ウーマンエキサイトの皆さん、こんにちは!ドイツで3歳の息子を育てている主婦のぱん田ぱん太です。わが家のひとり息子、フリッツ君は現在3歳。ドイツの幼稚園も日本と同じように3歳から入園できるので、フリッツ君は毎日、幼稚園に通っています。幼稚園に通い始めてもうすぐ半年。幼稚園でお友達もできて、今はすっかりこの生活に慣れたようですが……。幼稚園に行き始めたばかりの頃は、朝になって幼稚園に行きたくないとぐずることがしょっちゅうありました。いえ、「ぐずる」なんてものじゃありませんでした……。まず「起きる」ことから拒否。起きた後は「脱ぐ」ことを拒否。脱いだ後は「着る」ことを拒否。靴も上着も帽子も、ぜーんぶイヤ、イヤ、イヤ!! もう、何から何まで片っ端から拒否です!!それでも私は、自分で言うのもなんですが、なかなか根気強く、穏やかに靴も上着も別のものを用意して納得させ、帽子はかぶらなくていいということで妥協してもらいました。しかし、ようやくフリッツ君の準備が済み、幼稚園に行ける……と安心しながら、私自身も上着を着た瞬間です。今度は、ママの着るものが気に入らないですって……。せっかくここまで怒らずに穏やかに接してこれたのに、ここで我慢の限界が来てしまい……。まるで子供のように3歳児に言い返してしまいました……。その後は私もフリッツ君も、お互い朝からぐったり疲れきった状態で言葉少なに幼稚園へ向かい、無事に幼稚園に送り届けた後……。ひとりで反省&自己嫌悪タイムです。相手はイヤイヤ期の3歳児だと分かっているはずなのに、ムキになるなんて大人げない……。そんな反省(ザンゲ)を、お子さんが2人いる先輩ブロガーさんに聞いてもらったときでした。その先輩ブロガーさんが、こんなアドバイスをしてくれたのです。「カチンと来たら、まず6秒待つ」というシンプルなもの。6秒もたてば怒りが消えるというのです! 果たして本当なのか、その後またフリッツ君の激しいイヤイヤが来たときに実践してみました。まず「あっ!そうだ、6秒待つんだった!」と思う時点で、わりと気が逸れるのです。そして「いーち、にーい……」なんて、かくれんぼをするみたいに数を数える自分がなんだかシュールで、ちょっと面白くなってきちゃいます。ついに6秒数え終わった後……本当に怒りは消えて、冷静な自分に戻れていました!!その後は、フリッツ君にムキになって言い返すのではなく、「君だって好きで怒ってるんじゃないよね。しんどいよね」となだめる方向に自分を持っていくことができました。もちろんシチュエーションなどにもよると思いますが、この対処法、イヤイヤ期を乗りきるのにかなり有効だと思います。ぜひ皆さんも試してみてください!!
2021年08月01日現役時代はバレーボール選手として全日本に選ばれ、引退後はタレントやスポーツキャスターとして活躍中の益子直美さん。自身の経験から『監督は怒ってはいけない』をテーマにした『益子直美カップ』を主催しています。インタビュー後編では、益子カップを通じて感じた、指導者や保護者の変化についてうかがいました。(取材・文:鈴木智之)指導者、保護者がポジティブな言葉をかけることで試合の雰囲気も良くなるのです(写真は益子直美カップ小学生バレーボール大会Facebookより)<<前編:昭和の高圧的な指導から脱却すべき。益子直美さんが「監督が怒ってはいけない」大会を開催する理由子どものサッカーに関わる保護者のみなさんに、大切にしてほしい"親の心得"10か条>>■高圧的な指導を受ける中で、自分で考えることをしなくなった学生時代は指導者の高圧的な指導が原因で、「自分で考えることをしなくなった」「バレーを楽しいと思ったことは一度もなかった」と話す益子さん。そのような経験をする子どもをなくしたいという想いから、『監督は怒ってはいけない』というルールのもとで運営される、益子直美カップを主催しています。大会を通じて様々な指導者と接する中で、参加者の意識の変化を感じることも増えてきたようです。「ある監督さんは『怒ってはいけない』というルールのもとで、子どもたちに何と声をかけていいかがわからず『タイムアウトをとったけど、何も言葉が出てこなかった』とおっしゃっていました。私が『普段はどのような声をかけているのですか?』と尋ねたら『なんでミスをしたんだ』『もっと気合を入れろ』など、怒りをベースとした声掛けをしていたそうなんです」■「監督が怒ってはいけない」大会で指導者自身にも気づきが生まれる益子カップのルールによって、普段通りの接し方ができなくなった指導者は、指導を見直す必要性に迫られました。「その方は大ベテランの指導者だったのですが、『試合の後に、どんな声をかけたらいいですか?』と私に聞いて来られました。そこで『先生は、子どもたちにどうなってほしいですか?』と質問をしたら『次はもっとがんばりたい、勝ちたい気持ちになってほしい』とおっしゃいました」益子さんはその監督と対話を続けることで、「子どもたちのモチベーションを上げる言葉をかければいいんだ」という考えを引き出し、最終的には「試合の中では、できたところ、良いところもたくさんあった。そこを見て、褒めてあげれば良かった」という視点を導き出したそうです。「その指導者の方には『試合に負けたときほど、ポジティブなフィードバックをしてあげると良いのではないですか?』 と、お話をさせてもらいました。指導者のみなさんは、子どもたちを良くしたい、もっと上手くしたいという気持ちと情熱を持って、指導をしています。そこで、怒りという手段でしか気持ちを伝えたり、指導をすることができないのはもったいないですよね」■怒らずにどんな声掛けをすればいいのか、まで踏み込むさらに、こう続けます。「70歳近い、大ベテランの指導者が怒らないことにチャレンジしてくれて、頭を下げて『どんな声をかければいいですか?』と聞いてくれたことは感動的でした。益子カップを続けてきて良かったなと思いました」益子カップでは、大会の合間に選手、指導者、保護者を集めて、セミナーを開催しています。そこでは、スポーツメンタルコーチの資格を持つ益子さんが話をしたり、スポーツ選手に向けて、ポジティブな言葉をかける『ペップトーク』の講演を開催(先生をよんで)したりと、「怒らないこと」だけを伝えるのではなく、「怒らずに、どんな声掛けをすればいいのか?」まで踏み込んだアプローチをしています。「益子カップは『子どもたちに、楽しいスポーツの場を』がコンセプトなのですが、それに付随して、指導者に気づきを与えることができればと思っています。私はアンガーマネージメントの勉強もしてるので、『怒りとは何か』『怒りっぽい人は、言葉のボキャブラリーが少ない』といったように、『なぜ怒るのか?』を理解してもらえるような取り組みもしています」■保護者は子どもたちが話しやすい環境を作ってあげてほしいペップトークのセミナーをした後のコートでは、保護者が積極的にポジティブな言葉を使い始め、それが子どもたちに伝播し、良い雰囲気の中で試合が行われていったそうです。このように、子どもたちの成長のためには、指導者だけでなく、保護者の関わりも重要です。「保護者の方は、最初から頭ごなしに否定するのではなく、子どもたちが話しやすい環境を作ってあげてほしいと思います。私が子どもの頃はとくにそうでしたが、考える機会を与えられず、ああしろ、こうしろ、これやっちゃだめ、そこに行ってはいけないと、禁止事項で育ってきました。バレーも同じで、自分で判断して何かを決めるということが、ほとんどありませんでした。『買い食い禁止』と言われても、なんで禁止なのか、理由を考えることもなく、『ルールだからダメ』と従っていました。それでは自主性も主体性も生まれませんよね」■なんでも管理しルールで縛ることは、成長の機会を奪いかねない子どもたちに『考える力』をつけさせるためには、答えを言ってやらせるのではなく、まずは子ども自身の考えのもとにやらせてみて、だめだったらどこを改善すればいいかを考えて、またチャレンジする。その繰り返しが必要です。「部活でSNSを禁止されているところもありますが、コロナ禍で大学や企業のリクルーターさんはスカウトができないので、SNSを通じてコンタクトをとることもあります。SNSは上手に使えばプラスに働くのに、『SNS禁止』と、大人の考えでただ禁止されているところも多いです。そこは子どもたちに判断させる機会を作ってあげてほしいですし、何でも管理し、ルールで縛ることは、人として成長する機会を奪うことにもなりかねないと思います」■サカイク10か条に共感。バレー界でも......サカイクでは『子どもが心からサッカーを楽しむための10箇条』を掲げています。根底にあるのは「長い目で見て、子どもの成長を見守ること」です。益子さんはサカイク10箇条について、次のように話してくれました。「子どもの気持ちを一番に考えるところに感動しました。これを参考に、バレー界でも作ってみてもいいのかなと思います。海外にもこのような標語はたくさんあるので、参考にさせてもらっていますし、益子直美カップでも取り入れてみたいです」スポーツメンタルコーチとしても活動し、指導現場に入る中で「高圧的な指導で結果を出してきたという、成功体験を持っている人たちの考えを変えるには、時間が必要」と感じている益子さん。「変化には痛みを伴いますが、時間をかけてわかってもらえれば」と考え、日々、取り組んでいます。サカイクも、益子さんの今後の活動に注目していきたいと思います。益子直美(ますこなおみ)東京都生まれ。中学入学と同時にバレーボールを始め、高校は地元の共栄学園に進学。春高バレーで準優勝し、3年生の時に全日本メンバー入り。1980年代後半から1990年代前半の女子バレーボール界を席巻した。卒業後はイトーヨーカドーに入団。全日本メンバーとして世界選手権2回、W杯に出場。現在はタレント、スポーツキャスターなど幅広く活動中。2019年にはどうしたら怒りや感情をコントロールできるのかを学ぶ「アンガーマネジメント」の資格を取得し、益子直美カップなどでも指導者に向け講習会を開催している。子どものサッカーに関わる保護者のみなさんに、大切にしてほしい"親の心得"10か条>>
