麻薬(ケタミン)の点滴治療は、多くの研究および臨床報告から、自殺念慮の患者に非常に効果的であることが示されています。このため名古屋麻酔科クリニック(所在地:愛知県名古屋市)は、2023年12月より自殺念慮をその適応に加え、これまでのケタミン療法の経験と実績をもとに、苦しみから解放させることで社会問題に取り組んでまいります。その苦しみから解放されませんか名古屋麻酔科クリニック( )はこれまでに、うつ病、強迫性障害、PTSDに対してケタミン点滴療法を提供してきました。このたび、当院ケタミンクリニックではケタミン療法の適応を拡大し、自殺念慮に対するケタミン治療を開始しました。生きる中での人々の痛みや苦しみを少しでも減らしたいという強い思いから、15年前に麻酔科(ペインクリニック)および心療内科として当院はスタートしました。その後も、社会に広がるさまざまな苦しみに対しても、どこに問題がありどうにか出来ないか考え続けています。当院では当初からケタミン療法を行っており、これまでに1,300回以上のケタミン点滴の実績があります。また、海外を含む他にはない当院オリジナルのケタミン療法も提供しており、頸部硬膜外ブロック併用ケタミン療法(300例以上)や、催眠療法併用ケタミン療法などがあります。さらに、名古屋麻酔科クリニックではケタミン療法以外にも、肩こりに対するエコーガイド下ボトックス治療やテニス肘に対するエコーガイド下PRP治療なども行っています。【自殺念慮とケタミン療法について】2022年には、21,881人の日本人が自殺で亡くなりました。WHOが「自殺はその多くが防ぐことのできる社会的な問題である」と述べ、自殺は社会の努力によって「避けることのできる死」であるとの共通認識が広がっています。ケタミンは、うつ病患者への効果だけでなく、急性の自殺念慮のある患者を助ける研究結果も多く報告されています。その一部を抜粋します。(1) BMJ(2022)に掲載された二重盲検ランダム化プラセボ対照試験では、自殺念慮の強い急性期治療において、ケタミンが効果を示しました。ケタミン群では、プラセボ群よりも3日目に自殺念慮の完全寛解に達した参加者が多く、副作用は限定的で、精神的苦痛をやわらげる効果も確認されました。この研究は、ケタミンが迅速で安全であり、自殺念慮のある患者の急性期治療に持続的な利点があることを示しています。ケタミンによる自殺念慮の変化(2) The Journal of Clinical Psychiatry(2022)の研究では、治療抵抗性うつ病や自殺念慮に対するケタミンの効果が示されました。患者のうつ病症状が50%の奏効率や20%の寛解率を達成し、治療において大きな進歩が見られました。治療にはケタミンの一連の点滴が含まれ、15回の注入後に自殺念慮を持つ患者の85%が完全に解消されました。(3) The Journal of Clinical Psychiatry(2021)の研究では、ケタミンが1回投与されると、自殺念慮のある患者のうつ病症状が軽減され、自殺願望が急速に低減したことが示されました。この効果は認知機能の改善とも関連しており、安全性が確認されました。ケタミンが効果的に神経認知能力を向上させ、自殺念慮を減少させると結論しています。「より明確に考えることができるようになると、自殺願望が薄れる可能性があります」とも述べられています。【ケタミンについて、その危険性、依存性について】ケタミンは、50年以上の歴史を持つ広く使われている全身麻酔薬で、最近では精神障害や慢性疼痛の治療にも使われてきました。症状の軽減に時間がかかる従来の薬とは異なり、ケタミンは投与後数時間から最長3週間以内に急速な緩和をもたらします。さらに、長期的な副作用も少なく、有望な治療法であるとされています。ケタミンは、2007年以来、日本では麻薬及び向精神薬取締法の麻薬に指定されており、乱用が問題視されています。一時期は「K」や「スペシャルK」として知られ、幻覚作用があることからクラブでの流通も見られました。乱用者は平均20日/月以上使用すると抑うつ状態が増加し、記憶力低下が見られる一方で、低頻度で使用した者や過去使用者では差がないとされています。ケタミンは中毒性があり得ますが、専門的に監視された注入の設定ではほとんど中毒の可能性がなく、医療処置や手術において安全に使用されています。ケタミンの依存の可能性はニコチンやアルコールよりも低いとされ、モルヒネ等の医療麻薬と比較しても低い水準であるとされています。中毒を防ぐためには、低用量のケタミンをゆっくり注入し、監視された安全な環境で医療提供者の監視下に置くことが重要です。メンタル疾患治療の一環として使用される場合、ケタミンには中毒性がないように配慮され、患者の安全が確保されます。ケタミン点滴を知ってますか【ケタミン療法の適応について】ケタミンは、麻酔薬としての従来の臨床使用を超えて、他の症状の治療においても良好な結果を示すことが増えています。A. ケタミンが非常に効果的であることを示す実質的な研究データと臨床データがあります。・うつ病・自殺念慮・重度のPTSDB. ケタミンが効果的であることを示す多くの研究論文と臨床データがあります。・重度の不安障害・重度の双極性障害・薬物依存症のリハビリテーション・神経因性疼痛・CRPSまたはRSD・がん性疼痛症候群・幻肢痛C. 十分な臨床証拠があるが、ケタミンが以下の最悪の症状を緩和するのに効果的であると思われることを示す研究論文はあまりありません。・線維筋痛症・三叉神経痛・重度のOCD・帯状疱疹後神経痛・糖尿病性神経障害・脳卒中または外傷に関連する中枢性疼痛症候群・慢性片頭痛D. ケタミンが症状の軽減に効果がある可能性があることを示す論文と臨床経験が限られています。・慢性ライム痛・慢性骨盤痛・脊髄損傷の痛み・多発性硬化症の痛み・摂食障害(拒食症、過食症など)・間欠性爆発性障害、衝動性と過敏症・レット症候群・社会不安障害・自閉症スペクトラム障害の社会性およびうつ病の症状(また、言語化が増加し、常同行動や抵抗行動が減少する可能性もあります)・パーキンソン病とアルツハイマー病のうつ病と記憶力低下に・いくつかの形態の難聴と耳鳴りケタミン療法が良いこと、または良い可能性があることのリストは驚くほど多いです。ケタミン療法には神経系に独特の効果があり、多くの病気に効果をもたらします。研究者や臨床医は、さまざまな適応症に対するこの薬の最適な使用法と最も適切なプロトコルを定めようとしています。過去の数多くのケタミン治療経験と、適切な訓練を受けた医師が、また使用する上でこの薬の十分な情報を熟知しているからこそ、安心して治療を受けることができます。【ケタミンクリニックについて】名古屋麻酔科クリニックでは、さまざまな痛みや精神疾患に対するケタミン点滴の豊富な経験や知識を生かし、ケタミンクリニックを行っています。ケタミン点滴はまず2~3週間に6回まで集中治療として点滴を受けることができます。1回目で効果がなくても、2回目、3回目で効果が出ることがよくあるので、少なくとも3回はケタミン点滴を試してみることを勧めています。はじめの集中治療のあとは、月に1回の維持療法を行うことができます。継続しても長期的な副作用が少ないことで知られています。名古屋麻酔科クリニックは、2023年12月より、当院のケタミン療法において不安障害の適応を拡大しました。治療に窮している患者さんに革新的な治療を提供することを目指します。同クリニックは、ケタミン点滴の豊富な経験をもとに、画期的でエビデンスに基づいたアプローチで、治療抵抗性の症状に悩む患者さんをサポートします。お待ちしています【クリニック概要】名古屋麻酔科クリニック所在地 : 〒464-0837 愛知県名古屋市千種区丘上町2丁目49-4URL : Mail : mail@nagoyamasui.com ●ケタミンクリニックについてURL: ●首こりボトックスURL: ●テニス肘PRP療法URL: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年11月30日今月23日、米テキサス州サンアントニオ国際空港で、職員がデルタ航空機のエンジンに吸い込まれて亡くなった。郡検死官局は彼の死を自殺と断定し、これを受けて国家運輸安全委員会(NTSB)はこの事件の調査を打ち切った。PEOPLEなどが報じている。23日午後10時25分頃、ロサンゼルスから到着したばかりのデルタ1111便はゲートに向かってタキシング中だった。KENS 5によると、空港のランプ作業員として働いていたのデヴィッド・レナーさん(27)は作動していた1基のエンジンに飲み込まれ、「重く、鋭利な力による損傷」で命を落としたという。PEOPLEによると、亡くなった状況に事件性はなく、NTSBの広報担当者は「飛行機にも空港の運営についても安全上の問題はありませんでした。この件についての調査を再開することはありません」とコメントしている。レナーさんの兄ジョシュアさんはDailyMailの取材に応え、「離婚した家の子どもがそうであるように僕らは2つの家で生活し、時に状況は複雑でした」と語る。デヴィッドさんは過去に自殺未遂を起こしていたが、ここ数カ月はドラッグをやめ、懸命に仕事に打ち込み、自傷行為の兆候もなかったという。■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年06月28日6月27日、歌舞伎俳優の市川猿之助こと喜熨斗(きのし)孝彦容疑者(47)が母親に対する自殺ほう助の疑いで逮捕された。報道によれば、猿之助容疑者は「両親が自殺する手助けをしたことに間違いない。私も後を追って自殺するつもりだった」と逮捕後の取り調べに供述したという。先月18日に東京都内の自宅で、父・市川段四郎さん(享年76)と母・延子さん(享年75)とともに倒れているのが発見され、両親は死亡が確認された“一家心中事件”。司法解剖の結果、両親の死因は向精神薬中毒で死亡した疑いがあることが判明した。「猿之助さんは逮捕前の取り調べで、『死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ』『ビニール袋を両親に被せた』と供述していました。警視庁が慎重に捜査を進めた結果、猿之助さんが自らに処方された睡眠薬を用意するなどして延子さんの自殺を手助けしたとの判断から逮捕に至ったといいます。警視庁は現在、段四郎さんが死亡した経緯についても慎重に調べています」(全国紙記者)猿之助容疑者をめぐっては、一部週刊誌で弟子やスタッフらにセクハラ・パワハラが報じられていた。逮捕された同日には、「週刊誌報道をきっかけとして家族会議が行われ、みんなでさよならすることにした」と逮捕前の任意聴取で語っていたことも明らかになった。逮捕を受けて猿之助容疑者の所属事務所は、公式サイトを通じて《このような事態に至りましたことを重く受け止め、今後も当局の捜査に協力して参ります》とコメント。歌舞伎の興行元である松竹も、《これまで数多くの歌舞伎公演に出演いただいた弊社としましては、このような事態に至りましたことを重く受け止めております》とコメントを発表し、捜査の行方を見守る意向を示した。しかし、逮捕されてしまったことで、猿之助容疑者の復帰は絶望的だという。「猿之助さんは澤瀉屋の当主として一門を率いてきました。事件発生後は中村隼人さん(29)や甥の市川團子さん(19)らが代役を務め、隼人さんは明治座代役の千穐楽の終幕後に『われわれは猿之助兄さんに育てられ、支えられて今があります』と挨拶しました。松竹も猿之助さんについては10月まで休演すると発表していましたし、皆が猿之助さんの復帰を待っていたのでしょう。しかし、一門の座頭が母親に対する自殺ほう助で逮捕されるなんて前代未聞のこと。明治時代から続く“市川猿之助”の名を汚してしまった今、有罪にならなかったとしても再び舞台に立つのは難しいのではないでしょうか」(歌舞伎関係者)一方、ドラマや映画でも活躍していた猿之助容疑者だが、芸能界を追放される可能性も指摘されている。「猿之助さんが総理大臣役で出演していた劇場版『緊急取調室 THE FINAL』は、事件発生後に6月16日の公開を見送りました。製作のテレビ朝日は猿之助さんの逮捕を受けて『公開延期という判断に変更はありません』とコメントしていますが、ますます公開は難しくなるのではないでしょうか。過去に逮捕・起訴された俳優を見ても、第一線で再起するのは困難なはず。制作サイドも起用をためらうでしょうし、共演NGを申し出る俳優がいてもおかしくありません」(芸能関係者)猿之助容疑者が引き起こした代償はあまりにも大きい。不安を抱える澤瀉屋の行方は、果たしてーー。
