データで読み解く、子どもとスマホ 第60回 保護者が感じる携帯・スマホの悪影響
専門家・プロ:渡邉純子(コドモット)
悪影響を感じる保護者、東京都で5割超
前回に引き続き、東京都の「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査」(平成29年度)※1から、気になるデータを読み解いていきます。
この調査では、子どもが携帯・スマホを持ったことによる悪影響やトラブルについて、保護者に聞いています。
「お子さんに携帯電話・スマートフォンを持たせたことにより、どのような悪影響がありましたか。(いくつでも)」という設問に対して、「悪影響は特にない」という回答は48.8%にとどまり、2人に1人以上の保護者が携帯・スマホの悪影響を感じていることがわかりました。
お子さんに携帯電話・スマートフォンを持たせたことにより、どのような悪影響がありましたか。(いくつでも)
東京都「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査」 (平成29年度)」より
何らかの悪影響があったとした回答の合計は51.2%です。
悪影響のうち、上位3つは次の回答項目です。
- 睡眠不足になった19.9%
- 視力が落ちた18.7%
- 勉強に集中できなくなったり、記憶力が下がったりした15.3%
以下、次の回答が続きます。
- 家族や友達と過ごす時間が減った(手伝いをしない、外で遊ばない等)12.7%
- 猫背になったり、巻き肩になるなど、姿勢が悪くなった12.3%
- 成績が下がった10.7%
- 肩こりや頭痛、めまい等の不調を訴えるようになった4.1%
健康に関する悪影響を感じている保護者が多いことがわかります。
睡眠不足でイライラ
睡眠不足、視力低下、悪い姿勢、体の不調……どの項目をとりあげても、心身の成長期にある子どもたちにとっては大問題です。
とくに睡眠不足は心身の成長の大敵。携帯・スマホの時間が生活時間を侵食し、睡眠時間を削って帳尻を合わせるような生活は、子どもの心身の成長に取り返しのつかない影を落としかねません。小学生と中学生では、就寝時刻が遅いほど、イライラすることが「よくある」 「ときどきある」の割合が高いという調査結果もあります。※2
子どもが携帯・スマホに夢中で、睡眠時間を削ってまでいじり、イライラしてキレてしまう……「しかたなく」(前回記事参照)持たせたスマホでそんなことになってしまったら大変です。
削るべきは睡眠ではなく、携帯・スマホの時間だということを、きちんと子どもに伝えていかなくてはなりませんね。