2021年05月18日3種類のゲームで学習『みんなの怒りスイッチをさがせ!ゲームで身につくアンガーマネジメント』学校や日常生活の中で人と関わる場面を取り扱った60枚の『怒りのできごとカード』を使った、『怒りの温度当てゲーム』『3重丸ゲーム』『こんなときどうする?ゲーム』の3種類のゲームで遊びながらアンガーマネジメントの方法について学習していくことができます。『怒りの温度計カード』、そのできごとを自分が許せるどうかを視覚化する『3重丸シート』、『こんなときどうする?箱』など、場面にあった自分や他人の怒りを具体的に分析できるツールも用意されています。自分の怒りの度合いに気づくこと、人との感じ方の違いに気づくこと、そして怒りを感じる場面でどうしたらいいのかを考えることと、アンガーマネジメントを身につけるために必要な要素を総合的に学べる教材です。シングルマザーの著者の実体験を綴った『うちの子、へん?発達障害・知的障害の子と生きる』シングルマザーの著者、知的障害がある息子「ぽんちゃん」、ぽんちゃんの姉のみいちゃんの3人の家族のエピソードが漫画で描かれています。ぽんちゃんに障害があると知り母は絶望しますが、それでも持ち前の愛嬌で言葉がなくても誰とでもすぐに仲良くなりみんなに愛されるぽんちゃんを見て前向きに過ごしていきます。そしてそんな母やぽんちゃんを見て育つ、お世話好きな姉みいちゃんの頼もしい様子にも心がほっこりして、読んでいて元気が湧いてきます。間に挟まるコラム部分では、障害児を育てるにあたって知っておきたいことが解説され、また巻末には日常生活で活用できる絵カード『準備カード・きもちカード』もついていて、ぽんちゃんと家族の前向きな日々に触れながら、ご自身の子どもとの関わりにも役立てられる一冊です。女性ならではの困りごとを具体的に解説『こころのクスリBOOKS よくわかる女性のADHD 注意欠如・多動症』遅刻や忘れもの、うっかりミス、衝動買いなど、ADHDのある人の困りごとについて取り上げ、中でも女性ならではの困りごとに焦点をあてて解決方法を紹介する書籍です。仕事や家事で使えるライフハック術の提案や忘れもの防止策から、『いい恋愛をするために』『夫との関係を平和に保つには』『子育てが苦手と感じたら』など女性の視点にたってピックアップされた困りごとまでを取り扱っています。例えば『時間の管理』に関する困りごとは、『専業主婦で子どもがいない場合』『子ども0歳代の育休中の場合』などライフスタイルごとに生活の枠組みを提案するなど、女性の生活に寄り添いながらより実現可能な対策を考えられるよう工夫されているので、いろいろなライフハック術をうまく機能させられないという方にも手にとっていただきたい書籍です。イラストつきで関わり方のポイントがわかりやすい『保育園・幼稚園のちょっと気になる子』保育園・幼稚園にいる『ちょっと気になる子』――みんなが過ごしやすくなるための「目で見て分かる支援」や「分かりやすい話し方」など、関わり方の工夫が解説されています。「こんなときどうすればいい?」の章では、園生活の中での外遊び、自由遊び、登園渋りなど、さまざま場面での"ちょっと気になる"行動が取り上げられており、保育者も保護者も子どもの行動について考えるヒントを得られそう。たくさんの工夫、関わり方のポイントが詰まったこの本では、子どもの過ごす場所は成長とともに変わっていくことを踏まえて、園生活だけでなく就学後の生活の見通しについても触れられています。子どもが安心して過ごせるための丁寧な関わりをこの本を通して考えたいですね。子育て×科学!?『科学的に考える子育て エビデンスに基づく10の真実』子育てに関する疑問に対して、科学的な視点から回答しているこの本、目次に並ぶ10の真実も『結局、「叱る」は大人の負け』『ほめるのはタダだが、技術が必要』『「学校は社会の縮図」ではない』など気になるものばかりです。科学的なエビデンスのある内容が記載されているので、例えば「ほめる」という行動についても、どのようなほめ方が・なぜ良いのか・ほめることが持つ機能とは...など解説が非常に具体的で読んでいて納得感があります。"科学"というと難しいように感じますが、イラストも交えたシンプルで分かりやすい説明で、サクサク読み進めることができますよ。苦しんだ子ども時代から、話せるようになったあとの苦労までーー『かんもくの声』家では元気でよく話すのに、学校では話せない――そんな子ども時代を経て27歳になった著者は、インターネットで偶然『場面緘黙症』という言葉に出会い、「この悩みは世界で自分だけのものではなかった」と大きな衝撃を受けたそう。そこから場面緘黙症について調べ、同じ経験をしている人たちと出会い、人生を通して場面緘黙について考えていきます。話せないことで苦しんでいた子ども時代だけではなく、話せるようになったあとの苦労についても書かれており、場面緘黙が「治る」とはどういうことかについても著者の考えが綴られています。話せる・話せないという表出している状態のみではなく、内面的な部分も含めて知ることができる書籍です。
2020年03月31日サッカークラブや各種スポーツ団体を対象に「スポーツマンのこころ」と銘打つ講義で、一流アスリートになるための心得を伝え続ける岐阜協立大学経営学部教授の高橋正紀先生。ドイツ・ケルン体育大学留学時代から十数年かけ、独自のメソッドを構築してきました。聴講者はすでに6万人超。その多くが、成長するために必要なメンタルの本質を理解したと実感しています。高橋先生はまた、「スポーツマンのこころ」の効果を数値化し証明したスポーツ精神医学の論文で医学博士号を取得しています。いわば、医学の世界で証明された、世界と戦える「こころの育成法」なのです。日本では今、「サッカーを楽しませてと言われるが、それだけで強くなるのか」と不安を覚えたり、「サッカーは教えられるが、精神的な部分を育てるのが難しい」と悩む指導者は少なくありません。根性論が通用しなくなった時代、子どもたちの「こころの成長ベクトル」をどこへ、どのように伸ばすか。「こころを育てる」たくさんのヒントがここにあります。(監修/高橋正紀構成・文/「スポーツマンのこころ推進委員会」)<<前回|連載一覧>>(写真は少年サッカーのイメージです)■トップ選手だった益子直美さんが「怒らない指導」をする意義バレーボール女子日本代表だった益子直美さんが、「監督は選手を怒ってはいけない」という小学生の大会を長年開催しています。昨年サカイクでも紹介されていたので、みなさんはよくご存知だと思います。彼女の取り組みは、最近テレビでも取り上げられていました。「そこ、もっと足動かして!」などと何度も強い口調で選手にげきを飛ばしていた監督さんは、益子さんから「いま、怒りましたね」と言われ、✕入りのマスクをつけさせられます。ご本人は「いや、アドバイスなんだけど」と頭をかいています。元代表選手がこのような活動をするのはとてもいいことです。多くの元オリンピアンは、自分たちが暴力や暴言で圧迫されたから成功したと感じているので、昨今の暴力根絶の動きには懐疑的です。「厳しくしないと勝てないだろう」と思っています。ですが、益子さんたちは「それはやめましょう」と呼びかけている。成功した彼女、彼らが発言してもらえると、非常に説得力があります。私が期待していた切り口です。それに、コーチたちは、指摘されるのが益子さんだから耳を傾けるのだろうなあと思います。これが、同じ地域の怒鳴らないコーチや、見ず知らずの私だったらリアクションは違うかもしれません。■暴言続きの明石市長に見る事例「大義」がないから変われないところで、益子さんのバレーボール大会が注目されるフックになったのは、兵庫県明石市の市長がパワハラを行ったことが明るみになったからです。