シリーズ 専門家にきく! スポーツ栄養アドバイザー石川三知さんに聞く チャレンジできる体のつくりかた第2回(全4回・レシピあり)
トップライター:川筋真貴
前回、「本人の能力を発揮して、その人なりの満開で咲くためのサポートを心がけている」と言っていた石川さんに、成長期の子どもの体をつくるために大切なことを聞きました。
第2回成長期の体を支える、食の環境づくり
――成長期の子どもと食べ物の関係について教えてください。
スポーツ栄養アドバイザー石川三知さん
まず、保護者のみなさんに、わたしたちの体は自分が食べたものでできているということを意識してほしいと思います。体の中では、いまこの瞬間も細胞が生まれかわりをくり返しています。その細胞の分裂代謝を続けていく材料となるのが、食べ物です。
――食べ物が、体を維持する材料になっているんですね。食べかたで注意することがありますか?
大切なのは、かむことです。たとえば、食べた肉が胃に運ばれると、胃酸がタンパク質をバラバラに分解してアミノ酸にし、そのアミノ酸が小腸から吸収されて血や肉や骨になります。そのタンパク質の分解に必要な胃酸の分泌量を調節する役割を担っているのが、かむことなんです。
そして、よくかむことは、消化器管の働きにスイッチを入れることにもなります。しっかりかんで食べ物を細かくし唾液を出すことで、攪拌(かくはん)運動※を活発化するんです。どんなに栄養価の高いものを食べても小腸で吸収されなければ細胞に届きません。お皿が空になるのが「ごちそうさま」ではなく、小腸で吸収されて「ごちそうさま」なんです。
だから、かむことはとても大事です。
※攪拌運動……胃の中で食べ物が混ぜ合わされる運動のこと。
――かむことはそんなに重要なんですね。毎日の食事で気をつけることはありますか?
まず、食事の役割を理解しましょう。人間の体は「動く・食べる・寝る」の3つを基本にしています。朝食を例にあげると、朝食は寝ていた体を起こして、次の昼食までもたせる食事なんです。炭水化物だけではなくタンパク質を摂ることで体温を上げて、次の目的に備えてウォーミングアップをするわけです。そのスイッチを入れるのが「食べる」こと。
ですから、朝、食事をすることで「寝る」から「動く」へと切り替えることができるんです。
また、細胞は常に生まれかわっていますから、朝食に限らず、食事を抜くことはお薦めできません。
――3食きちんと食べることが大事なんですね。それでは、成長期の子どもに欠かせない栄養素について教えてください。