
●ポイント2 怒りを大きくしない
堪忍袋の中に怒りのかんしゃく玉が入ったとしても、数が増えず、怒りそのものが大きくならなければ、堪忍袋の緒が切れることはありません。
「長期的には、これからご紹介するアンガーマネジメントの手法を使って、怒りと上手に折り合っていく技術を身につけていきましょう」(高山先生)
●ポイント3 ガス抜きをする
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「怒りを拾わない」「怒りを大きくしない」といったことができるようになると、心に余裕が出てきます。そこで、自分の好きなこと、たとえば、「アイドルのDVDを見る」、「大好きなスイーツを食べる」などして、ガス抜きができるようになれば、堪忍袋の中身は、ますます軽くなっていくことでしょう。
次回は、「もう『怒り』に振り回されない! イライラせずに子どもと向き合うには」です。アンガーマネジメントの具体的な手法を教えていただきます。
■今回のお話を伺った高山恵子さんのご著書
『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』
(高山恵子監修/講談社)¥1300円(税別)
高山恵子(たかやまけいこ)さん
NPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。
専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。
注意欠陥/多動性障害(以下、ADHD)の正しい理解の普及と、ADHDを持つ人々を支援し、ADHDを障害としてクローズアップするのではなく、豊かな個性の一つとして長所を伸ばし、弱点を克服できるよう支援する団体として「NPO法人えじそんくらぶ」を立ち上げる。
NPO法人えじそんくらぶ公式サイト:
http://www.e-club.jp/
<イベント情報>
「成人ADHD等の理解と対応」(2018年1月~6月/全6回・東京)
第1回 『アンガーマネジメント概論』怒りのメカニズムとクールダウンの方法を学び、自責・他責を減らしましょう。(2018年1月23日(火)))
「なんでできないの!」から卒業しよう。子どもの挑戦する心を育てる、失敗への対応術