この方は以前、道路の拡幅工事のために立ち退きを説得していた職員が怠慢だったと怒り「火をつけてこい」などと叱りつけ、問題になりました。それが今年になって、口論になった市議に「議員辞めてまえ」などとまたもや暴言を吐いたのです。市長は会見で「前回のこと(パワハラ騒動)があって、アンガーマネージメントの講習を受けるなど自分でも努力してきた」と自身もキレる自分と向き合ってきたのだと釈明していました。アンガーマネージメントの講習は、教育現場での暴力や暴言が問題視されるようになって以降中学や高校の教員はたびたび受ける研修であり、私もだいたいの内容はよくわかっています。それを聞いて、なるほど、だからまたキレてしまったのかと納得がいきました。なぜなら、市長は「アンガーマネージメント」という方法論に頼るだけで、自分の中に「大義」がないように見えます。簡単に言えば「暴言は我慢しよう」にとどまっている。根っこから自分を変えていないため、我慢できなくなったら、またキレてしまいます。対処療法では生まれ変われません。「私は行政のリーダーとして、こうあろう」「こんなリーダーが理想の姿だ」とか、もっといえば「自分は他者に対してこうあろう」といった、それまでの自分と真逆の自分を目指す。そうすると、根っこが変わるので、咲く花も変わりますね。そういった行動はベクトルがとてもポジティブです。逆に「切れてはダメだから我慢しよう」「抑えよう」といった思考はネガティブです。根っこが変わらない。私は、彼は自分に大義をもたなければ変わるのは非常に難しいと思います。方法論を学ぶのは一定の抑止力になるかもしれませんが、方法論だけでは表面的には分かりにくい別のやり方でやる方向にいく危険性があります。このことは、少年サッカーの指導者のみなさんも同様です。「もう手を挙げられなくなった。言葉で怒るのもダメなら、どう指導していいかわからない」「そういう時代だと言うことはわかるけど、100%納得できない」そんな声はいまだに聞こえてきます。自分たちは叩かれて立派に育った、という自負があります。逆にほめて伸ばすだけでこの子達はちゃんと育つのか?と不安に思っているようです。なぜなら、ほめて伸ばされて立派に育った大人をまだ大量に見ていないからです。■教え子は久保建英レベルじゃないから怒らないと伸びない?(写真は少年サッカーのイメージです)例えば、久保建英選手は怒られて育っていないというのはみなさん十分わかっている。でも、いま目の前にいる自分が教える選手は久保君のような才能はないから、怒ってやらせないと伸びないと思っていないでしょうか。ぜひ今までとは違う指導の仕方を探してほしいと思います。が、そのためには哲学を持たなくてはいけません。なぜ自分はサッカーコーチをしているのか。そこを自問自答してほしいと思います。加えて、これから、どんなサッカー選手を育てるべきかを考えます。そう考えると「自己決定できる選手」「自分磨きをできる選手」「主体的に取り組める選手」といった姿がイメージできます。であれば、暴言を吐くコーチのもとで、そんな選手が育つでしょうか。コーチが怖くて、みんな委縮している。怖いから走る。それは外発的な動機付けなので、確かな成長にはつながりません。子育ても同じですね。「○○ママの子育て」といった書籍は多いですが、それも方法論です。だれかが成功したやり方を真似しようとしても対象になる子どもは違う人物です。「自分はどう育てたいか」「どんな大人になってほしいか」といった大義が抜けていては、うまくいきません。ぜひ「大義は何か」を突き詰めてください。考え終わったときは、怒ることに意味がないことに気づくでしょう。<<前回|連載一覧>>高橋正紀(たかはし・まさのり)1963年、神奈川県出身。筑波大学体育専門学群ではサッカー部。同大学大学院でスポーツ哲学を専攻。ドイツ国立ケルンスポーツ大学大学院留学中に考察を開始した「スポーツマンのこころ」の有効性をスポーツ精神医学領域の研究で実証し、医学博士号を取得。岐阜協立大学経営学部教授及び副学長を務めながら、講演等を継続。聴講者はのべ5万人に及ぶ。同大サッカー部総監督でもあり、Jリーガーを輩出している。Jリーグマッチコミッショナー、岐阜県サッカー協会インストラクター、NPO法人バルシューレジャパン理事等を務める。主な資格は、日本サッカー協会公認A級コーチ、レクリエーションインストラクター、障害者スポーツ指導員中級など。
2020年01月30日「ベビーカーを押していたら『邪魔だな』と知らない人に怒鳴られた」「夫に『専業主婦は楽でいいよな』と言われた」「義母が予告なく訪問してきて、子どもが昼寝できなかった」そんな日々の「あるある」で怒ったり落ち込んだりした時、皆さんはどう感情をコントロールしていますか?そういった負の感情にとらわれて、なかなか気持ちを切り替えられない場合、周りに嫌な空気を巻き散らしたり、ついつい子どもや夫に八つ当たりしてしまうこともあるでしょう。怒りや落ち込みを引きずらないためには、どうすればいいのでしょうか。■怒りや落ち込みなど負の感情はどこから生まれる?実は、怒りや落ち込みという感情は、誰かに怒られるといった「自分以外の何かが引き起こす」ために生まれるものではありません。怒りという感情は突きつめていくと、「相手が自分のことをわかってくれない」という失望が引き起こすものです。一方、落ち込むという感情は「自分はダメでデキない人間だ。価値がない」という思い込みが強くなり、自己肯定感の低下や自己無力感が引き起こすもの。「理解してほしい」という希望や「自分はダメだ」という思い込みなど、自分の中から生まれる感情が怒りや落ち込みを引き起こしているのです。負の感情は、ほかからの働きかけではなく、自分の中から生まれてくるものだと早く気づければ、ダラダラと長く引きずることはなくなります。しかし、怒りや落ち込みの感情にとらわれている最中は、冷静な判断ができず、なかなか自分で気づくのは難しいでしょう。そんな時に活用してほしい怒りの鎮め方、アンガーマネジメントの方法をご紹介しましょう。■ステップ1:怒りや落ち込みの感情を2つの方法でコントロールするまず、自分が怒りや落ち込みの感情にとらわれ、冷静さを失っていると感じたら、次の2つをやってみましょう。1.ひとりになる。2.深呼吸する。まずは、自分自身に向き合うために、別部屋に移動する、トイレに入るなどしてひとりになりましょう。それから、大きく深呼吸をするのです。怒りや落ち込みを感じている時は、自律神経のうち交感神経が優勢になりノルアドレナリン(激しい感情などで出る交感神経の情報伝達物質)が放出されます。それを抑えて体を回復させる状態、つまり心を平静に保つ副交感神経を優勢にするためには、深呼吸をしたり、トリプトファン(心の安定を保つ情報伝達物質セロトニンを増加する効果がある必須アミノ酸)が含まれる大豆製品や乳製品を食べるといいでしょう。中でも、すぐできるのが深呼吸。何度もやることで、心のバランスを保ち冷静さを取り戻せます。ほかの人の目がある場所では緊張を感じて副交感神経が優勢にはならないので、必ずひとりになることが条件です(*)。もし、子どもを感情的に怒ってしまいそうな時などにもおすすめ。子どもとはいったん離れ、別の部屋に移動してひとりになることで、怒りをコントロールできるようになるでしょう。■ステップ2:どうして怒ったのか、落ち込んだのかを自分に問いかけるひとりになり深呼吸をすることで落ち着いてきたら、次のステップへ進みましょう。自分の怒りや落ち込みという感情に意識を向け、「どう思ったから怒ったのか、落ち込んだのか」を自分自身に問いかけてみてください。例えば、上司に理不尽なことで怒られて落ち込んだ、せっかく作ったごはんを子どもがすべてこぼしてしまい怒っているなど、自分の嫌な気持ちが「誰に対してなのか、どんなことなのか」を、自分自身との会話でひもといていきます。嫌な気持ちの対象がはっきりしたら、次は「自分はどう思ってほしかったのか、どう伝えたかったのか、どうしてほしかったのか」を明確にしましょう。例えば、子どもにごはんをおいしく食べて欲しくて一生懸命に用意したけれど、それがかなわなかった。そのがっかりした気持ちが怒りへと変わったことが理解できます。そうやって冷静に分析していくと、嫌な気持ちは不思議と薄まってくるでしょう。ただし、自分に責任があると思い込みやすい人、自責タイプの人は、怒りが自分への強い失望へ変わることがあります。そうすると、「私はダメな人間だ」とさらに落ち込む場合も。そうならないために、自分を責めてつらくなったら、「私だけが悪いんじゃない」とあえて他責、自分以外に責任があると言いきかせるんです。私だけが悪かったのではなく、怒った上司もちょっと機嫌が悪かったし、子どものあの態度もないよねってつぶやいてみるんです。そう言っているうちに、どう思って欲しかったか、どうして欲しかったか、どう伝えたかったのか、どうしてそう思われてしまったのかがだんだんとわかってきます。