2023年06月27日毎年3月は、自殺対策強化月間であることを知っていますか。厚生労働省は、相談支援体制の拡充や相談の呼びかけなど、自殺防止に向けた啓発活動を実施しています。自殺者数の増加2023年3月14日、警察庁は2022年の自殺者数の確定値を公表しました。男性の自殺者数は13年ぶりに増加。女性に関しては、3年連続で増加しています。小中高生の自殺者数は、暫定値で512人、確定値で514人と過去最多でした。「子供の自殺が過去最多」文科省の発表が衝撃すぎる「これが日本の現実」「そりゃ出生数も落ちるわ」女性の自殺者数が年々増加していることが問題視されていますが、2022年の男性の自殺者数は、女性のおよそ2.1倍で1万4千746人。性別に関わらず、国として大きな問題であることに違いありません。ネット上では、「少子化問題に加えて、自殺者数の増加もあるのか…」「さまざまな理由があれど、悲しいことだな」という声が上がりました。2003年をピークに、減少傾向にあった日本の自殺者数ですが、新型コロナウイルス感染症の流行以降は増加傾向。厚生労働省自殺対策推進室は「影響の分析を深めていく」としています。誰もが相談できる環境に自殺者数が増加傾向にある中行われている、自殺対策の強化。厚生労働大臣は、悩みを持つ人に向けたメッセージを、同省のウェブサイトに掲載しています。悩みをお持ちの方、困っている方は、どうか一人でかかえこまないでください。まずはご家族やご友人、職場の同僚など、身近な人に相談してみてはどうでしょうか。また、身近な人に話しづらい時には、悩みや困りごとの内容に応じた電話やSNSでの相談窓口もあるので、どうぞお気軽にご利用ください。人に話してみることで、気持ちが楽になるのではないでしょうか。ご家族、ご友人、同僚など、身近な人の様子がいつもと違うと感じた場合には声をかけてみましょう。声をかけあうことで、不安や悩みを少しでもやわらげることができるかもしれません。あなたの声かけを待っている人がいます。厚生労働省ーより引用同時に、同省のウェブサイトでは、対面でない形式で相談ができる電話相談窓口や、SNSを使用したオンラインチャットでの相談窓口を紹介しています。まもろうよこころほかにも、関係府省庁、自治体、関係団体がさまざまな自殺防止に向けた活動を行っていますが、このことが周知されているとはいえないのが現状です。また、心理的なハードルの高さから、自殺を考えている人が、身近な人や各種窓口に相談することは、簡単なことではありません。自殺者数が増加の一途をたどらないようにするためには、悩みを抱える当事者が相談しやすい環境を、人々が当事者意識を持って整えていくことが重要なのではないでしょうか。厚生労働大臣のメッセージにもあるように、「人に話してみることで気持ちが楽になる」という経験をしたことがある人は、少なからずいるでしょう。私たち一人ひとりが、悩みを抱えている人の変化に気付いたり、耳を傾けたりすることが、誰かを救う手助けになるかもしれません。悩みの内容によっては、自治体などの窓口につなげることも、私たちにできることの1つです。[文・構成/grape編集部]
2023年03月15日2023年2月28日、文部科学省は、令和4年の児童・生徒の自殺者数を公表。暫定値で512名となり、前年を上回る過去最多の人数であると報告しました。永岡桂子文部科学大臣は同日に行われた会見の中で、子供の自殺について「憂慮すべき状況と考え、大変重く受け止めている」とし、次のようにコメントをしています。児童・生徒らのみなさんは、悩みや不安を抱えていて、孤独感を感じていても、決して1人ではなく、私をはじめとする見方になってくれる大人は必ずいるということを知っていただきたい。また、保護者や学校関係者の皆さん方におかれましても、生徒児童等の態度に表れる微妙なサインに注意を払い、不安や悩みの声に耳を傾けていただきたいと思っております。永岡文部科学大臣会見(令和5年2月28日):文部科学省ーより引用3月は自殺対策の強化月間となっており、同省は厚生労働省と連携し、子供たちに向けたメッセージを発信。教育委員会にも通知をしています。メッセージは同省のウェブサイトに掲載されており、同じページから『子供のSOSダイヤル等の相談窓口』にもアクセスすることができます。「子供の自殺者数が過去最多となった」という発表は反響を呼び、ネット上ではたくさんのコメントが寄せられていました。・子供が追い詰められるなんて、悲しすぎる。・産まれた命を健やかに育むことができない社会なんて絶望的。そりゃ出生数も落ちる。・これが日本の現実。未遂の子供たちを含めたら、とんでもないことになりそう。・若い人が希望をもって生きていける社会であってほしい。そういう社会を作りたいよね。厚労省の統計によると、10代の死因1位が自殺である日本。人口10万人当たりの自殺者数を示す、自殺死亡率は先進諸国に比べて高い水準にあるといわれます。日本の社会に生きる子供たちは、いじめや貧困、教育の格差などさまざまな問題に直面しています。未来に希望を感じられず、不安や閉塞感の中で苦しんでいる子供は少なくないのかもしれません。2023年1月の通常国会で岸田文雄首相は、子供に関わる施策について「異次元の政策を実行する」と表明していますが、いつ、どんなことをするのかなど内容はまだ明らかになっていません。子供が健やかに育つことができる社会にしていくためにも、「自治体任せではなく国が主体となって子供に関わる予算を増やし、真剣に問題に向き合ってほしい」と多くの人が願っています。[文・構成/grape編集部]
2023年03月01日6月8日、「文春オンライン」によって、昼の情報バラエティ番組『ポップUP!』(フジテレビ系)で同番組のアシスタントプロデューサーA氏が、二度、自殺未遂をしていたと報じられた。上司であるチーフプロデューサーX氏からパワハラを受けていた疑いがあるという。同記事によると、今年5月上旬、以前からA氏に厳しく接していたX氏はこの日、特に激しくA氏を叱責。そしてその数時間後にA氏は大量の薬を服用し、自殺未遂を起こしたと伝えられている。さらに5月22日にも、自宅で自殺未遂を起こしたという。『週刊文春』の取材に対しA氏は「事実です」と認め、フジテレビ側は《ご指摘があった番組CP(チーフプロデューサー)の言動等に関しては、当時の状況など詳細を確認しているところです》と答えたという。今回、自殺未遂事件が明らかになった『ポップUP!』だが、4月4日に『バイキングMORE』の後番組としてスタートばかり。しかし、開始から2カ月にして、問題が山積しているようだ。あるテレビ局関係者はいう。「番組開始直後の4月上旬放送回での番組内の発言が、“差別表現ではないか?”と物議を醸し、番組のエンディングで番組MCの佐野瑞樹アナ(50)が謝罪することに。また木曜日のパーソナリティーを務める高嶋政宏さん(56)は、出演した女性ゲストが話したアルバイトの体験談に対して、『お客さんから“あーんプレイやってもらっていいですか”とかありましたか?』や『俺だったら(匂いを)嗅ぎたいですもん』などと話し、“セクハラ”と炎上してます。さらに視聴率も振るわず、スタート直後の4月7日に世帯視聴率1.6%を記録すると、その後も1%代を頻発し、今のところ改善の兆しは見られていません。そんななかで、今回のパワハラによる自殺未遂報道で、番組のイメージは悪くなるばかり。さらなる視聴率の落ち込みも予想されます」問題が連発し、“お先真っ暗”な『ポップUP!』。SNS上でも厳しい声があがった。《ポップUPは打ち切りでいいでしょ。》《番組もおもろないし番組打ち切りや!》
2022年06月09日神奈川県内の精神医療を担う横浜市立大学精神医学教室(所在地:神奈川県横浜市、教授:菱本 明豊、助教:宮崎 秀仁)は、県内の中学校・高等学校の教員を対象に子どもの自殺予防を目的とした「神奈川県学校自殺対策支援プロジェクト(ReSPE-K)」を令和3年9月8日(水)に始めました。事業詳細についてはホームページを参照ください( )。■背景新型コロナウイルス感染症の蔓延によりメンタルヘルスの問題を抱える子どもが増加しています。夏休み明けが子どもの自殺が最も増加する時期と言われますが、一方で学校教員の自殺予防に関する知識と経験は十分とは言えません。子どもの自殺予防の実践のために学校教員の自殺に関する知識定着と偏見解消を狙った教育プログラムを実施することとしました。■展開内容(1) 全体の流れ「精神医療編」「心理支援編」「社会支援編」の自殺に関する3つのテーマを精神科医が情報提供します。いずれもテーマでも精神科医とのディスカッション・事例検討を盛り込んでいます。その他、精神科医が現場での困りごとにも相談に乗ります。また役立つ情報を記載した資料提供も行います。(2) 講義内容「精神医療編」:自殺と関係する脳と心の状態や精神疾患の治療と予後について「心理支援編」:自殺を考える子どもの心理的背景と実際の対応について「社会支援編」:自殺総合対策大綱に基づく学校で出来る自殺予防について(3) 研究活動本プロジェクトによって学校教員の自殺に関する偏見を減らすことへの効果を測定するために、知識提供前後にアンケートを行い調査します。■今後の展開現在、すでに初回講義を開始しておりますが、随時県内の中学校・高等学校で参加校を募集中です。当該学校の責任者より以下の連絡先にお問い合わせ下さい。■組織概要組織 : 横浜市立大学精神医学教室代表者 : 教授 菱本 明豊プロジェクト責任者: 助教 宮崎 秀仁所在地 : 〒236-0004 神奈川県横浜市金沢区福浦3-9課題名 : 2020年度研究活動スタート支援(課題番号:20K22246)による「自殺予防のための学校教員を対象とした精神保健教育の効果に関する研究」研究資金 : 150万円URL : 【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター担当 : 宮崎 秀仁TEL : 045-261-5656E-MAIL: hidem1117pc@yahoo.co.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月14日16歳の少年が誤って発砲して母親を撃ち殺し、その後自殺したと米オクラホマ州デルシティ警察が発表した。地元テレビ局KFORなどが報じている。警察の発表によると、7月31日午後11時過ぎ、16歳の少年が自宅リビングでピストルを持って遊んでいたところ銃が暴発。弾丸はリビングとキッチンを隔てる壁を貫通し、少年の母親ステファニー・ロウショーン・ジェニングスさん(36)の頭部に当たった。「彼女はその場で床に倒れ、死亡しました。(少年は)持っていた銃が暴発したこと自体、ひどく恐ろしかったと思います。さらに、自分が母親を撃ってしまったという事実を目の当たりにした彼の気持ちは想像もできません」とデルシティ警察所長ブラッドリー・ルール氏は記者会見で述べた。少年は、キッチンで血を流している母親を見て外へと飛び出し、同じ銃を自分に向けて自ら命を絶ったという。事件が起こった当時、リビングには目撃者がいたようだ。「目撃者に何が起こったかを聞きましたが、それは現場の状況と一致しました。目撃者は少年が自殺するつもりで外に出て行ったことは知らなかったと思います」と、ルール氏はPEOPLEの取材に語っている。KFORは遺族にコメントを求めたが、取材は拒否されたと伝えている。他のあらゆる事件の可能性をつぶすため、警察は徹底的に捜査を続けると、ルール氏は強調したという。
