連載記事:樹木希林からの命のバトン
「学校に行くのがあたり前」の空気に苦しむ親子へ【樹木希林からの命のバトン 第2回】
■不登校だからって将来は決まらない
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それでは、「学校には行かない」と決めたとして、その後どうすればいいのか。樹木さんは書籍のなかで、このように語っています。
不登校でも、ある日ふっと何かのきっかけで、学校はやめるかもしれないけど、もっと自分に合った、っていうと自分中心だけどそうじゃなくて、自分がいることによって、人が、世の中が、ちょっとウキウキするようなものに出会うということが、絶対にあると思うの。
出典:『9月1日 母からのバトン』
子どもたちにとって、自分がワクワクできるようなものを見つけるまでは、おそらく紆余曲折あることでしょう。不登校になった子どもたちは、どのように成長していくのでしょうか。
文部科学省では、15歳で不登校だった子どもたちに、5年後「自分の不登校を振り返ってどう思うか」という調査を行っていて、「行けばよかった」が38.9%、「仕方がなかった」が31.7%、「何とも思わない」と「行かなくてよかった」が29.3%と、「否定」、「肯定」、「どちらとも言えない」という回答が、それぞれ大体3分の1ずつに分かれています(※)。
この結果から、「不登校については、
肯定と否定のどちらかはっきり答えられない実情が見えます。ただ、みんなそれなりに山あり谷ありの人生を送り、大人になっていく。
不登校だから将来こうなるということは言えないのです」と石井さんは分析します。
■子どもにとっての「居場所」は外にあるとは限らない
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書籍では、ロバート・キャンベルさんが「学校以外にも
魅力的なハッチ(非常口)が必要だ」と語られています。子どもたちにとってどんな場所が非常口となるのでしょうか。
義務教育期間の子どもたちにとって、学校以外の選択肢を石井さんに教えてもらいました。
【学校以外の主な選択肢(小中学生)】
●教育支援センター(適応指導教室)
小中学校の不登校児童や生徒を指導、支援するため、全国の市町村の教育委員会が設置している。学校以外の場所や学校の余裕教室を使って開催されていて、無料で利用できる
●フリースクール
民間の教育機関で、利用料金の月額平均は33000円。全国に約500か所あり、その目的はそれぞれ異なっていて、内容もさまざま
●ホームエデュケーション
家庭をベースに学び育っていく教育方法のこと
「魅力的なハッチ(非常口)」となる子どもたちに合った居場所の見つけ方については、石井さんは次のようにアドバイスします。
「子どものために開かれている場所には必ず人が集まってきます。
その場所の人の集まり具合を見ること、そしてその場にいる子どもたちの表情を確認してください。子どもって、心から楽しければ笑顔が出ますから」(石井さん)
さらに石井さんは、「子どもにとって
必ずしも居場所は外にあるわけではない」と言います。「子どもにとっての居場所が、“自分の部屋”ということも大いにありえます。本人が
『いま、そこにいたい』と思える場所を尊重してあげてほしいですね」と話します。
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