■ステップ3:「他人は他人、自分は自分」価値観や感情に流されない自分が怒りや落ち込みを感じた原因や、それによる負の感情を解き明かしていくうちに、次のことがはっきりしてきます。今起こった嫌なことは「その時点での相手の価値観からくだされた判断」であり、たまたま相手がその時、そう感じただけのことだと気づくでしょう。それは、本来の自分に対しての評価ではなく、一過性のもの。自分はダメだ、わかってもらえない存在だと思い込んでいたことが、真実ではないとわかってくるのです。大抵、嫌な気持ちを引きずる原因は、相手の言っていることや態度が「真実」だと思い込んでいるから。そうすると、長くいやな気持ちを引きずり、立ち直れなくなるのです。寝る前などは副交感神経が優勢になって冷静になります。そういった時、何に怒っているのかに焦点を見定めて、自責傾向が強く出てきたなと感じたら「自分だけが悪いわけじゃない」と言い聞かせましょう。自分を責める気持ちが薄まったら、「どうして欲しかったのかな」「どうわかって欲しかったんだろう」と自分を見つめます。そうすることで、嫌な気持ちを周りにまき散らすことが少なくなり、八つ当たりも減るでしょう。■あなたは自責? それとも他責タイプ?ただし、他責の多用には注意を。他責傾向が強くなってしまうと、落ち込んだ気持ちから復活するのも早く後に引きずらないメリットがありますが、反省の気持ちが薄まり、失敗は周りのせいだと攻めたてて迷惑をかける存在になる場合も。ですので、「自分の責任ではない」と言い聞かせて気持ちを浮上させるテクニックは、もともと自責傾向が強く、一つつまづくとずっと引きずって周りに八つ当たりをして落ち込むタイプの人におすすめです。自分が自責タイプか他責タイプかがわからない時は、「何かトラブルが起こった時、とっさに自分がどう思うか」を思い出してみましょう。自分が悪いと感じる人は自責タイプ、自分以外の人やものが悪いと思う人は他責タイプに分けられるでしょう。ただし、それは程度の差があり、混在していることもあるため、どちらかに白黒はっきり分けられるものではありません。どれくらい負の感情が続くかによって自責傾向が強いかどうかが分かります。落ち込みや怒りが3日続くなら自責タイプでしょう。自責タイプの中でも、すぐ「悪かった、ごめん」と言えるのは「プラスに働く自責」で負の感情をあとに引きずりません。何も言わずにうつうつとずーっと怒っているのは「マイナスに働く自責」なので注意しましょう。自責、他責、それぞれに良いところもあれば悪いところもあります。要はバランスです。この機会に、自分の怒りや落ち込みの感情を見つめなおしてみましょう。*参考書籍:小林弘幸著「怒らなければすべて健康」(祥伝社黄金文庫) エキサイトお悩み相談室で佐藤先生に相談する
2019年10月05日家庭内の言葉を大切にしてきた江藤真規さんに、前回は「イライラ言葉」→「ポジティブ言葉」の変換事例を教えてもらいました。江藤さんは、娘二人を現役で東大にいれたスーパーママ。けれども、「子育て中は、イライラしっぱなし。家族に、『真規』を『魔鬼』と変えた方がいいと言われるほど、 怒りまくっていた時期もありました」と言います。そんな江藤さんは、どのように自分を変えていったのでしょうか?【ママのイライラ言葉変換辞典】 第1回 子育て環境の変化が、ママの罪悪感と不安を高めている 第2回 「いい加減にしなさい」に代わる言葉は? ネガティブ言葉の変換 お話をうかがったのは…江藤真規(えとう まき)さん教育コーチングオフィス、サイタコーディネーション代表。マザーカレッジ主宰。自身の子育て経験を通じて、コミュニケーションの重要性を実感。東大大学院で研究を続けながら、保護者と教師が連携をとることの重要性を提言している。・マザーのための知的な学び場: MOTHER COLLEGE(マザーカレッジ) ■イライラ言葉を使ってしまう7つの原因そもそも、どうしてママは子どもにイライラ言葉を使ってしまうのでしょうか? 胸に手を当てて、よ~く考えてみると、イライラ言葉を使ってしまう「引き金」は子どもの言動ですが、根本的な原因は「親の心の中」にあるようです。「イライラ言葉を使ってしまう『親の心のなか』にある根本的な原因を分類すると、次のとおり、大きく7つにまとめることができます」(江藤さん)。自分自身がどのようなシチュエーションでイライラ言葉を使いがちなのか? それがわかればイライラ言葉を回避しやすくなるはずです。●イライラの7つの原因を知ろう!1.急いでいるとき2.周りの子供と比較してしまうとき3.周囲の言葉に、敏感になりすぎているとき4.理想と現実のギャップを感じるとき5.見通しが立たないとき6.イヤな部分ばかり目につくとき7.自分の調子が悪いとき出典: 『子どもに伝わる! 子どもが変わる! ママのイライラ言葉言い換え辞典』 (江藤真規/扶桑社)■イライラを解くカギは「もうひとりの自分」江藤さんは言います。「イライラ言葉から脱却するのにオススメなのは、イライラ言葉を発したときの自分と子どもの関係性を客観的に見る『もうひとりの自分』をつくることです」。イライラしている自分を、俯瞰の視点で感じてみる…。たとえば、「イライラ言葉を使っている、いまの自分は子どもからはどんなふうに見えている?」「子どもにどんなふうに影響を与えている?」。そんなことを、自分に問いかけてみるのです。「もうひとりの自分」がこう問いかけることで、現実の自分は「何をやっているんだろう」と、わが身をふりかえるキッカケにできることもあるでしょう(できないことがあっても、それはそれ。いちいち落ち込まないことも大切です…笑)。こんなふうに、「もうひとりの自分」が、現実の自分に問いかける「セリフのパターン」をいくつか知っておけば、イライラ感情に溺れてしまうことを、少しは防げるかもしれません。●イライラ感情からママを救う7つの救命言葉原因 → 自分への問いかけ1.急いでいるとき → 「子供はなぜ急ぐ必要があるのかわかっている?」2.周りの子供と比較してしまうとき → 「夫によその奥さんと比較されたら、どう思う?」3.周囲の言葉に、敏感になりすぎているとき → 「子育てに正解を求めすぎていない?」4.理想と現実のギャップを感じるとき → 「その理想は誰の理想なの?」5.見通しが立たないとき → 「子供の10年後をイメージしてみて」6.イヤな部分ばかり目につくとき → 「イヤな部分は、言い換えればどんな才能?」7.自分の調子が悪いとき → 「私を助けてくれる人は誰なのかな?」出典: 『子どもに伝わる! 子どもが変わる! ママのイライラ言葉言い換え辞典』 (江藤真規/扶桑社)■「成長モデルが違う」という発想今回の取材を通じて、筆者が一番、印象に残ったことをお伝えします。「親としての 成長モデルは、『学校で勉強を習う』などの知識習得型モデルとは違う成長モデルです。壁にぶつかったときに、『さて、どうしよう』と悩み、その困った状況に子どもとともに身を置きながら省察する、そして超えていく…、このような流れが親としての成長なのだと思います。この成長モデルをイメージできるようになると、『怒ってしまっても、しょうがない』ということが、開き直りでも何でもなく、壁を乗り越えるための言葉として使えるようになっていきます」(江藤さん)『学校で勉強を習う』ということとは違う、成長モデルがある。「習ったから、できるようになる」ということではなく、自分の失敗を省察することから学ぶ成長モデル…。この成長モデルの存在をイメージできるようになると、「子供に対して、すぐにイライラしてしまう私って、何てダメなんだろう!」と自分を責めるのではなく、「どうして、私、あんなことを言ってしまったのかな?」と、怒ってしまった自分に寄り添えそう。 そして、そこから学ぼうと、前向きな方向に気持ちを切り替えできそうです。子育ては大変な事業で、誰しもが壁にぶつかるもの。「子育てで、何の問題もないという人を、私は知りません。イライラ言葉を使ってしまったときほど、親子にとって、成長するチャンスだと、私は強くお伝えしたいと思っています」(江藤さん)