2021年08月04日厚生労働大臣指定法人 いのち支える自殺対策推進センターが主催する「第1回 自殺報道のあり方を考える勉強会~報道の自由と自殺リスクの狭間で~」が20日、オンラインで開催され、100人超えるメディア関係者が参加した。○■報道が後押しになってしまった同センターの清水康之代表理事は、昨年7月の有名俳優、同9月の有名女優の自殺報道後に自殺者数が急増したという状況を報告。それに加え、相談窓口に寄せられた「有名人の自殺に関する記事が気になってネットで読み続けているうちに、死にたい気持ちが再燃してしまった」といった実際の声を踏まえ、「新型コロナの影響によって、仕事や生活、人間関係等に関する悩みや不安を抱えていた人たちが、相次ぐ有名人の自殺報道に触れて、自殺の方向に後押しされてしまった。それで実際に亡くなる人が増加したのではないかと、私たちは捉えています」と、分析データに基づいて説明した。昨年は有名人の自殺が相次ぎ、同センターではそのたびに、WHOが定める「自殺報道ガイドライン」を踏まえた報道の徹底を要請する注意喚起の文書をメディア各社(82社242媒体)に向けて送付したが、その回数は昨年だけで9回にも及んだ。そうした取り組みもあり、最近では自殺報道のニュースや記事の最後に、悩んでいる人に向けた相談窓口を周知するメディアが増加。この結果、報道後に窓口への相談が殺到するようになったそうで、「相談を受けた中には、まさに死のうと思っていた方もいらっしゃいました」(清水氏)と、具体的に抑止につながった事例もあったそうだ。○■死にたい気持ちに前向きに対処した体験を伝える…NHKの取り組みこの勉強会では、NHKでの自殺抑止への取り組みについても紹介された。同局では、死にたい気持ちに前向きに対処した物語を伝えるなど、自殺報道の仕方によって自殺を抑止するという「パパゲーノ効果」に着目。放送番組やウェブで、死ぬこと以外の道を選んだ人の体験談を伝えることで、自殺抑止を目指すプロジェクトを展開している。番組は、中川翔子、大森靖子ら有名人を含む5人のパパゲーノ(=死にたい気持ちに前向きに対処した人)へのインタビューで構成し、放送後に動画を特設サイトで公開。中川は、18歳のときに本気で「死のう」と思ったとき、目の前に通りかかった猫をふと触ったことがきっかけで気が紛れ、「今日は1回やめようかな」と思い立ち、そこから気持ちが変わったという体験を話している。こうした動画に対し、SNSでの反響は「否定的なものは少なかったと感じています。特に多かったのは『自分もそういう気持ちである』と共感したり、つらい気持ちを吐露するものや、『自分の場合はつらいときにこうしてる』という知恵の共有といったリアクションが見られました」(NHK大型企画開発センター 渡辺由裕チーフ・プロデューサー)という。また、これによる抑止効果を測定するため、それぞれのインタビュー動画を視聴した人へのアンケート調査を実施。対象者の「死にたいと思ったことがある」程度によって差はあるものの、4割以上が「ポジティブになった」、5割以上が「死にたい気持ちがやわらぐ」、約6割以上が「共感できる」と回答しており、一定の効果が見られた。今後は、引き続きコンテンツを増やし、取り組みをブラッシュアップすることや、放送時間やメディアの検討を進める方針。また、「1週間以内に死にたいと思ったことがある」という人への効果が低い傾向が見られたため、その対応策を検討するとしている。悩んでいる方の相談窓口があります。下記をご覧ください。・電話:よりそいホットライン・SNS:生きづらびっと・いのちと暮らしの相談ナビ(相談窓口検索サイト)
2021年06月21日文/RKRKコロナ禍で、深刻になる“自殺”の問題。それを防ぐために周囲の人々は何ができるか、国立大学法人千葉大学医学部附属病院の医師の監修のもとで1枚のマンガにまとめられ、公開されました。マンガを作ったのは、医師をはじめ、救命医療士や看護師など“医療のプロ”が集結し、救急医療支援システム『Smart119』の開発・運営をする、株式会社Smart119です。今回は、周囲の人がサポートできる「コロナ自殺」の対策とチェックの方法について、5つのステップでわかりやすく紹介されています。自殺を考えているひとがいたとき、どうすればいいの?新型コロナウイルスが猛威を振るっている現在、感染や医療崩壊とともに深刻なのが、コロナ禍で経済的にも社会的にも追い詰められた人々の「自殺」です。2020年10月の日本の自殺者数は、前年の同月と比較し+39.9%の2,153人まで増加しており(厚生労働省および警察庁調べ)、特に女性の自殺者数の増加率は82.6%と大幅に上昇しています。そんな中で公開された『救急・集中治療医とこころの専門家が教える正しい 自殺を考えているひとがいたときの5ステップ』は、千葉大学医学部附属病院こどものこころ診療部で副部長・講師を務める佐々木剛医師と、同大学教授で株式会社Smart119の設立者でもあり、代表取締役社長/CEOを務める中田孝明医師が監修をしています。学校や企業、公共機関などで自由に配布・利用することができます。今回、重要なポイントとしてあげられているのは、下記の5つのステップです。「どのように傷ついているか」「どうしたら助けられるか」を質問する孤立状態をつくらないようにする考えている手段や計画を具体的に聞き、緊急性を把握することで自殺発生を抑える自殺に関する相談窓口・サポート施設・専門家とつながる手助けをする継続的に接し、他にできることはないかを確認するうつ状態や無気力になり自殺を考えている人々を守るには、ある程度踏み込んだ形で、積極的にコミュニケーションを取る必要があるとのこと。家族や友人が、いつ苦しい状況に陥るか分かりません。その時のためにも、ぜひこの5つのステップを覚えておいてください。【参考】【コロナ自殺を防ぐために】周囲の人々ができること・5つのステップ - PR TIMES(株)Smart119 提供
2020年12月26日「ある地域の“いのちの電話”の担当者によると、竹内結子さんの自殺が報じられた翌日と翌々日に電話件数が増加し、しかも女性の割合が8割以上だったそうです。その担当者は、電話の際に、竹内結子さんの名前を出す人が多いと感じていたそうです」こう語るのは長年、自殺問題の取材をしてきたジャーナリストの渋井哲也さんだ。今年1月、次男を出産後、8カ月で自ら命を絶った竹内結子さん(享年40)。発売中の『LEE』10月号のインタビューでは、赤ちゃんとの久々の生活をこう語っていた。《わかっていたつもりでしたが、眠れないし、もらった風邪はなおらないし……。赤ちゃんのお世話は本当に大変ですね。育児の常識も長男のときとは変わっていることが多くて、育児雑誌で離乳食について調べたりしています》実は、出産後1年未満での死因第1位が「自殺」だったという衝撃的なデータが発表されている。国立成育医療研究センターが出産後1年未満の女性について分析したところ、’15~’16年の2年間で「自殺」が92人で最も多かった。専門家の多くは産後うつが関係しているとみているという。「がん」が70人で続き、次が「心疾患」の24人だった。92人の命を絶った時期を調べると、出産直後の1カ月で10人。その後も続き、9カ月で最多の13人だった。同センターこころの診療部・立花良之診療部長に、このデータ結果について聞いた。「あくまで一般論としてですが、産後の自殺で多いのは3~4カ月、その後は減り、また8~9カ月ごろにも増えています。明確な理由は不明ですが、8~9カ月頃に自殺者が多い理由の可能性として次のようなことが考えられます。まず、産後うつが長引いている場合。産後うつの症状は産後2週間~1カ月くらいなど比較的早い時期が多いです。しっかり休むことで数週間位でよくなることが多いです。こじらせてしまうと回復に月単位以上かかってしまうことがあります。産後うつの要因には色々なことがいわれています。3~4カ月の場合は、出産後の母体のコンディションなども影響しているかもしれません。一方で産後8~9カ月など時間が経ってからうつ状態になった場合、“産後うつ”ではなく“育児期のうつ”ということになります。育児期の疲れが心身ともにあるところに、もともとの要因、例えば“つらい気持ちになりやすい”などが重なって死にたい気持ちになってしまうことがあります。この時期のうつ状態の要因はケースバイケースで一概には言えません」公表されたデータによると、産後1年未満の自殺者92例の年齢では、35歳以上が多かったという。「データも少ない母集団なので、強いて言うならば、20代に比べれば体力的につらくなりやすいのかもしれません。ただ逆に、若い人よりも年齢を重ねた方の方が、経験が積み重なっている分上手く育児をできる面があるかもしれません。ですが、うつ状態になると脳機能が一時的に低下するので、そうした対処もむずかしいです」高齢出産の場合、産後の回復も遅れがちだ。心身ともに負担を感じる母親も多いのだろうか─―。そして今、産後の女性に決して無視できないのがコロナ禍という特殊な状況だという。「コロナ禍というのは、お母さんたちのストレスにも影響を及ぼしていると思います。 『子どもがコロナにかかるのが心配で外出するのが怖い』という方は、当院の外来でもいます。引きこもりに近い状態になっている方にもお会いします。子どもを守らないといけないという気持ちから、不安を抱えるのも無理はないと思います」出産後の自殺者をこれ以上、増やさないためにはどうすれば……。「強調したいのは“産後うつ=自殺”ではないということです。産後うつになる人はとても多いですが、自殺に至ってしまうのはその一部の方です。また、産後の時期に自殺するのは他の要因による場合もあります。産後うつだと感じたら、つらい気持ちを一人で抱え込まずに誰かに話を聞いてもらうことも大切です。つらい気持ちをパートナーや家族など、周りの信頼できる人に話す。そうした相手がいなければ、地域の保健センターなど相談機関で話す。また、できる限り負担を減らして、心身ともにしっかりと休むことが大事です」産後の母親のケアはもはや社会問題なのだ─―。■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)「女性自身」2020年10月20日号 掲載
2020年10月06日「自殺者ゼロの国にしたいんです。みんなが『死にたい』なんて思わなくてすむ国に。だから“いのっちの電話”をやっています」そう話すのは、建築家や作家、画家など多彩な顔を持つ坂口恭平さん(42)。坂口さんは2011年、福島第一原発事故をきっかけに、東京から故郷の熊本へと家族で移住。自身も躁鬱病に苦しみながら、自分を含め「誰も自殺してほしくない」との思いから、みずからの携帯電話番号(090-8106-4666)を公開し、この10年間、たった一人で自殺願望を抱える人々の相談を約2万件受けてきた。その名こそ“いのっちの電話”。政府が行う「いのちの電話」をもじって付けた。近著『苦しい時は電話して』(講談社現代新書)でも、「死にたくなるのは懸命に生きているから」だとし、坂口流の生き抜くコツを紹介している。そんな坂口さんの“いのっちの電話”に、8月になってから電話が急増しているという。「それまでは1日に5件ほどだった電話が、8月に入って15分に一度のペースでかかってきます。最多で1日100件受けたことも」7割が女性で、20代から80代と幅広い。「社会から孤立していって、仕事もうまくいかない。親やパートナー、あるいは会社の上司などから、なんらかのハラスメントを受けている人も多い。みんな、こんな悩みは私だけかもしれない、と思って電話してくるけど、同じ人がかけてきたのかな、と思うほど声色も似ていて、共通点があるんです」実際に自殺者数は増えている。警察庁の調べによると、今年8月に全国で自殺した人の数は速報値で1,849人。去年同時期に比べ、246人(15.3%)増えた。増加した246人のうち186人が女性だという。坂口さんは、その背景には経済的な問題があると感じている。「そもそも、電話をかけてくる人たちの賃金が低すぎるんです。手取り13万円以下という人が本当に多い。生活保護以下ですよ。いくら仕事を頑張っても賃金に反映されず、虚無感がつねにある。でも、会社に文句を言ったら解雇されるから、そこで頑張るしか道がないと思い込んでいるんです。そして、そのほとんどの人が、生活が苦しいのは自分のせいだと自分を責め続けています。でも、労働が正しく賃金に反映されないという“苦役”に近い状況下で、精神状態を冷静に保てるほうが難しいでしょう。賃金が低すぎることに気づいていない人も多い。君のことを何も評価してくれない会社と、なんで付き合うんですか。結局、多くの人が自分のせいだと思っている悩みは、個人じゃなくて国家がつくった問題だと思う」では、死なずにすむためには、どうしたらいいのかーー。「働いてもまともに生活できないとか、上司からハラスメントを受けるとか、そんな会社にいて死にたくなっているくらいなら、ソッコーで辞めて生活保護をもらってください。なんのために税金を納めているんですか。この国の生活保護は月13万円。毎日働いてそれ以下の給料しかもらえないなら、国も受ける権利を認めているってことです。最低限の生活を保障するベーシックインカムなんですよ。ところが、多くの人が借金までして自分の首を絞めている。生活保護をもらうなんて、つまんねぇヤツみたいな自意識が、みんなの中にあるんですよね。でも、それで自分の生活が安定すれば、社会に還元することもできる。僕に電話をくれたある人は、脳梗塞で倒れてから介護の仕事ができなくなったと。でも、生活保護を受けながら、近所のじいちゃん、ばあちゃんに介護のコツを教えているそうです。だから、生活保護で生活が安定している間に、自分が本当にやるべきことを見つけて、次のステージに進んでほしい」「女性自身」2020年10月13日号 掲載
