「時間をかけて慎重に議論していただきたい」日本PTA全国協議会が9月入学の議論に関する緊急要望書を発表
2.学年の始期を5か月遅らせることによる経済的負担増への懸念
学年の始期を9月まで遅らせることにより、卒業が延長されるため、公立・私立の小中学校、高等学校、専門学校や大学等の授業料などが余計に必要となり、各家庭はその費用を捻出しなくてはならないのではないか。特に、この4月から8月までの授業料はどうなるのか。この経済的な負担増は子どもを持つ家庭にとって大きな課題である。
3.9月入学により子どもの居場所を確保できるのか
就学するまでの期間は子どもを保育所等に預ける家庭が多いが、始期を遅らせることによって、4月から8月末まで、子どもの居場所が必要になるが、保育所等で預かってもらうことができるのか。仮に保育所等に預けた場合、人数の増加により待機児童が増えることも考えられ、十分な対策が必要と考える。
4.9月を学年の始期とする場合、学級編成はどのようになるのか
これまで4月2日から4月1日生まれまでを同学年として編成しているが、9月2日からとなった場合、現在の学年が分断されるのではないか。これまで同じ級友として学び合い、支え合ってきた学年を分断するような政策は、子どもたちにとって受け入れられないことである。
5.部活動の大会はどうなるのか
現在、子どもたちを心身ともに大きく育てる部活動の大会は5月~8月に集中している。
仮に夏に入試を行う場合には最終学年の参加は難しいと考えられる。スケジュールを変更したとしても会場の確保が難しく、どちらにしても来年の実施は難しいのではないか。
6.社会と学校の始期のズレによる影響が大きいのではないか
企業や官公庁などの保護者の勤務先は会計年度に合わせて動いており、4月からの人事異動が多い。学校のみが9月である場合、保護者の転勤時期と子の入学・卒業・進級とのズレが生じてくる。子どもの卒業等の間近に転勤を言い渡される家庭も多く出ると考えられ、このような場合の子どもへの心理的負担は大きいと考える。
7.グローバルスタンダードに合わせるというが、国際基準から1年遅れになるのではないか
アメリカやフランス、ドイツなど6歳から就学させる国が多い中、今回の検討内容は学年の始期を5か月遅らせることであり、他国の基準から考えれば就学の機会を1年遅らせることになるのではないか。これでは国際競争力の観点からも遅れをとる施策となるのではないか。
8.社会の働き手が不足するのではないか
多くの企業や官公庁等は、4月から新人を採用している。