2018年10月19日「いい加減にしなさい!」「早くして!」。つい、使ってしまうイライラとした言葉。でも、「イライラ言葉では、子どもは『ママが怒っていること』はわかるものの、『ママが本当に伝えたいこと』は理解できない場合も多いんです」と言うのは、教育コーチングオフィスを主宰する江藤真規さん。江藤さんは、家庭で使う言葉について考え続けています。【ママのイライラ言葉変換辞典】 第1回 子育て環境の変化が、ママの罪悪感と不安を高めている 第2回 「いい加減にしなさい」に代わる言葉は? ネガティブ言葉の変換 -->お話をうかがったのは…江藤真規(えとう まき)さん教育コーチングオフィス、サイタコーディネーション代表。マザーカレッジ主宰。自身の子育て経験を通じて、コミュニケーションの重要性を実感。東大大学院で研究を続けながら、保護者と教師が連携をとることの重要性を提言している。・マザーのための知的な学び場: MOTHER COLLEGE(マザーカレッジ) ■「イライラ言葉」を言い換えるには江藤さんは、「イライラ言葉をなくす」のではなく、「子どもに話しかける語彙を増やす」という発想で、家庭内の言葉を整えていったそう。そこで必要なのが、今まで使っていたネガティブな口癖をポジティブな表現に置き換えた「新しい言葉」。この連載のなかでは、「イライラ言葉」に対して、「ポジティブ言葉」と呼びます。それでは、早速、教えていただきましょう!▼言い換えファイル その1.「いい加減にしなさい」いい加減にしなさい↓お部屋の片づけをしてほしいなイライラ言葉同義語:何度言わせるの!?【ポジティブ語変換】大人にとって簡単に理解できるニュアンスだからといって、子どもが理解できるとはかぎりません。「いい加減」という言葉がまさにそれで、子どもは怒られていることはわかっても、具体的に何を求められているかまではわからないもの。感情で話すのではなく、ママ自身「自分が何を怒っているのか?」を冷静になって整理をし、伝えることが大切です。▼言い換えファイル その2.「早くしなさい!」早くしなさい!↓時計の針が「6」になったら出かけるよイライラ言葉同義語:「早く寝なさい」「早く食べなさい」「早く片付けなさい」「早く! 早く!」【ポジティブ語変換】「早くしなさい」と言われて、急げる子どもはまずいません。子どもは大人ほど時間感覚が育っていないので、親が教えてあげる必要があります。「この先で、やるべきこと」を考えることができる大人に対し、子どもは「今」という世界に没頭して生きているからです。急がせるという発想ではなく、時間になったことを伝える気持ちで声をかけてみましょう。▼言い換えファイル その3.「つべこべ言わない!」つべこべ言わない!↓あなたはそう思うのねイライラ言葉同義語:「口ごたえしない!」「ママの言うとおりにしなさい!」【ポジティブ語変換】ひとつ、提案です。ママに対してのヘリクツや、単なる言い訳に聞こえることも、ひと呼吸おいて、「子どもが自分の意見を伝えている」という視点を持ってみてはいかがでしょうか?「あなたの意見はわかったわ。でもママはこう思う」と、子どもの意見をいったん認めつつ、自分の意見を伝えると、そこにディスカッションが生まれます。家庭内でディスカッションができるようになれば、子どもの考える力はグングン伸びますよ。▼言い換えファイル その4.「信じられない!」信じられない!↓びっくりしちゃったイライラ言葉同義語:「ウソでしょ!」「ありえない!」【ポジティブ語変換】子どもがとんでもない失敗をしたとき、このような言葉を使ってしまったことは、ありませんか? 日常の中でわりと使う言葉ではありますが、子どもにとっては、人格を否定されたと感じるくらいのインパクトのある言葉で寂しさを感じてしまうかも。ママの怒りやショックは理解できますが、それは自分の気持ちのなかで受け止めるに留め、驚いたことのみ伝えます。見放すようなニュアンスは、できるだけ避けられると良いですね!▼言い換えファイル その5.「あなたにはムリ!」あなたにはムリ!↓まず○○からやってみようねイライラ言葉同義語:「どうせできないんだから!」「まだムリよ!」【ポジティブ語変換】たとえば、お手伝い。子どもが「包丁を使いたい!」と言ってきても、「まだ、危ない」と感じることはあるでしょう。そんなときは、親がムリと決めてしまわず、小さな目標に分解し実現できそうなことから提案してあげましょう。「じゃあ、今日は、猫さんの手で3回だけ、トントンしてみようか?」。こんなふうに少しずつ包丁に慣れていくことで、いつか上手に包丁が使えるようになります。小さな積み重ねが大きな成果に繋がるのです。▼言い換えファイル その6.「小さい頃からずっとそうだよね」小さい頃からずっとそうだよね↓それ、あなたの個性だよねイライラ言葉同義語:「困った性格だよね」「あなたって、いつもそうだよね」【ポジティブ語変換】良いことを指して言うなら、もちろん問題ありません。けれども、悪い意味で使っているのであれば、子どもの性格を否定するNG言葉に。もしお母さんにとってはなじめない性格でも、「持って生まれたものだから変えられない」と割り切り、「宝物の個性」と思える言葉でとらえ方を変換させましょう。具体的な性格のとらえ方の変換は次を参考にしてみてください。▼言い換えファイル その7.「どうして先にやっておかなかったの!?」どうして先にやっておかなかったの!?↓次はどこに気をつけていこうかイライラ言葉同義語:「なんで言われたとおりにしなかったの!?」【ポジティブ語変換】過去のことを否定的に質問しても、「だって…」という言い訳しか出てこないのは、大人でもそうですよね。言い訳に使うエネルギーほどムダなものはありません。大事なのは子どもの意識を過去ではなく、未来に向けてあげること。次回からどう気をつけたらいいのかを考えさせ、少しずつでもステップアップできるようにしてあげましょう。▼言い換えファイル その8.「バカじゃないの!」バカじゃないの!↓気持ち切りかえようか!イライラ言葉同義語:救いようがないわね【ポジティブ語変換】たとえば、テストで悪い点をとった時。子どもだって、もちろん落ち込んでいます。こんなときのママのイライラ言葉は、子どもの勉強嫌いや苦手意識を高めてしまうかもしれません。できないことをできないまま終わらせるか、できないことができるようになるかは、親の言葉かけ次第。子どもが気持ちを切り替え、前向きになれるよう仕向けてあげて!▼言い換えファイル その9.だからダメなのよ!だからダメなのよ!↓忘れちゃったかな?【ほかのイライラ語】「ろくなことしないわね」「ほんとダメだね」【ポジティブ語変換】人間だから失敗したり、忘れたりすること、やってもできないこともあります。つねに完璧でいることなんてできませんよね?できなかったことを取り上げて、こんな言葉で子どもの自己肯定感をペシャンコにしても、ママも子どもにもいいことはありません。まずは、困難に立ち向かっている子どもの気持ちに寄り添う言葉かけをしてみて。▼言い換えファイル その10.「●●ちゃんは上手にできるのに!」●●ちゃんは上手にできるのに!↓こんなところが成長したよねイライラ言葉同義語:「●●ちゃんはスゴイよね~!」【ポジティブ語変換】よく言われていることかもしれませんが、子どもと「ほかの子」の比較は、絶対にNGです。比べるなら、子ども自身の過去と現在。「どれだけ成長したか」を言ってあげることで、親に認められていると安心し、自己肯定感もアップします。子育てでは、結果だけに目を向けるのではなく、それまでのがんばりや成長を思い出し、伝えてあげることが、とても大切です。■ネガティブ → ボジティブ変換例ネガティブ → ポジティブ●神経質 → 感性が豊か●落ち着きがない → 活動的●わがまま → 自分の意志をもっている●引っ込み思案 → やさしい/人の気持ちがわかる●集中力がない → 新しいことをやりたい出典: 『子どもに伝わる! 子どもが変わる! ママのイライラ言葉言い換え辞典』 (江藤真規/扶桑社)■ママが笑うだけでも意味がある!もっとパターンを知りたい方は、『ママのイライラ言葉言い換え辞典』にたくさんの事例が紹介されています。筆者は原稿を執筆しながら、「なるほど、こんなふうに伝えれば良いのか!」と、前向きな気持ちになりました。イライラの下にある「本当に気持ち」をポジティブな言葉に変換できるようになれば、それはプラスのエネルギーとなる。イライラ言葉を使うより、親子関係(夫婦関係も?)は、もっとスムーズになるのではないでしょうか? 江藤さんご自身は、「ポジティブ言葉を本で見た娘から、『こんなことを言われたら、かえって気持ち悪い!』と笑われました」と、おっしゃっていました。ポジティブ言葉が「どうにも気恥ずかしい!」と思う人は、「こんなこと、普通、言わないよね」と、クスっと笑うだけでも良いと思うのです。「新しい語彙」にママ自身が触れてみるだけでも、充分意味があると思いますよ! 次回は、イライラ言葉を使ってしまうママの心の内を、もう少し深く探ってみます。