2020年10月02日コロナ禍に加え、有名人の自殺報道が相次いだ影響か、国内の自殺者数が増えているーー。「自殺者ゼロの国にしたいんです。みんなが『死にたい』なんて思わなくてすむ国に。だから“いのっちの電話”をやっています」そう話すのは、建築家や作家、画家など多彩な顔を持つ坂口恭平さん(42)。坂口さんは2011年、福島第一原発事故をきっかけに、東京から故郷の熊本へと家族で移住。自身も躁鬱病に苦しみながら、自分を含め「誰も自殺してほしくない」との思いから、みずからの携帯電話番号(090-8106-4666)を公開し、この10年間、たった一人で自殺願望を抱える人々の相談を約2万件受けてきた。その名こそ“いのっちの電話”。政府が行う「いのちの電話」をもじって付けた。近著『苦しい時は電話して』(講談社現代新書)でも、「死にたくなるのは懸命に生きているから」だとし、坂口流の生き抜くコツを紹介している。そんな坂口さんの“いのっちの電話”に、8月になってから電話が急増しているという。「それまでは1日に5件ほどだった電話が、8月に入って15分に一度のペースでかかってきます。最多で1日100件受けたことも」7割が女性で、20代から80代と幅広い。「社会から孤立していって、仕事もうまくいかない。親やパートナー、あるいは会社の上司などから、なんらかのハラスメントを受けている人も多い。みんな、こんな悩みは私だけかもしれない、と思って電話してくるけど、同じ人がかけてきたのかな、と思うほど声色も似ていて、共通点があるんです」実際に自殺者数は増えている。警察庁の調べによると、今年8月に全国で自殺した人の数は速報値で1849人。去年同時期に比べ、246人(15.3%)増えた。増加した246人のうち186人が女性だという。では、死なずにすむためには、どうしたらいいのか。坂口さんは、その背景には経済的な問題があると感じている。「働いてもまともに生活できないとか、上司からハラスメントを受けるとか、そんな会社にいて死にたくなっているくらいなら、ソッコーで辞めて生活保護をもらってください。なんのために税金を納めているんですか。この国の生活保護は月13万円。毎日働いてそれ以下の給料しかもらえないなら、国も受ける権利を認めているってことです。最低限の生活を保障するベーシックインカムなんですよ。ところが、多くの人が借金までして自分の首を絞めている。生活保護をもらうなんて、つまんねぇヤツみたいな自意識が、みんなの中にあるんですよね。でも、それで自分の生活が安定すれば、社会に還元することもできる。僕に電話をくれたある人は、脳梗塞で倒れてから介護の仕事ができなくなったと。でも、生活保護を受けながら、近所のじいちゃん、ばあちゃんに介護のコツを教えているそうです。だから、生活保護で生活が安定している間に、自分が本当にやるべきことを見つけて、次のステージに進んでほしい」本当にやるべきこととは、「自分の魂が震えるようなこと」だと坂口さんは言う。「わかりやすく言えば、自分が心地よいと感じること。体が自然に動くことです。それを日課にしてみて、とアドバイスしています。たとえば僕の日課は、毎朝4時に起きて原稿を10枚書く。9時からはジムで1時間、汗を流す、昼は自分で作った昼食を食べながら休憩。午後からはアトリエに行って、大好きなパステル画を描く。夕方になったら、畑で野菜を収穫して。こうした日課をこなしながら、いのっちの電話を受けています。日課を継続するうち、死にたい気持ちがなくなっていく。つまり、自分の薬をつくるってことなんです。僕自身、この1年は躁鬱が一度も出なかったんです」坂口さん自身は、これらの日課が結果的に仕事に結びつき、今年に入っては書籍を2冊、アルバムもリリースするなど、特に順調だ。「坂口さんだからできるんだとか、自分にはやりたいこともない、と言う人もいます。でも、自分の魂に向き合う時間がとれたら、おのずとやるべきことが見つかるはず。今までは、人から与えられた労働に時間を奪われて、思考を停止させられていただけです。失業したり、仕事を辞めたりした人はチャンス。生活保護を受けることをためらわず、その間に魂が震えるようなことを見つけられたら、それを磨いて仕事にしちゃいましょう。僕は今、みんなに『会社をつくろう!』って、すすめているんです。だって、月給13万円よりは確実に稼げますから(笑)。そのコツも電話で教えますよ」つまり、他人にコントロールされていた人生を、自分の手に取り戻すというわけだ。「それができたら、次は徳を積むこと。人を助けることです。先日、僕、近所でケガしているハトを保護したんです。ハトが流血しているのが気持ち悪かったのか、誰も近づかない。でも、そういうときに勇気を持って、大丈夫ですかと言える人でいたいな、と。相手が人間でも動物でも同じですよね。今後、また訪れますよ、コロナ禍よりもっと大きな危機が。そんなときでも、誰かが困っていたら手助けできる人でいたい。だから僕は、無償でいのっちの電話を受け続けているんです。なぜかっていうと、それが僕自身を生かすことにもなるから。自分一人で生き残ったってつまらないでしょ。そうやって、いつか自殺者ゼロの国にする。それが僕の目標です」「女性自身」2020年10月13日号 掲載
2020年10月02日加藤勝信官房長官(64)が、9月28日の定例会見で述べた発言が波紋を呼んでいる。記者から著名人の自殺が相次いでいることで、政府の自殺対策について問われた加藤氏。今年7月以降の自殺者数が上昇傾向であることに触れ、「特に孤立することがないよう、地域共生社会の実現につながりますが、温かく寄り添いながら見守っていただけるような社会を一緒に構築して頂きたい」と発言。続けて、「周辺の方が気づけば相談窓口の活用を勧めるなど、それぞれが自殺のない社会を作っていただけるようにお願いしたい」と呼びかけた。また、政府としての対策は、相談窓口の設置に対して取り組むことのみに留めた。前政権では厚生労働大臣だった加藤氏。今年9月10日の「世界自殺予防デー」では、「生きづらさを感じている方々へ」と題したメッセージをこう発信していた。「新型コロナウイルス感染症の影響もあって、今後の生活について不安を感じておられる方も多いのではないかと思います。どうかひとりで悩みを抱え込まずに、まずはご家族やご友人、職場の同僚など、身近な人に相談してください」このように一貫して「お願い」を繰り返す加藤氏に、批判の声があがっている。《政治家自ら対策を考えるべきです。お願いするのはおかしな話》《相談窓口設置すれば自殺が止まるわけじゃありません。自殺しなくてすむような公助が必須だよ》《相談窓口の設置は大切だけど根本ではない。こちらからも、おっしゃるような社会を作っていただけるようにお願いします》厚生労働省の18年9月の資料によると、日本の自殺死亡率はフランスやアメリカなどG7のなかでもトップだ。また各紙によると、今年8月の自殺者数は合計1,849人。昨年の同時期より、246人増加したと報じられた。今年の自殺者が急増した背景には、新型コロナウィルスの影響も指摘されている。経済的困窮を抱える人や、精神的な不安定さから孤独感を感じる人が増えているという。また経済的困窮は、自殺にも大きく影響しているという。実際に「平成の大不況」といわれた98年は、企業の倒産やリストラによって失業者が急増。厚生労働省の「自殺者の推移」によると、98年の自殺者は32,863人で前年より8,400人以上増加した。加藤官房長官は「地域共生社会の実現」を挙げたが、菅義偉首相(71)は「自助・共助・公助」を政策理念に掲げている。そのため《公助でなにかできる新しい策を考えないの?》や《具体的に策を立て行動して欲しい》など、“公助”の拡充を求める声が広がっている。「政府は感染症対策として、営業や外出といった行動の自粛を国民に委ねました。救済策としては、布マスク配布や一律10万円の給付金、雇用調整助成金などの施策を打ち出しました。ですが国民からは、『実生活に見合っていない』『スムーズに手続きできない』など不満が噴出。福祉制度は生活課題を抱えた人が自ら見つけ、書類作成したうえで申請します。ですがNPO団体など支援者側から積極的に困窮者を見つけ、煩雑な手続きの手助けをするのは限界があります。また精神的に弱っている人ほど自ら情報を探し、誰かを頼ることはハードルが高くなるとも指摘されています。相談窓口の設置も大切ですが、さらに踏み込んだ施策が求められています」(全国紙記者)
2020年09月29日●木村花さん・三浦春馬さん報道後に通達7月18日、俳優の三浦春馬さんが自殺で亡くなったというニュースが駆け巡る中、マイナビニュースを含む報道各社に「いのち支える自殺対策推進センター」(以下、JSCP)から、「WHOの『自殺報道ガイドライン』を踏まえた報道の徹底をお願いいたします」と呼びかけるプレスリリースが届いた。メディアの端くれとして、自殺を伝える報道が極めてセンシティブなものであるということを、改めて認識する機会となった。人気俳優の突然の死というあまりに衝撃的な出来事に、多くの媒体が関連記事を質量ともに大きく報じているが、この現状について、国の指定法人として自殺対策事業を担う専門機関のJSCPはどう見ているのか。清水康之代表理事へのインタビューを通し、自殺報道のあり方を考えていきたい。○■「自殺報道ガイドライン」逸脱による懸念WHOの「自殺報道ガイドライン」には、自殺関連報道について「過度に繰り返さないこと」「自殺に用いた手段について明確に表現しないこと」「自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと」「センセーショナルな見出しを使わないこと」「写真、ビデオ映像、デジタルメディアへのリンクなどは用いないこと」という“やるべきでないこと”。さらに、「有名人の自殺を報道する際には、特に注意すること」「支援策や相談先について、正しい情報を提供すること」「日常生活のストレス要因または自殺念慮への対処法や支援を受ける方法について報道すること」「自殺と自殺対策についての正しい情報を報道すること」という“やるべきこと”が明示されている。これが策定されたのは、「自殺リスクのある方が、自殺報道を聞いたり見たりしたことで模倣自殺への誘因リスクを高めてしまうことになるということが、過去のいろいろな経験から分かってきているので、どういう報道すればいいのかというガイドラインを作ることで適切な報道を促そうと、WHOが作ったものです」(清水氏、以下同)日本では1986年、アイドル歌手の岡田有希子さんが自殺した際、ファンの後追いが相次いで社会問題となったことで知られるが、ガイドラインを逸脱した報道によって、それ以外にも、「もともと『もう死ぬしかない』と不安にかられて思い悩んでいる人が、詳細な手段を知って、背中を押されてしまうかもしれない」ということ。さらに、「家族を自殺で亡くしたご遺族が自殺報道に不意に触れることで、過去のつらい経験を急に思い返すことになったり、亡くなった手段まで報じられれば、ご自身がご遺体を発見したときの記憶を呼び覚まされたりして、心理的に不安定になりかねない」という懸念もあるという。○■『バンキシャ!』の報じ方に評価JSCPから報道各社への呼びかけは、5月23日にリアリティ番組『テラスハウス』に出演していたプロレスラー・木村花さんの死亡が報じられた翌24日にも行われたが、その2カ月後の三浦春馬さんの第一報では、多くのメディアが自殺の「手段」を報じていた。「木村花さんの時にかなり大々的に報じられていたので、その時も速やかに呼びかけを出しましたが、三浦春馬さんの場合はさらに大きく扱われるだろうと想定できたので、とにかく急いで対応しようと、その日のうちに文書を出しました」と各社に配信。メールでのプレスリリース送信に加え、Twitterアカウントを持っている番組にはJSCPのアカウントからメンションを送り、約200の報道機関・番組・ソーシャルメディア運営事業者などに通達した。その結果からか、詳細な状況や手段を伝える媒体は徐々に減り、テレビのニュース番組では、各局でこの話題を報じる最後に、悩んでいる人のための相談窓口を紹介するようになった。それにあたって問い合わせをしてくる番組が、JSCPに何件もあったという。特に、死亡翌日に放送された『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ)については、「手段を報じていないのはもちろんのこと、『自殺』についても、事務所からの発表がないことを踏まえてか、あえてその言葉自体は使っていなかったように思います。おどろおどろしいBGMも使うことなく、事実に基づいて静かに淡々と報じる中で、相談先も当然のように紹介していました。こういう報道もメディアはできるんだなと感じました」と評価している。●連日多数続く「追悼報道」に問題は?有名人の自殺が起こると、知人や関係者が故人を偲ぶ追悼コメントを出すことが多いが、そのたびに取り上げてニュースにしていくと、結果として自殺に関連する報道が連日、多数配信されることになる。我々ネットニュースに見られがちなこの状況については、どう捉えているのか。「まず1つは、ガイドラインにはそこまでのことについては書かれていないということ。より正確に言えば、『自殺により遺された家族や友人にインタビューをするときは、慎重を期すること』とはありますが、それは自殺自体についてであって、生前を偲ぶような内容を指しているわけではありません。我々が身近な人を亡くした後にも“喪に服す”という期間がありますよね。そういう時間は大事なので、亡くなった人の生前の活躍とか存在について話をするというのは、私はあってしかるべきではないかと思います。ただ、そういう報道がどんどん続いて、いつまで経っても過去のことにできないように、過度に煽(あお)り続けるような追悼的な報道というのは、やはり抑制的であるべきだとも思います」こうしたケースも含め、どこまで報じるか・報じないかというのは、メディア自身がその都度判断していく問題だ。「自殺報道の第一報もそうなんですが、何をどう報道すべきかについて葛藤する中で、それぞれのメディアが報道すべきだと思っています。ガイドラインには、現場や場所を伝えないこと、自殺の手段を報じないことなどが書かれていますが、例えば学校側が子供のいじめを否定しているときに、真実を伝えるために遺書の文面を出すということもあると思います。そこは、報道の意義と社会的な意義というものがある一方で、自殺リスクを高める危険性との狭間で葛藤して発信していくことが、あるべき姿だと思っています。その葛藤がなく、視聴者や読者の関心という基準のみで自殺報道をしてきたメディアが多いように思うので」○■木村花さんから三浦春馬さんの事例で起きた変化2001年にNHKの報道ディレクターとして自殺報道に関わってから、この問題を見つめてきた清水氏。その当初から比べると、2006年に自殺対策基本法が制定されたことをきっかけにメディアの意識も変わっていき、日本の自殺報道は大きく改善されているという。また、木村花さんと三浦春馬さんの事例を比べると、「メディアの側にいる人から『適切な報道がなされていないのではないか』という検証が行われるようになってきたと思いますし、Twitterでは一般の方が『これはガイドライン違反じゃないか』という指摘が増えたようにも感じました」と、この2カ月の間でも自殺報道をめぐる認識に変化があった。NHKのアナウンス室では、自殺報道について勉強し直すために、清水氏を講師に招いて研修を行うとのことだ。●今後はメディア関係者との勉強会も構想JSCPは、法律に基づいて国として自殺対策を推進する組織として、今年4月1日に厚生労働大臣指定法人として発足したばかり。自殺対策を策定する地方自治体への支援や研修、また自殺や自殺対策に関する様々な調査研究などを事業としている。自治体支援などはこれまで、清水氏が代表を務める「自殺対策支援センターライフリンク」という民間のNPO法人が主に担っていたため、「国の組織が業務として行うようになったのは、大きな一歩です」と語る。今後の活動については、「万が一、有名人の方がまた急逝することがあれば、今回のようにメディアへの呼びかけを行うことになると思いますが、毎回呼びかけを行わなくていいような状況にできるよう、新型コロナが落ち着いたらメディアの関係者を集めた勉強会もやっていきたいと考えています」と構想。自殺報道の先進国であるオーストラリアでは、プレス協会がWHOのガイドラインを踏まえた独自のガイドラインを作成しているそうで、「日本でもどういったメディア独自のガイドラインが作れるのか。それは理想論だけを掲げても実際に運用されないと意味がないので、現実と理想の狭間の中で、ギリギリがどこなのかというところを、メディアの方たちと一緒に議論して、各社がガイドラインを作る支援を進めていければ」と話している。悩んでいる方の相談窓口があります。下記をご覧ください。・電話:よりそいホットライン・SNS:生きづらびっと・いのちと暮らしの相談ナビ(相談窓口検索サイト)●清水康之1972年生まれ、東京都出身。国際基督教大学を卒業後、97年にNHK入局。01年に『クローズアップ現代』で、自殺により親を亡くした子供たちを1年がかりで取材したのをきっかけに、自殺対策などについて取材を続けるが、推進役のいない日本の対策に限界を感じて04年に退局。同年、NPO法人自殺対策支援センターライフリンクを設立、09年「自殺対策緊急戦略チーム」メンバーとして内閣府参与に就任(11年まで)、19年一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターを設立し、代表理事に就任。
2020年08月10日俳優の三浦春馬さんが死去したと、日本テレビやTBS、フジテレビが18日、テロップで速報した。自殺とみられている。30歳だった。9月スタートのTBS系火曜ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(毎週火曜22:00~)への出演が14日に発表されたばかり。テロップでは、「俳優の三浦春馬さん(30)が死亡自殺とみられる」などと伝えられた。SNS上では「三浦春馬さん、、嘘でしょ…」「信じたくない…」「信じられません」「信じたくないし信じられない」「衝撃的すぎる…」「衝撃過ぎて受け入れられない」「ずっと涙が止まらないです」「嘘だと言ってください」と衝撃と悲しみの声が上がっている。
2020年07月18日「死なないで…」子どもの自殺がもっとも多いといわれる9月1日に、祈るようにこの言葉をつぶやいていた樹木希林さん。樹木さんの娘の内田也哉子さんが母の言葉を残そうと、 『9月1日 母からのバトン』 という書籍が生まれました。1回目では樹木さんの言葉の意味するところ、伝えたかったメッセージについて考えてきました。今回は、「学校に行くのってあたり前なの?」というテーマで、学校以外の選択肢や具体的に親子が救われる方法について、前回に引き続き不登校新聞の石井志昂(いしい しこう)編集長といっしょに考えていきたいと思います。 「『学校に行けない子どもたち』に最後まで想いを寄せ続けたワケ」 の続きです。 ■「学校に行くのがあたり前」の日本で苦しむ親子小学1年生になると、日本では義務教育が始まり、社会のあたり前のこととして、子どもたちは学校に通います。石井さんは、「不登校っていまの学歴社会のなかでは一大事なわけです。だから、将来を考えたときに、親は心配で学校に行かせたいと思うのは当然ですよね。ただ、『学校がすべて』だと親が思っていると、子どもは“学校に行ける子”だけが存在価値があると思って苦しんでしまいます」と話します。そんな「あたり前」という風潮がある学校との付き合い方において、樹木さんは彼女ならではの考え方を発揮し、まだ小学生だった頃の内田さんにこんな言葉をかけたといいます。東京の公立だったんですけど、そのときはすごく合わなかったですねえ。私という“異物”が突然入ってきたことで、そのクラスにあったコミュニティがざわざわしてしまって。今思えば“いじめ”だったと思うんですけど、お友達ができないまま数か月を過ごして、毎日泣いて家に帰っていました。(中略)ある日、私があんまりつらそうだったからか、「やめれば?」と言ってきたんですよね。「そんなにつらいのに、何をガマンしてるの。やめればいいじゃない」って。私まだ、「やめる」の「や」の字も言ってないのに(笑)。出典: 『9月1日 母からのバトン』 この樹木さんの言葉について石井さんは、「大事なのは、学校が主なのではなくて、『子どもが主』だという軸をしっかりとしておくことです。樹木さんのように、大事なのはあくまでも“あなた”なんだということを、子どもに伝えてあげることが大切です」と考察します。ただ、「やめればいいじゃない」と娘に伝えた母親としての樹木さんの対応は、常識にとらわれていては、なかなかできるものではありません。子どもが主であるという軸がしっかりあったからこそ、こうした発言ができたのだろうと思うと、「肝が据わっているな」と石井さんは感心していました。■不登校だからって将来は決まらないそれでは、「学校には行かない」と決めたとして、その後どうすればいいのか。樹木さんは書籍のなかで、このように語っています。不登校でも、ある日ふっと何かのきっかけで、学校はやめるかもしれないけど、もっと自分に合った、っていうと自分中心だけどそうじゃなくて、自分がいることによって、人が、世の中が、ちょっとウキウキするようなものに出会うということが、絶対にあると思うの。出典: 『9月1日 母からのバトン』 子どもたちにとって、自分がワクワクできるようなものを見つけるまでは、おそらく紆余曲折あることでしょう。不登校になった子どもたちは、どのように成長していくのでしょうか。文部科学省では、15歳で不登校だった子どもたちに、5年後「自分の不登校を振り返ってどう思うか」という調査を行っていて、「行けばよかった」が38.9%、「仕方がなかった」が31.7%、「何とも思わない」と「行かなくてよかった」が29.3%と、「否定」、「肯定」、「どちらとも言えない」という回答が、それぞれ大体3分の1ずつに分かれています(※)。この結果から、「不登校については、肯定と否定のどちらかはっきり答えられない実情が見えます。ただ、みんなそれなりに山あり谷ありの人生を送り、大人になっていく。不登校だから将来こうなるということは言えないのです」と石井さんは分析します。■子どもにとっての「居場所」は外にあるとは限らない書籍では、ロバート・キャンベルさんが「学校以外にも魅力的なハッチ(非常口)が必要だ」と語られています。子どもたちにとってどんな場所が非常口となるのでしょうか。義務教育期間の子どもたちにとって、学校以外の選択肢を石井さんに教えてもらいました。【学校以外の主な選択肢(小中学生)】●教育支援センター(適応指導教室)小中学校の不登校児童や生徒を指導、支援するため、全国の市町村の教育委員会が設置している。学校以外の場所や学校の余裕教室を使って開催されていて、無料で利用できる●フリースクール民間の教育機関で、利用料金の月額平均は33000円。全国に約500か所あり、その目的はそれぞれ異なっていて、内容もさまざま●ホームエデュケーション家庭をベースに学び育っていく教育方法のこと「魅力的なハッチ(非常口)」となる子どもたちに合った居場所の見つけ方については、石井さんは次のようにアドバイスします。「子どものために開かれている場所には必ず人が集まってきます。その場所の人の集まり具合を見ること、そしてその場にいる子どもたちの表情を確認してください。子どもって、心から楽しければ笑顔が出ますから」(石井さん)さらに石井さんは、「子どもにとって必ずしも居場所は外にあるわけではない」と言います。「子どもにとっての居場所が、“自分の部屋”ということも大いにありえます。本人が『いま、そこにいたい』と思える場所を尊重してあげてほしいですね」と話します。