2018年10月18日自分の怒りの性質を正しく知り、コントロールすることで、人間関係や仕事の悩みは格段に減り、心穏やかな日々が叶います!具体的な行動で怒りをコントロールする方法を実践しましょう。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんが教えてくれたのは「6秒アクション」をご紹介します。すぐできる!6秒アクションイラッとしてから6秒までが怒りのピーク。つまり、その間を待つことができれば理性的になれるということ。怒りが湧いたときには、反射的に怒りをあらわにしてしまう前に、まず試してみよう。1.自分の心が落ち着く、魔法の言葉を唱える人は誰かに共感してもらえたり、優しい言葉をかけられると、不思議とイライラが収まるもの。自分自身の声かけでも同様の効果がある。「“たいしたことじゃないよ”“明日には忘れてるよ”など、自分の心を落ち着かせられる魔法の言葉をあらかじめ用意しておいて、怒りを感じたときに唱えましょう」2.思考停止するイライラすると、次々にネガティブな妄想をしてしまい、どんどん怒りが大きくなることが。そんなときは「ストップ!」と心で唱えて、考えることをやめよう。「感情は思考から生まれるので、思考を停止することで怒りを手放せます。数字をひたすらカウントして意識をそらす方法も」3.口角を無理やり上げる怒っているとき、口元は“への字”になってこわばっているはず。下がった口角を引き上げることで表情筋がゆるみ、脳は「明るいことを考えた」と認識する。「無理やりにでも笑顔になれば、快楽物質が脳内に分泌されてポジティブな気分になれるのです。長く続けるほど効果は持続します」4.目の前のものをじっくり観察する怒りから意識をそらすために、近くにあるスマホやペン、ペットボトルなどを隅々まで観察する。「形があるものをじっくり集中して眺めていると、だんだんそこに意識が向かってイライラから自然と離れていきます。スマホについている傷を数えたり、ペンの注意書きを読み込んだり、観察に没頭しましょう」5.その場をとにかく離れる怒りを感じる相手と対面している状況なら、「トイレに行ってくる」などの声をかけ、一時的にその場を離れるのが有効。「物理的に距離を置くことで冷静さを取り戻せます。このとき、ドアを乱暴に閉めたり荒々しい行動をとるとかえってイライラしてしまうので、ストレッチや深呼吸でリラックスを心がけて」6.ツボを押す感情を静める効果があるツボを押すのも◎。手の甲側の親指と人さし指の分かれ目にある「合谷」と、手のひら側の、小指の延長線上の手首の関節にある窪みの「神門」を6秒間プッシュ。「ツボ自体の効果はもちろん、位置を確かめて指圧する間に、気持ちが落ち着いてくるはずです」安藤俊介さん一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。現在は企業や教育機関で多くの講演や研修を行うほか、「怒り」に関する著書も多数執筆。※『anan』2018年2月14日号より。イラスト・しまだなな文・熊坂麻美
2018年02月13日仕事やプライベートでついイライラ、怒りに振り回されてしまう……そんな時はまず怒りの正体を見極めてみると、心を落ち着けることができるかも。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんに話を聞きました。多くの人が“怒り”に振り回されて悩んでいる。この状況を変える方法を授けてくれるのが、アンガーマネジメントだ。1970年代にアメリカで生まれた心理トレーニングで、このメソッドを学ぶことで、自分自身の怒りの原因がわかり、感情をコントロールできるようになるという。アスリートのメンタルトレーニングにも活用され、日本でもここ数年、企業研修に取り入れられるなど、急速に浸透し始めている。「怒りは本来、身を守るために生じる感情。動物が防衛本能から威嚇するように、私たちも怒りを表すことで、自分を守ったり、気持ちをわかってもらおうとしています。つまり、怒りは必要な感情なのです。アンガーマネジメントは、怒りをゼロにするのではなく、“怒る必要のあることは上手に伝え、怒る必要のないことは怒らない”ことを最終ゴールにしています」(安藤さん)人はなぜ怒るのか?6大原因を知る!「怒りは絶対的に湧くものではなく、大きく関わるのが“自分の解釈”。出来事に対してどう意味づけをするかで、怒りになるか否か決まります」(安藤さん)私たちはどんなふうに怒りにつながるような捉え方をしてしまうのか。物理的にイライラしやすい例も含めて、代表的なパターンとその改善策をチェックしよう。CASE1喫茶店でオーダーと違うものが出てきた。いつもなら冷静に指摘できるのに、今日は仕事が忙しくてイライラしていたせいか「違うんですけど!」と突き返してしまった。→怒りの原因自分の心に余裕がないから起こった出来事は同じでも、怒る日と怒らない日があるのは、自分の心持ちが関係している。「疲れやストレスが重なっているときは“心のコップ”がいっぱいになり、前向きに解釈できずコップの水があふれてしまう。日頃から心に意識を向け、コップがあふれる前のリフレッシュを心掛けて。それだけで回避できる怒りも多いはず」CASE2A子と待ち合わせをすると必ず10 分は遅刻してくる。しかも連絡ナシ!私はいつも5分前には来ているのに…。遅れるならせめて連絡くらいするのが礼儀だと思うけど。→怒りの原因自分の「べき」からは外れているから誰でも「~するべき」「~するべきでない」という価値観を持っている。この「べき」が裏切られると怒りに発展する。「上の例は、“遅れるなら連絡するべき”という価値観が裏切られて怒りが生じたのですが、“べき”は人それぞれ。自分の“べき”に固執しないで、『遅れるときは連絡してね』と伝えればいいのです」CASE3やる気のない後輩にイラッ。頼んだ資料も「まだできてないんですー」の一言でサッサと帰ってしまった。上司には「お前の管理が悪い」と怒られるし、どういうこと!?→怒りの原因他人のせいにしているから理不尽な出来事があると「自分は悪くない!」と思いがちだけど、人のせいにして自分を正当化することで怒りは増していく。「自責と他責のうち、怒りを呼ぶのは後者です。誰かを責め続けてもその人を変えることができないのでイライラしてしまうのです。怒りをコントロールするには、自分の対処法を変えることが大切」CASE4同僚のB子は私と違って要領がいい。上司にうまく取り入って派手な仕事ばかりして、目立たない仕事を地道にやっている私より評価が高い。なんで?納得いかない!→怒りの原因事実と思い込みを混同しているから出来事を悪いほうに解釈することで怒りは生まれやすい。しかも、この解釈を“事実”と勘違いすると怒りが長引くことにも。「同僚ばかり評価されているというのは、思い込みかもしれないですよね。イライラしてきたら、自分が思い込みをしていないか振り返ってみて。意識づけで思考のクセを直して怒りを減らしましょう」CASE5すぐにイライラして怒鳴る父。捜し物が見つからない、母が予定の時間に帰ってこない、駅員さんが横柄だ…などなど。そんな様子を見てたら、私までイライラしてきた…。→怒りの原因怒りが伝染しているから怒りの感情はエネルギーが強い分、周囲へ伝染する。さらに、立場の強い者から弱い者に流れやすい性質も。「イライラは家族や友人など、言いやすい人にぶつけがちなので、身近な間柄ほど怒りの連鎖が起こりやすいといえます。もちろん、赤の他人にも伝染するので、怒っている人には近寄らないのが賢明です」CASE6絶対に遅刻できない会議のある朝、よりによって電車が遅延!迂回ルートに乗り換えようとしたらそちらも止まっていて万事休す…。私のせいじゃないのに~!!→怒りの原因思い通りにいかないから思い通りにいかないことに直面したら、それが自分の努力で変えられるか、まず考えてみて。「電車の遅延など、自分では変えられないことは怒っても仕方ない。会社に連絡するなり、できることをやるしかないんです。自分のアプローチで改善できることなら、全力を尽くす。できる、できないの見極めは大切です」安藤俊介さん一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。現在は企業や教育機関で多くの講演や研修を行うほか、「怒り」に関する著書も多数執筆。※『anan』2018年2月14日号より。イラスト・しまだなな文・熊坂麻美
2018年02月12日「怒り」そのものは、人間として、ごく自然な感情です。本質を知り、付き合い方を知っていればむやみに恐れるものではありません。そうは言っても毎日子どもを怒ってばかりという日々から抜け出したいと思っているママたち。では怒りの感情を持ってしまったら、どうすれば抜け出すことができるのか、最終回の今回は、アンガーマネジメントの手法を3つご紹介しましょう。NPO法人えじそんくらぶ代表の高山恵子さんにお話しを伺いました。■「アイメッセージ」で、「怒り」から抜け出す自分の中に怒りを感じ、「腹が立つ!」と言ったときは、「私=怒り」です。「でも、『私は、怒りを感じている』と言うと、『私=感じている』となり、感情(怒り)から少し距離をおけます」(高山先生) 自分と感情の間に距離ができて、少し冷静になったら、怒りの種である「第一の感情」を言葉にして、アイメッセージで伝えます。まず、「私は」と言い始めてください。次に「○○(思考)なので、●●(感情)です」と続けます。これが、アイメッセージです。自分の思考や感情を比較的冷静に、具体的に伝えることができます。●アイメッセージに言い換える方法「なんで、いつも遊びながらご飯を食べるの!」