■子どもが心を閉ざす前に、親ができること書籍の中で、内田さんが母として不登校への向きあい方について、悩み、答えを探る様子がつづられています。不登校経験者との対談のなかで、内田さんは次のように問いかけます。私も、息子や娘が心を閉ざす瞬間に「もうちょっとヒントちょうだい!」って思っちゃう。「間違えたことを言っちゃってるんだったら、どの部分がダメだったのかを教えて」って。出典: 『9月1日 母からのバトン』 この内田さんの切実な想いの根底にあるのは、「親が子どもとどのように関わるのが正解なのかわからない」という想いなのかもしれません。この問いかけに対して不登校経験者は、「親との距離が近すぎたこと」と回答しています。石井さんも「私自身もそうだったのですが、親との距離が近すぎて、その期待に答えられず悩んでいる子どもは多くいます。毎日顔を突き合わせるなかで、煮詰まってきてお互いに苦しくなり、いがみあってしまう親子もこれまで目にしてきました」と語ります。お互いの幸せを願っているはずの親子間で、そうした悲しいすれ違いを起こさないためには、どのようにすればいいのでしょうか。石井さんは取材をするなかで、親子の分離がまったくできていない人と出会ったそうです。「幼児期は親のケアを必要としますが、子どもはどんどん自立しはじめますよね。親として戸惑いがあるのは当然だと思います。それでもやはり、親と子は別人で、親は他人として子どもを支えるんだという距離感は必要です」と石井さんはアドバイスします。親にとっては、失敗が許されないと思える子育ての現状。しかし石井さんによると、不登校をきっかけに、親子関係を再構築する人も多いといいます。親子の「距離感」はとても難しい問題で、簡単に正解は見つかりません。でも、親は子どもの意志を支えるということを意識しておくことが大切なのかもしれません。■「この子があぶない!」親だけができることとは?樹木さんが亡くなる直前に思いをはせていた9月1日、今年もまもなくその日が訪れます。実際に親たちは、夏休み中の子どもたちのどんな様子に気をつければいいのでしょうか。石井さんによると、注意するのは次の4つのポイントです。【夏休み中の子どもに注意すべきポイント4つ】・食欲がわかない・眠れない・イライラして情緒不安・勉強が手につかないもし子どもたちにこのような様子があれば、「すぐにでも学校から距離を取らせてあげた方がいい」と石井さんは言います。「親が『この子は危ない』と感じる勘を信じてください。それが一番間違いないからです。『学校に無理して行かなくてもいいんだよ』という最初の“ドクターストップ”をかけてあげられるのは、専門家ではなく一番身近な親だけなんです。その後、医師などの専門家に相談してください」と石井さんは語気を強めました。「死なないで、ね……どうか、生きてください……」という樹木さんから届けられたメッセージ。親自身が一人ひとりしっかりと受け止め、子どもたちの様子を見て、最初に対応してあげる必要性を強く感じます。■樹木希林流「親がつらいときの対処法」最後に、樹木希林流のしんどい時の対処法について、考えてみたいと思います。樹木さんは、「しんどいときにどうやり過ごすか」という質問に対して、「笑う」と答えています。私にもしんどいときはもちろんあります。(中略)しんどいんだけど、そのときにしんどいって顔をしないで、こうやって笑うの。笑うのよ。ね? あんた頑張ったわよって、頭をなでて、笑う。ほかの人がいるときにそうやってたら馬鹿みたいだけど(笑)、そうやって笑って、「いいなあ、いいなあ」って言ってるうちに忘れちゃうの。出典: 『9月1日 母からのバトン』 内田さんも樹木さんから生前にこのアドバイスを教わり、実際にやってみたそうです。「本当に無気力になって、もうこれは笑えないないと思った時にそれをやってみたら、心なしか気持ちが軽くなっていって、バカバカしいことをしている自分に対してクスッと笑えた」と書籍で打ち明けています。“しんどいときに笑う”。なかなか難しいとは思えますが、不登校の子どもに対しても、親はできれば笑顔でいてほしいと石井さんも話します。「子どもが不登校になると、どうしても思いつめてしまうとは思いますが、できれば悲しむ様子や涙は外で出して、子どもの前では見せないであげてほしい。親の楽しそうな様子や笑顔は、理屈ではなく子どもを勇気づけますよ」(石井さん)ここまで樹木さんの言葉をもとに、石井さんと学校に行きづらいと悩んでいる子ども、そして親との関わりについて考えてきました。いま学校に行くことがつらい人、「学校に行けない」ということを言えない人、“みんな”と同じようにできなくて苦しんでいる人がいるかもしれません。そして子どもの想いと将来を思いやって、どうすることが正解なのか苦悩している親御さんもいるでしょう。樹木さんの人生を通じて語られた言葉は、大きな学びとなったように思います。樹木さんと内田さん母娘の思いに触れて、あらためて自分自身は親として子どもに何ができるのか、考えるきっかけにしてはいかがでしょうか?樹木さんは、次のようなメッセージを贈っています。この子の苦しみに寄り添うしかないのよね。だから、ああしろ、こうしろとは、もちろん言わない。言って治るようならとっくに治ってるでしょう?出典: 『9月1日 母からのバトン』 「9月1日」子どもたちみんなに居場所がありますように。■樹木 希林さん、内田 也哉子さんの著書 『9月1日 母からのバトン』 (ポプラ社 ¥1,620(税込み))女優・樹木希林さんが生前、不登校の子どもたちへの思いを語った言葉などをもとに、娘の内田也哉子さんがさまざまな立場の人たちと対談しながら、その考えをたどる様子を記録した書籍。今回取材した不登校新聞の石井編集長が樹木さんを取材した記録や内田さんと対談した様子も収録されています。●不登校新聞とは1998年に創刊された不登校に関する専門誌。当事者の視点を大切に、不登校についての情報を発信し続けている。●石井志昂(いしい・しこう)さんプロフィール1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からは創刊号から関わってきた『不登校新聞』のスタッフ。2006年から『不登校新聞』編集長。これまで、不登校の子どもや若者、親など300名以上に取材を行ってきた。<参考サイト>※文部科学省: 「不登校に関する実態調査」
2019年08月26日この週末、インド・アーグラにある寺院の中で、若い男性の遺体が発見された。遺体のそばには家族に宛てた遺書が置かれており、そこには自殺に至った衝撃の経緯が記されていた。THE TIMES OF INDIAによると、命を断ったのは22歳のShyam Sikarwarさん。彼は交際していた恋人が自分ではない別の男性と婚約したことに激しくショックを受け、ストレスで職を失ってしまっていたという。Sikarwarさんは死亡する直前、Facebookにその胸中を語る動画を投稿し、自殺する様子を生中継すると語っていたとか。現時点で、彼のFacebookページは遺族の申請により既に削除されているため、動画の視聴回数などについては不明だ。便せん4枚に渡る遺書には、家族への謝罪と臓器提供の意志が綴られていたという。
2019年07月23日6月5日、韓国人グループKARA出身のク・ハラ(28)が自殺未遂騒動後、日本に出国していたことがわかった。この一件がTwitterのトレンド入りを果たし話題になっている。韓国メディアのイーデイリー スターinは、ハラが療養のため日本へ向かったと報道した。複数の芸能界関係者によると「ク・ハラは安静のために、日本行きを選択した」とされ、ある関係者は「所属事務所のケアを受けることが望ましいという判断で、退院後すぐに日本に向かった」と語ったという。ハラは現在、韓国には所属事務所がなく、日本の事務所にのみ所属している状況だ。また、ハラの日本行きの背景には、自宅が一般に公開されたことへの負担もあると伝えられ、自身への過度の関心が休息の妨げになるという判断もあったと報じられている。ネットでは「ハラちゃん日本で、ゆっくり休んでね」「ク・ハラさん、自国韓国より日本を選んでくれた事が何だか嬉しい。 ゆっくり静養して下さい」と日本で心身を休めることを望む声が多く見られた。また、KARAの元メンバーである知英(ジヨン・25)が日本で活動していることから「落ち着いたらジヨンと番組やってくれないかな」「今後は日本で芸能活動かな??ジヨンもいるし、仲間がいるって心強いと思う」と、知英とハラの共演を待つファンも多いようだ。
2019年06月05日現在、1枚の請求書の写真がTwitter上で急速に拡散されている。 これは、21歳のオリヴァー・ジョーダンさんが「アメリカで自殺を試みるのはどれだけ高くつくのか」というキャプションを付けて投稿したもの。治療にかかった費用の内訳が印刷されており、その総額は93,424ドル37セント(約1,040万円)に上る。ジョーダンさんは自殺しようとして“失敗”し、病院に運ばれて治療を受けた。個室ベッド代やCTスキャンなどの各種検査料に加え、投薬やセラピーなどで請求額は高額なものとなっている。オクラホマ州のタルサで法務アシスタントの職に就いているため、多くは保険でカバーできたようだが、「もし保険がなかったら身の破滅だった」と付け加えている。当該ツイートのコメント欄には、「助かってよかった」「話せる相手はいる?」と心配する声の他に、自分のケースを綴る人も登場。「私は“たった”32,000ドルだった。保険適用後の5,200ドルを、毎月50ドルずつ4年半払い続けてるわ」 「2017年に自殺して精神科に運ばれたよ。入院していたのは週末だけだったのに、1万ドルの借金を背負わされた」 中には「腕の良い殺し屋に頼んだほうが安く上がったかもな」とブラックジョークを飛ばす人もおり、米国の医療費の高さに改めて注目が集まっている。
2019年04月19日殺人衝動を持つ男と自殺願望を持つ女が出会い、オープニングからラストまで緊迫感が持続するサイコスリラー『ピアッシング』の日本オリジナルの予告編とともに、ポスタービジュアルと場面写真が解禁。また原作者・村上龍のコメントも到着した。今回解禁となった予告編では、刺激的な映像とスリリングなセリフの数々によって、まるで幻覚を見ているかのような世界に引き込まれていく。クリストファー・アボット演じる殺人衝動を持つ男が、ミア・ワシコウスカ演じる自殺願望を持つ女に襲い掛かるシーンから始まり、アイスピックを振りかざす女、床に打ち付けられる男…とサスペンスフルな映像が続く。後半では、凄惨な描写のバックで流れる明るい音楽が作品全体に漂う狂気を一層際立たせている。本作について原作者の村上龍さんは「演技、演出、キャメラ、そして音楽、抑制され、かつ正確だった。『ピアッシング』という物語のテイストが理解されていると感じた。単に原作に忠実というわけではなく、不思議な感覚があった。わたしが原作を書くときに思い浮かべたイメージが、スクリーンに再現されている、そんな感覚だ」とコメント。また、「ホラー映画とカテゴライズされるのだろうが、残酷さの裏側、狂気の最深部に潜んでいる『人の優しさ』が、さりげなく描かれる。タイトルバック、エンドロールのビルの映像には驚いた。すばらしい」と絶賛の声をあげた。予告編と同時にポスタービジュアルと場面写真も解禁。洗練されたスタイルで、サイコスリラーとしてのイメージをさらに増幅させるポスターも話題性十分。通常の映画ポスターらしからぬ、インテリア・アートといってもおかしくないデザインに、配置されたアイスピック、下着、電話は何を意味するのか…?ますます作品内容への妄想が膨らむ。予告編では思わず目を瞑ってしまいそうなシーンの連続だが、果たして本編では最後まで目を開けて見ていられるだろうか。手に汗握る極限の緊迫感を是非劇場で体感してみて。『ピアッシング』は6月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年04月12日2017年、英国の女子中学生モリー・ラッセルさんが自らの命を絶った。モリーさんの父親は、娘がInstagramで自殺やうつに関するコンテンツを閲覧したり、自らも投稿していたことが自殺の一因だと主張。Instagramは傷つきやすいユーザーが、そういった内容のコンテンツに晒されないよう対策を取ると発表した。ことほどさように、インターネットのコンテンツと若者の関係性は、親にとっては心配のタネとなっている。米フロリダ州に住む小児科医フリー・ヘスさんは数カ月前、子ども向けの動画に特化した動画アプリ「YouTube Kids」に収録されている動画の中に、手首の切り方を教えるコンテンツが混ざっていることに気が付いた。その動画は、最初はゲーム『スプラトゥーン』のキャラクターが登場する普通のアニメビデオだが、4分を過ぎた頃に突如実写に切り替わり、ユーチューバーが自殺の方法をレクチャーし始めるのだという。ヘスさんはYouTubeに通報し、即刻この動画を削除させたが、つい先日、同じ動画が再び閲覧可能な状態に。現時点では既に削除されているが、根本的な対策を講じない限り、公開と削除のいたちごっこは続くだろう。「この種のコンテンツを私たちの子どもの目に触れないようにさせるもっと良い方法があるはずです」とヘスさんは自身のブログで訴える。また、ヘスさんはCNNに取材にも応え、「本当に腹立たしいです。悲しいし、失望しています。私は小児科医ですから、自傷行為や自殺未遂で運ばれてくる多くの子どもたちを診ています。ソーシャルメディアやこういったコンテンツが子どもの自傷を助長しているいるのは明かです」と警鐘を鳴らす。YouTube Kidsでは、「子どもにとってより安全なネット体験」が約束されているが、有害なコンテンツを根絶する完璧なシステムは未だ導入されていない。YouTubeは「問題のあるコンテンツを私どもに気づかせてくださった方々に感謝します。誰もが動画にフラグを立てられるようにしました。フラグの立ったビデオは24時間365日体制で、手動でチェックを行い、不適切なものはアプリから削除します。システムの改良は絶えず行っており、やるべきことは山積していると認識しています」とCNNの取材に対しコメントしている。
2019年02月27日10月14日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)では愛媛県が活動拠点のアイドルグループ「愛の葉Girls」メンバー・大本萌景さん(享年16)の自殺と遺族の起こした裁判について特集。そのなかでの、パーソナリティ・松本人志(55)の発言が波紋を呼んでいる。3月に自ら命を絶った大本さんだが、遺族は所属事務所によるパワハラや苛酷な労働環境で精神的に追い詰められていたとして提訴。代表取締役を含めたスタッフらに総額9200万円の損害賠償を求めている。しかし松本は自殺について「正直言って理由なんて、ひとつじゃないと思うんですよ。いろんな複合的なことが重なって、許容範囲を超えちゃって、それこそ水がコップからあふれ出ていっちゃうんだと思うんです」と持論を展開。さらにこう発言した。「自殺者が出てこういうニュースを扱うときになかなか亡くなった人を責めづらい、責めれないよね。ついついかばってしまいがちなんだけど、やっぱり『死んだら負けや』っていうことをもっとみんなが言わないと」続けて「死んだら皆がかばってくれるっていうこの風潮がすごく嫌なんです」と明かし、「授業でも死んだら負けやぞっていうことをもっともっと教えていくべき」と訴えた。Twitterでは松本の意見について賛否が分かれている。賛成派はこう語っている。《「今、悩んでる君は死ぬなよ。死んだら終わりやぞ。負けるな」という意味だと思った》《そう言うことで「松ちゃんがそう言うなら」と自殺を思いとどまる人もいるし。それぞれ関わり方のスタンスがあるでしょうよ》《誰かに責任を取らせても生き返らない 責任の所在が明らかになっても》いっぽうで否定派は松本について「今回の件は話が違うのでは?」と指摘している。《生きたかったのに、心神耗弱で判断力を失って死を選んでしまったんだよ》《逃げてもいいから、死なないでって言うべきでしょ。自分の可愛い娘に置き換えてみたら?》《死にたいときに、本人が勝ちだとか負けだとか、考えられる状態じゃないと思う……。かばってほしいなんて本人は思ってないと思う》命が戻ることはない。
2018年10月16日6月5日(現地時間)、デザイナーのケイト・スペードが亡くなった。ニューヨークの自宅で首を吊った状態で家政婦により発見されたという。享年55歳。自殺という形で人生を終えたケイトだが、姉のレタは「予期できないことではなかった」と「InStyle」誌に語っている。レタによれば、ケイトはここ3、4年メンタルヘルスに不調を抱えており、アルコールに溺れがちな生活を送っていたそうだ。「家族みんなでなんとか助けようとしたけれど、彼女はブランドのイメージ『ハッピー・ゴー・ラッキー』を崩したくなくて拒否し続けたの」。それでもケイトのことを心配したレタは、以前キャサリン・ゼタ=ジョーンズが双極性障害の治療のために入所した施設とコンタクトを取り、ケイトも入所する意思を見せたのだが、土壇場になってやはり「イメージ」を気にして取りやめに。その後もこういったやりとりが何度も続き、ついにレタは諦めた。「人を救いたくても、救えないことがあると思い知ったわ」。レタは、2014年に俳優のロビン・ウィリアムズが自死を選んだこともケイトに大きな影響を及ぼしたと話す。ケイトは訃報のニュース映像を何度も何度も見返していたとのことで、「あの頃から、もう自殺を考えていたのだと思うわ」とふり返った。ケイトはつい最近、夫のアンディ・スペードとの破局も経験した。アンディとは「ケイト・スペード」を立ち上げ、同ブランドを手放した後も2016年から新ブランド「Frances Valentine」を手掛けるという20年以上の時を共有してきた仲だ。2人には娘が1人おり、ケイトから娘に宛てた遺書が見つかったと言われている。(Hiromi Kaku)
2018年06月06日約2年前、ラジオ収録で楽しそうに話すアヴィーチー(写真:ZUMA Press/アフロ) 先月20日、28歳で突如この世を去ったアヴィーチーことティム・バーグ。遺族は同27日、自殺であったとの声明を発表した。そして今週、複数の関係者の証言から、死因が「ガラスの破片で自らを傷つけたことによる失血死」であったとTMZが報じた。 アヴィーチーはワインボトルを割り、その破片を使用したという。情報提供者の1人は、切りつけた箇所が首だったと話したが、別の関係者は手首だと主張。この点は未だにはっきりしない。 遺族がアヴィーチーの所属事務所を通じて発表した声明にはこのようにある。 「私たちの愛するティムは求道者でした。実存的な疑問の答えを探し求める、繊細で芸術的な魂でした。向上心が高すぎる完璧主義者で、とてつもないストレスになるほど、世界中を飛び回り身を粉にして働いていました。ツアー活動から退いたときの彼は人生のバランスを取り戻そうとしていました。幸せになり、何よりも愛した音楽に生きたかったのです。もうこれ以上は無理でした。彼は平穏を手に入れたかったのです」 長年に渡りアルコールの問題を抱えていたというアヴィーチー。友人は、彼が衝動的に自殺を図るのではないかと心配していたという。
2018年05月02日先日亡くなったアヴィーチーの死因に関して、本人の家族から自殺を示唆する声明が発表された。アヴィーチー(C)BANG Media Internationalティム・バーグリングことアヴィーチーは先週20日にわずか28歳の若さでオマーンにて死亡が確認されたが、死因については現在まで明らかにされていなかった。しかし、今回の家族の声明には自殺をほのめかす内容が散見されている。「2018年4月26日ストックホルム」「親愛なるティムは実存的な問いへの解答を探す、もろい芸術家の魂を持った探索者でした」「精力的に移動し働き、執拗な完ぺき主義者で、それが極度のストレスを引き起こしていました」「ツアーをやめ、人生における幸福と自身が愛する音楽のバランスを取りたかったのです」「存在意義、人生、幸福についての思考でがんじがらめになっていました」「これ以上長く続けることは不可能だったのです」「安楽を見つけたがっていました」「ティムはあの業界でビジネスをするような人間ではなかったのです。ファンを愛してはいるものの脚光を浴びるのは避けようとする繊細な人間でした」「ティム、あなたはこれからも永遠に愛され、そしていない悲しみもまた続きますね」「あなたという人間、そしてあなたの作った音楽が思い出として私たちの中に生き永らえるでしょう」ヴァラエティ誌によると、同声明は母国語のスウェーデン語で記述されており、原文では自殺に関する示唆はなおのこと明らかだったという。同誌は数日の間に警察による死因についての正式な発表があるだろうとしている。(C)BANG Media International
2018年04月28日私は何度か自殺未遂をしました。この記事を読んでいる人のなかには、「死にたい」と思っている人がいるかもしれません。私も「死にたい」と思ったとき、ネットで検索してこういった記事にたどり着いたことがあります。だけど、私を救ってくれる記事はありませんでした。私はあなたを救えるかどうかわかりません。だけど、せっかくここにたどり着いてくれたのだから。自殺未遂経験者だからこそ伝えられることがあるかもしれないと、あなたへの言葉を綴ります。文・七海目覚めたら病院のベッドの上だった。もう二度と、あの絶望感は味わいたくない何度か自殺企画をしましたが、未然に防いでくれた人がいたことがありました。なぜ自殺企画で終わったのかというと、「遺書」のようなものを書いたり、突然家からいなくなったりしたからだと思います。家からいなくなるというのは、恐らく客観的に不自然な形で、ということです。そういった行為をするとき、私は誰かに止めて欲しかったのかどうか、わかりません。だけど、重篤な状態に陥ったときは、ほとんどの記憶がありません。普段から首をもたげている希死念慮が強くなり、衝動的に「死にたい」「死ななければならない」と行動に移しているような気がするのです。私は今現在こうして生きていますが、目覚めたときの絶望感は二度と味わいたくないと考えています。重篤な状態で発見され、病院に搬送、気がついたら真っ白な天井が目の前にある。「私はまだ生きているんだ」「私はまた死ねなかったんだ」と、絶望するのです。”当たり前” に生きている人とは感覚が違うと感じたことが多々あります。「死なないんだから大丈夫」といった考えを口にする人がよくいるように思うのですが、私は死に ”救い” を求めているような気がするのです。死んだら救われるような、そんな気がするのです。死んだら何もかもから ”解放” されるような気がして、私の場合は「何か決定的に嫌なことがあったら死ねば良いや」と考えています。「死なないんだから大丈夫」とは真逆に……。私は多分、次に自殺しようと決意したときは、より ”確実な” 方法を選ぶと思います。死に方については随分調べました。自殺未遂をした人ほど完遂率が高くなるといわれているのが、私にはわかる気がするのです。だってもう、あの絶望感を味わいたくないから。知人の自死。末期癌の宣告。私の身近にある死昨年、知人が自死を選びました。突然のことでした。彼とは頻繁に連絡を取っていたわけではないけれど、ある程度気心が知れている気になっていました。だけど、何の前触れもなく、彼はこの世からいなくなりました。私は酷く泣きました。昨日まで近くにいた人が、とても遠くに行ってしまったから。そして、語弊を恐れずに言えば「彼が羨ましい」と、同時に思いました。私は完遂できなかったけど、彼は完遂した。今ある苦しみから ”救われた” のではないかと思ったからです。自分の矛盾した感情が憎く、今でも恨めしく思います。ほかの知人に、末期癌を宣告された女性がいます。高校当時に唯一仲良くしてくれた人。彼女はもともと病気がちで、学校にあまり来られなかったけれど、いつもひとりだった私に話しかけてくれました。卒業後も交流は続き、私が自殺未遂で入院しているときは心配そうにしてくれました。だけどあるとき、「癌になった」と連絡がありました。若年性で進行が早く、見つかったときには末期でした。抗癌剤治療を受けながらも笑顔を見せる彼女は強いんだろうな、と思いました。そして、「何で私じゃなくて彼女なんだろう」と思いました。私は何度か自殺未遂をしました。自殺企画もしました。今でも希死念慮・自殺念慮は消えません。だけど、自殺した知人も、末期癌の知人も、「死んでほしくないし、死んでほしくなかった」です。自殺未遂を経験しているのに、いまだに自殺念慮があるのに、知人に「死んでほしくない」と思い泣くのは、私のエゴだと思います。