(本当の気持ち:ご飯をモリモリ食べてくれなくて悲しい)↓(言い換える)「ママ、○○くんが遊びながらご飯を食べていると悲しいな」(「ママは」「わたしは」を使うと、本当の感情が伝えられて、冷静な会話がなりたつ)「不満を言うだけでは、単なる親子げんかです。けれど、『ママは』をつけて、自分の気持ちを言い表すと、『意見』になり、子どもと少し冷静に話すことができるようになります」(高山先生)■「なんで」は失敗の原因を探る言葉怒っているときに、つい口から飛び出てしまう「なんで」という言葉。「なんで」、は、失敗の原因を探る言葉です。物事の解決につながりにくく、子どもや自分への怒りを招きがちです。このような後ろ向きの言葉が口ぐせになっている場合は、「どうしたら」を口癖にするように意識してみると良いかもしれません。「『どうしたら』は、物事を、『次の成功』に導くための、前向きな問いかけです」(高山先生)「どうしたら」と結びつくのは、「できる」です。「どうしたら」と自問すれば、「できるかな?」と、前向きな言葉が自然に出てくるのです。■怒りの記録をつけてみよう最後に長期的な視点にたった、怒りに対しての抜本的な方法をご紹介しましょう。それは、「イライラした」「腹が立った」「気持ちが落ち込んだ」といった出来事の記録である「アンガー・ログ」をつけること。ほんのメモ程度でかまいません<「アンガー・ログ」の5つのポイント>①いつ、どこで?自分が怒りやすい時間帯や、場所を見極めるための項目。日付だけでなく時間も書き、場所も具体的だとgood②どんなことがあったか?怒りを感じた場面を描写。感情は抜きにして、場面を描写することに徹します③そのとき自分が思ったことその時、自分が思ったことを素直に書き出します。自分で読み返すだけのものなので、人目を気にする必要はありません④どんな感情を持ったかイライラした、怒り、失望・・など、感情の種類を書きます。例)〈感情〉イラっとした⑤怒りのレベル感じた怒りがどのくらいか、ランク付けをします。ランクは目安を、前もって決めておきます例)〈怒りのレベル〉5点くらいだから、レベル2出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋 <怒りのレベル例>出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋■「怒りのきっかけ」を減らすには「アンガー・ログ」は、自分の観察日記です。書いたときには「怒るのは無理もない」と思ったことでも、あとで読むと「こんな些細なことで怒っていたのか」「このときに怒ったのは、第一次感情(※)が、こうだったからだ」など、気づくことがあるでしょう。こんなふうに、アンガー・ログを読み解いていくと、自分の怒りのパターンが見えてきます。「アンガー・ログから浮かび上がることのなかで、いちばん対策を立てやすいのが『怒りのきっかけ』です。きっかけを減らすと、行動も変えやすくなります」(高山先生) ※第一次感情とは怒りの下に隠れている感情を、第一次感情といいます。第一次感情のなかには、「不安」や「悲しみ」といったマイナスの感情だけではなく、「希望」や「期待」などの前向きな感情もあります。 ●「怒りのきっかけ」を減らす例例1)<自分の「怒り」の傾向>疲れがたまった夕方や空腹時にイライラして子どもに怒りやすい<対策>大切な仕事は午前中、少なくとも午後の早めには終わらせておく。夕方になったら軽食をとる例2)<自分の「怒り」の傾向>ママ友が思ったようなリアクションをしてくれないとき、怒りやすい<対策>「期待・希望」といった第一次感情が大きすぎる。無意識に自分の「期待・希望」が大きくなっていないかノートに書き出してみる「『アンガー・ログ』で怒りの傾向がつかめたら、まずは改善策をひとつ決めて実行してみましょう」(高山先生)「怒り」という感情は、価値観、いわば、「自分らしさの根っこ」に関わる問題と感じている人も多いでしょう。でも、自分が「価値観」だと思っていたことが、単なる「思い込み」の可能性もあります。「アンガー・ログ」を使って、「自分の考え方の癖」を意識してみるだけで、怒りを感じる回数は減っていくことでしょう。喜怒哀楽という感情の中でも、とりわけ強いエネルギーを持つ「怒り」。この「怒り」のエネルギーに自身が振り回されないように、「怒りとの付き合い方」を知り、コントロールできるようになっていけると良いですね。「ぜひ、ご自身に合った方法をみつけて、怒りと上手に付き合っていただきたいと思います。そして、みなさまのハッピーな時間が一秒でも長くなることを心から望んでいます」(高山先生)■今回のお話を伺った高山恵子さんのご著書 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)¥1300円(税別)高山恵子(たかやまけいこ)さんNPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。注意欠陥/多動性障害(以下、ADHD)の正しい理解の普及と、ADHDを持つ人々を支援し、ADHDを障害としてクローズアップするのではなく、豊かな個性の一つとして長所を伸ばし、弱点を克服できるよう支援する団体として「NPO法人えじそんくらぶ」を立ち上げる。NPO法人えじそんくらぶ公式サイト: <イベント情報> 「成人ADHD等の理解と対応」 (2018年1月~6月/全6回・東京)第1回 『アンガーマネジメント概論』怒りのメカニズムとクールダウンの方法を学び、自責・他責を減らしましょう。(2018年1月23日(火))
2018年01月17日いつも子どもにイライラしてしまう。どうして子どもに怒りをぶつけてしまうのだろう。そんな風に毎日怒っている自分に悩み、夜はひとり反省会をしてしまう。そんなママのための怒りの応急処置を前回教えていただきました。今回は、「怒り」のメカニズムについて教えていただきます。じつは「怒り」自体は、人間ならだれもが持つ、ごく自然な感情なのです。「怒り」の本質を知れば、むやみな恐れは消えるはず! NPO法人えじそんくらぶ代表の高山恵子さんにお話を伺いました。■「怒り」は、悪なの?高山先生は、言います。「怒りは、単なる感情のひとつで、危機や攻撃に対する、人間としての自然な反応です」。人間にとって、もっとも根源的な怒りは、「自分を傷つけるものへの怒り」。ヒトが、「獲物をとる」か「獲物になる」しかなかった原始時代には、危険に立ち向かうために怒りのエネルギーを使ってきました。怒りを感じると、意識しなくても、脈拍や呼吸が速くなります。これは、交感神経が働いているサインで、交感神経のスイッチが入ったために、自然に体が活動に備える状態になったからです。こんなふうに、怒りは、「生きるエネルギー」そのものであり、大切な身を守る手段でもあったのです。でも、現代では野生の猛獣と戦ったり、必死で逃げたりすることはまずありません。私たちは怒りのエネルギーをムダ使いしてしまっていないでしょうか。「現代では、怒りの扱い方に、工夫が必要ですよね。そこを、アンガーマネジメントという“技術”で補完しましょう」(高山先生)■怒りのもとにある本当の感情とは?ところで、怒りは一瞬で湧き上がると感じていませんか? じつはそうではないのです。「怒りのもとには、必ずタネとなる別の感情が隠れています」(高山先生)この感情は、感じている時間が短い上に、すぐに頭は怒りでいっぱいになるため、キャッチするのがなかなか難しく、気づきにくい感情です。たとえば、「子どもが思い通り動いてくれず、悲しい」「想定外のことが起こって、不安だ」…。こういった怒りのもとに隠れている感情を「第一次感情」といいます。また、「第一次感情」には、「不安」や「悲しみ」といったマイナスの感情だけではなく、「希望」や「期待」などの前向きな感情もあります。そういった感情も、簡単に怒りに変わってしまうのです。怒りが爆発しているときは、怒りと自分が一体化しています。6秒ルール※で応急手当をしたら、第一次感情に耳を澄ませてあげましょう。こんなふうに、怒りの本質を見つめられるようになってくると、怒りは、「怖いもの」でないと感じられるのではないでしょうか?※6秒ルール怒りは6秒間でピークが治まってくるといわれています。このためこの6秒間を我慢すると、怒りを静めることができます。次のような応急手当を試してください。・おでこに手を当てて数を数える・水を飲む・深呼吸をする<怒りは意外なところからも生まれる>●不安「いやだ」という拒否感や、自分の心や体が脅かされそうな不安定感から生じる感情で、怒りと仲良しです。自分を守ろうとするために、怒りを呼び覚まします●悲しみ自分のことを理解してもらえなかった、がっかりしたといった悲しみからも怒りは生まれます●期待・希望「~したい」「~になって欲しい」という期待や希望には、欲があります。期待や希望がかなわなかった時に、自分の欲が満たされないことへの怒りが生まれやすいのです出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋 ■「怒らない」よりも「爆発させない」 怒りは自然な感情なので、「怒らない」ようにするのは、相当の力が必要です。怒りを、「ただ、我慢」しようとすると、怒りと我慢で二重にエネルギーを消耗し、ヘトヘトになってしまいます。しかも、「怒るのを我慢している」ことが見てわかるぐらいなら、家族が感じるトゲトゲ感は、「怒ったとき」とあまり変わりません。こんなふうに、「ただ、我慢」するのは、消耗するわりに、良い効果はあまりえられないのです。「怒りを無理にねじ伏せて『怒らない』ようにするのではなく、『爆発させない』方が大切です。そのために堪忍袋を上手につかいましょう」(高山先生)■堪忍袋を上手に使うポイント3つ「堪忍袋を上手に使うためのキーワードは、『小さく』と『少なく』です」(高山先生)堪忍袋の上手な使い方について、ポイントを整理してみました。●ポイント1 怒りを拾わない人が生活をしていれば、怒りを起こす原因は、身の周りにたくさんあります。まずは、怒りを堪忍袋にいれないことが大切ことです。「時間があるときに、『何が自分をイラっとさせ、怒りの原因になるのか?』を考えてみます。それがわかれば、拾わないように注意できますよね?」(高山先生)●ポイント2 怒りを大きくしない堪忍袋の中に怒りのかんしゃく玉が入ったとしても、数が増えず、怒りそのものが大きくならなければ、堪忍袋の緒が切れることはありません。「長期的には、これからご紹介するアンガーマネジメントの手法を使って、怒りと上手に折り合っていく技術を身につけていきましょう」(高山先生)●ポイント3 ガス抜きをする「怒りを拾わない」「怒りを大きくしない」といったことができるようになると、心に余裕が出てきます。そこで、自分の好きなこと、たとえば、「アイドルのDVDを見る」、「大好きなスイーツを食べる」などして、ガス抜きができるようになれば、堪忍袋の中身は、ますます軽くなっていくことでしょう。 次回は、「もう『怒り』に振り回されない! イライラせずに子どもと向き合うには」です。アンガーマネジメントの具体的な手法を教えていただきます。■今回のお話を伺った高山恵子さんのご著書 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)¥1300円(税別)高山恵子(たかやまけいこ)さんNPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。注意欠陥/多動性障害(以下、ADHD)の正しい理解の普及と、ADHDを持つ人々を支援し、ADHDを障害としてクローズアップするのではなく、豊かな個性の一つとして長所を伸ばし、弱点を克服できるよう支援する団体として「NPO法人えじそんくらぶ」を立ち上げる。NPO法人えじそんくらぶ公式サイト: <イベント情報> 「成人ADHD等の理解と対応」 (2018年1月~6月/全6回・東京)第1回 『アンガーマネジメント概論』怒りのメカニズムとクールダウンの方法を学び、自責・他責を減らしましょう。(2018年1月23日(火)))
2018年01月16日ママの毎日は、ある意味、戦い。子どもを感情的に叱ったあと、言いようのない後悔に苛まれる…。そんな経験は、どんなママでもしているはず。けれども、「私って、毒親?」「これって、虐待?」と、自分で、自分のことが不安になってしまうこともあるのではないでしょうか。「まずお伝えしたいことは、『怒りはあなた自身ではない』ということです」と言うのは、NPO法人えじそんくらぶ代表の高山恵子(たかやまけいこ)さん。「怒り」との上手な付き合い方について、お話を伺いました。高山恵子さんNPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。■「アンガーマネジメント」という技術「アンガーマネジメント」という言葉を、聞いたことがありますか? アンガーマネジメントとは、心理学に基づいた怒りを扱う技術のことです。最近は教員採用試験にも出題されるなど、子どもと接するすべての大人にとって、必須な技術として注目を集めています。じつは、怒りの感情が沸くことは、人間としてごく自然なこと。「『怒り』との付き合いで大切なのは、まず『怒りという感情』と『あなた自身』を分離することです」(高山さん)「自分は、いま、怒っている」と、きちんと自分で気づいてあげること。そうすることで、「感情」と「あなた自身」は、少し分離されます。■怒りの応急処置は、「最初の6秒」がカギアンガーマネジメントの第1歩は、「自分は、いま、怒っている」と気づき、「いま、ここにある怒り」を、それ以上大きくしないことです。サインが現れた段階で「怒り」に気がつくことができれば、それだけ早く爆発を防ぐための行動に移行ができます。キーワードは、「最初の6秒」。「怒りのサインに気づいた最初の6秒間をどのように使うかが、アンガーマネジメントの重要なポイントです」(高山さん)この時点で「怒りのもと」を深追いするのはご法度! 「どうして、イヤばかり言うの?」「どうして、早くご飯を食べられないの?」。そんな怒りのもとを考え始めたら、炎に燃料をくべるようなものなのです。<早く気がつこう! 怒りのサイン>・呼吸が浅くなる・頭が真っ白になる・顔がカッと熱くなる・動悸がする出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋 なぜ「最初の6秒」がカギになるのでしょうか? それは、怒りには、「アドレナリン」というホルモンが関係しているからです。怒るとき、体の中では、「アドレナリン」が分泌されています。アドレナリンには体を活発にする作用があり、怒っているときには、まさに「火に油を注ぐ」ように怒りがエスカレートしていきます。カチンときて、アドレナリンが分泌されても、6秒後にはそのピークは過ぎるといわれています。言い換えれば、怒りの応急処置法とは、「最初の6秒を、いかに上手にやりすごすのか?」の方法論を知っておくことなのです。■自分が怒っていると気がついたら「最初の6秒」を、ただ、我慢するというのは、意外と難しいものです。そんなとき、物理的な「応急処置メニュー」を知っておくと便利です。「あ、ヤバいな!」と思ったら、それをパッと取り出しましょう。<怒りの応急処置メニュー3つ>●おでこに手を当てて数を数える目の真上、おでこの少し出っ張った部分には前頭葉があります。前頭葉は感情を制御する脳。手を当てて血流の動きを促すことで、動きを活性化させます。●水を飲む水は、火を消すもの。水を飲む時には、心の中で燃えている怒りの火を鎮めることをイメージします。水を飲むことで、脳の血流を改善する効果もあります。●深呼吸をする吐く時間のほうが長くなるよう、4秒吸って、6秒かけて吐きます。息は鼻から吸って、口から吐きます。肺から体のすみずみに新しい空気がめぐるイメージです。出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋 ■怒ってしまった自分に声をかけるまた、自分で、自分に声をかけてあげることも有効です。「言葉の力は、思っているよりも強く、確かなものです」(高山先生)セリフトークは、短く簡潔に! 大切なのは、しっかりと何度も唱えることです。もうひとつ。「『ママ、ちょっとあっちの部屋で休んでくるね』と、その場を離れることも効果的です」(高山先生)その場を離れたら、子どもへの「続きのお説教」を考えることはやめましょう。怒りの原因から心も離すことで、気持ちは切り替えやすくなります。<怒りをしずめるセルフトーク例>・落ち着いて。・私は大丈夫。・コントロールできる。出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋 次回は、「また子どもを怒鳴ってしまった…。『怒り』をぶつけてしまう本当の理由」です。怒りのメカニズムについて教えていただきます。■今回のお話を伺った高山恵子さんのご著書 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)¥1300円(税別)高山恵子(たかやまけいこ)さんNPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。注意欠陥/多動性障害(以下、ADHD)の正しい理解の普及と、ADHDを持つ人々を支援し、ADHDを障害としてクローズアップするのではなく、豊かな個性の一つとして長所を伸ばし、弱点を克服できるよう支援する団体として「NPO法人えじそんくらぶ」を立ち上げる。NPO法人えじそんくらぶ公式サイト: <イベント情報> 「成人ADHD等の理解と対応」 (2018年1月~6月/全6回・東京)第1回 『アンガーマネジメント概論』怒りのメカニズムとクールダウンの方法を学び、自責・他責を減らしましょう。(2018年1月23日(火)))
2018年01月15日