私が今生きているたったひとつの理由。きっと、エゴだって生きる理由になり得る私は「死にたい」と思っています。「死んで楽になりたい」と。だけど私は今生きています。正直、自殺し切れなかった ”臆病者” で ”惨め” な存在だと感じます。だから、「死にたい」と思っている人に対して、軽々しく「死んだらだめ」と言えません。だから、私が今生きている理由について話したいと思います。私が「死にたい」と呟いたとき、主人はこう言いました。「お前と心中するために一緒にいるわけじゃない。一緒に生きたいんだ」と。「物事には順序があるから、自殺する前に別れてくれ」。あるとき強い絶望感に襲われ、その順序を守ろうとしました。理由を言わず一方的に別れを突きつけて、そのまま死ねば良いと考えていたのです。私は順序を守れば良いのだと思っていたのですが、自殺企画を感づいた彼から返ってきたのは意外な言葉でした。「俺は単純にお前と一緒にいたいんだ。これは理屈とかじゃなくって、俺の完全なエゴだよ。順序とか言ったけれど、1日1秒でも一緒に生きられるなら、あの言葉は取り消すから。少しでも長く、一緒に生きていきたいんだ」。私は彼がなぜ私と一緒に生きたいのか理解できなかったし、彼の涙もわかりませんでした。だけど、気づいたら私も泣いていました。私の涙も、わかりませんでした。知人に対して「死んでほしくない」と思うのは、私のエゴでしょう。主人が言った通り、理屈ではありません。自殺する人が視野狭窄に陥っているのは、客観的に理解できます。ニュースで流れてくる自殺者の周囲にも、「死んでほしくない」というエゴが本当はあったんじゃないかな、と思います。私が今生きているのは、彼のエゴのためです。はっきり言って、それ以外は思いつきません。だけど実は、私が気付いていないだけで、ほかにもエゴがあるのかもしれません。「死にたい」と思ったとき、誰の顔も浮かばなくても良いと思うんです。「死にたい」あなたは視野狭窄に陥っていて、思い浮かべられないだけかもしれないから。もしも死を少しでも躊躇っているのなら、そこに誰かのエゴがあるのかもしれないと、それだけは頭に入れてみていただければ、と思います。生きることは苦しいです。なぜ生きなければいけないのか、その理由は私にはわかりません。だけど多分、「一緒に生きたい」「死んでほしくない」といったエゴはたくさん存在するんだろうなぁと思います。エゴそのものに気づいていなくっても、エゴがあることがわかっていれば、それで良いのではないかな、と思います。私は主人のエゴのために生きています。エゴが生きる理由なんです。多分、人間ってとても複雑で、”優しいエゴ” にも取り囲まれながら、絡まれながら、みんな生きているんだろうなぁと思います。これを読んでいるあなたもそうだと思います。生きることは苦しいし、生きなければいけない理由はわからないけれど、少しだけ目を閉じて、休んでみても良いかもしれません。何もかも放棄したって良い。”優しいエゴ” に気づけなくても良い。いつでも「死ねる」し、「楽になれる」んだから、ちょっとここでお茶を飲んでひと休みしてみても良いのではないかな、と思います。これが、「死にたい」と思ってこの記事を読んでくれたあなたへの、私のエゴです。(C)kieferpix/Gettyimages(C)RichLegg/Gettyimages(C)laflor/Gettyimages(C)StockPlanets/Gettyimages
2018年03月20日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「自殺予防週間」です。日本は自殺大国。9 月はとくに注意月間なんです。9月10日は世界自殺予防デー。それにちなんで、日本では9月10日~16日を自殺予防週間に定めています。期や年度の替わる3月と9月は、自殺する人が多いのですが、18歳以下に限ると9月1日が突出して自殺者が多いんです。1972年~2013年に自殺した18歳以下の子どもの数は1万8048人。平均すると1日約50人ですが、9月1日に自殺した数は131人で平均の2.6倍にものぼります。また、9月2日は4番目、8月31日は5番目に多く、夏休み明けのプレッシャーが精神を不安定にさせるようです。いじめ問題もありますが、学校に行かせようとする親の期待に応えられないことから、自分を責め、存在意義を見失い、自殺に至るケースも少なくありません。自殺者数が把握できる世界90か国で、人口10万人あたりの自殺者数を比べてみると、日本はワースト6位。女性に限ればワースト3位に入っています。それほど、日本は自殺大国なんですね。厚生労働省の自殺対策白書によれば、平成10年以降、14年間連続で3万人を超えていた自殺者の数が、平成24年には2万人台にとどまり、日本全体で見れば、減少方向にはあります。しかし、問題は10代後半~30代の若年層の自殺者が増えていること。平成27年の15歳~39歳の死因のトップは「自殺」だったんですね。自殺の原因はいくつもの要因が複雑に絡んでおり、特定はできませんが、遺書などから推測すると、「うつ病などを含む健康不安」「経済、生活面の不安」「家庭問題」「勤務問題」などが上位に挙がっています。政府はこの現状を重く受け止め、平成18年に「自殺対策基本法」を制定し、国を挙げて自殺防止に取り組もうとしています。NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」では、借金やいじめ、人間関係など、トラブル別の電話相談窓口を紹介しています。いつなんどき、あなたやお友達が崖っぷちに追い込まれるかわかりません。ぜひ元気なうちにウェブサイトを覗いてみてください。学校でも会社でも、命を落としてまで、通わなければいけない場所はどこにもありません。無理をせずに逃げてほしいと思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年9月13日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年09月08日2015年に内閣府が発表した「自殺対策白書」によると、9月1日前後に子どもの自殺率が年間で一番多く、これは「9月1日問題」として社会的に認知されてきている。(参照元:日本経済新聞)9月1日は一般的に2学期目が始まる日。学校に行きたくないがないために自殺する子どもが多いと考えられている。学校にそこまでして行きたくない子どもがいるかと思うと胸が痛む。学校に行くよりも命の方が大切なことはわかりきっているが、そんな単純な話ではないのだろう。
2017年08月31日「息子は職場の上司に4カ月も無視され、いじめられ、悩みに悩んで自殺しました。それなのに東電は無視があったことを隠そうとしています。誠意の欠片もない態度は許すことができません」 芦澤拓磨さん(当時19歳)の遺影を前に悲痛な面持ちでそう話すのは、父親の明さん(58)。 東京電力山梨支店の社員だった拓磨さんは、2011年6月に自ら命を絶った。 母親のひとみさん(55)も涙ぐみながらこう語る。 「6月に7回忌を終えましたが、いまだに拓磨が死んだことを受け入れられません。そのうち玄関のドアを開けて帰ってくるんじゃないかと……」 高卒後入社2年目で未成年だった拓磨さん。遺書には、自分の教育係だった直属の上司から突然、無視されるようになり、つらい日々が続いたことが綴られている。 《無視されてから本当に辛い日々を送ってきました。無視されたから死ぬなんて馬鹿らしいと思う方もいらっしゃると思います。しかし、私には耐え難い苦痛でした》 拓磨さんは二人にとって自慢の息子。ひとみさんが言う。 「明るくて優しい子でした。いつも冗談を言って家族のみんなを笑わせ、肩が凝りがちの私にはよくマッサージをしてくれました。決して人の悪口を言わないから友達も多く、みんなのなかでリーダーシップを取れる子でした」 中学では生徒会副会長と卓球部の部長。高校ではクラス委員長、情報システム部の部長に。テストの成績は2番。空手は2段の腕前だった。 父の明さんが東電社員だったことから、自分も東電で働くことを夢見て地元の工業高校の電気科を志望。卒業後、念願かなって東電に入社した。 半年間の社内研修の後、9月から山梨支店大月支社の駒橋制御所に配属され、水力発電設備のメンテナンスを担当。拓磨さんの職場では、年代の近い先輩社員が新人の教育係になる。それが11歳年上の男性社員、A氏(36)だった。 「はじめは拓磨にとてもよくしてくれました。誕生日には食事をご馳走してくれ、休日になると一緒にスポーツジムやカーディーラー巡りをする。元日には初日の出を見に、露天風呂に出かけるほどの仲でした」(ひとみさん) ところが、’11年の2月頃になると、拓磨さんはA氏と出かけなくなった。 「週末の半日は必ずと言っていいほど一緒にいたので、おかしいと思って息子に聞くと『先輩の奥さんに赤ちゃんが出来た』と。私はそれを生まれたと勘違いして、忙しくなるのも当然だと思い、納得しました。ですが実際は、このころからA氏による無視が始まっていたのです」(ひとみさん) 拓磨さんは、自分がA氏から無視されている理由がはっきりわからずに。思い悩んでいた。自身のブログからその様子が浮かび上がる。 《2月23日、良くしてくれた人の態度が180度変わるってのは、本当に辛いね。会社行くのが辛すぎるでしょ??汗、鬱になりそ……》 《4月20日、俺はあの人に芽を摘まれたらしい。2人目なんだってさ。突然シカトじゃ、何が悪いのかわからない。同期の中で劣ってたら摘むのか……。会社を辞めるか・・・人生を辞めるか……》 心配をかけたくなかったのか、無視されていた事実を家族に打ち明けることはなかったが、異変はあったという。 「急に暴飲暴食をしたり、押し入れに頭を突っ込んで寝たりなどの変な行動を始めたのです。いま思えば、そうやってストレスを解消していたとしか思えません。主人に、『自分はこの会社に向いてない』とポロっとこぼしたこともありました」(ひとみさん) A氏による無視は、拓磨さんと会話をしなかったことだけではない。拓磨さんのブログや芦澤さんが入手した東電の内部向けの調査報告書によると、班の人間が現場に出ているのに一人だけ現場作業に連れていかれず、事務所に置いてきぼりにされたりしたことがなんどかあった。 拓磨さんの高校の同級生や同期入社の現役東電社員も、「A氏が話をしてくれない。自分だけがお菓子を配ってもらえなかった 」と聞かされていた。 その後、拓磨さんのブログの内容は深刻さを増していく。 《5月11日、誰が俺を嫌っているのかわからない。何が原因かわからない。以前のような優しく、面白い人に戻ってくれるのなら土下座だってする》 《6月10日、毎日辛い。朝、彼が出勤すると背筋が凍る。隣りに居ると緊張する》 書き込みはこの10日が最後だった。翌日の土曜日、拓磨さんは家族が自宅を留守にしている間に車で出かけ、家へ戻ることはなかった。 「心当たりを探しても見つからず携帯電話も数日間つながらないため、13日の夜に捜索願を出しました。行方不明になってから5日後、連れて行ったことのあるテニスコート へ探しに行くと拓磨の車が停めてあり、裏手の山林で首を吊っている姿が発見されたのです」(明さん) 外傷や服装の乱れもないことから警察は自殺と断定。発見時の拓磨さんの耳には、イヤホンが装着されていた。「ケツメイシの『こだま』という曲を聴いていたんです。『ぼくは笑いたい』というような歌詞で始まるこの曲を、自分に重ね合わせていたのでしょうか。明るくて人に好かれる拓磨が自ら死を選ぶなんて思いもしませんでした。母親として、子供が死ぬほど辛かったことに気づいてあげられなかったことが何より悔やまれて……」(ひとみさん) 19歳の青年を苦しめることになったA氏による無視。厚生労働省によると、無視、隔離、仲間外しなどはパワーハラスメントに当てはまる事例として定義されている。A氏はなぜ拓磨さんにそのような行為を働いたのだろうか。 「拓磨が遺言で推測していることがあります。それはA氏から指示された課題をパソコンソフトで作成したところ、出来栄えがよくなかった。そのため照れ隠しに『計算式をつくり、遊びました』と答えたことが、A氏の逆鱗に触れたのではないかというのです。しかしそれが本当なら、その場で拓磨を叱責すればいいこと。4カ月にわたる無視は尋常ではありません」(明さん) (取材・文・撮影/桐島瞬) 後編へつづく→
2017年08月05日