知的障害の若者に大学教育を。福祉型大学「カレッジ」の挑戦
そこで、実際の職場を摸した教室を作り、どうすれば仕事をミスなく素早くできるようになるのか特訓をしました。
就職が迫った3月頃には、周囲の人と変わりないほどに早く仕事に取り組めるようになっていき、インターンを続けていたおかげで職場の人たちにも慣れ親しんでもらえて無理のない就職ができました。」
さらにカレッジでは、就職後のケアも徹底しています。
卒業後すぐは毎週キャリアサポーターが職場を巡回し、2ヶ月に1度は同窓会を開いて近況確認を行っています。
「もし、離職をしてしまった場合も私たちは全面的にバックアップします。
それぞれにあわせた再就職トレーニングを行っていくつもりです。
カレッジを卒業した学生たちみんなに一生涯サポートを掲げていきたいと思っています。」
カレッジを運営するきっかけは、知的障害のある次女の進路を目の当たりにしたショック
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そもそも、長谷川さんがカレッジを運営しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
「私の次女には重度の知的障害があります。
特別支援学校を出たら就職をするか福祉施設に行くか…そのような現実を目の当たりにしたときに障害に関係なく人生を豊かにするための選択肢を何か用意することはできないのかと考えるようになったんです。
発達がゆっくりな彼らにとって、社会での生活があまりに早く始まることは、不安でいっぱいのことなのです。
さらに、特別支援学校への進学などの限定された進路によって、10代のうちから障害のない学生たちとの関わりがなくなってしまうことは、障害のある人たちにとっての暮らしやすい社会づくりを根本的に阻害している可能性もあります。そうなると、一般の生活の中に障害のある人たちと関わる機会はほとんどないということになります。
関わる機会がないということは、お互いに関心を持つチャンスも失ってしまうということです。
チャンスがないということは、知的障害があるということで社会での生きづらさを抱え続ける可能性があるということです。
そこで、福祉型大学カレッジを立ち上げようと考えるようになりました。」
さらに、教育者としてカレッジに込めた思いを長谷川さんはこう語ります。
「社会に出ると、いろいろなことがあります。
トラブルや意見のぶつかり合いによって悩んだりストレスを抱えたりします。
でも、どんなときでも自分で乗り越える力を持っていれば自立して生きていけると思うんです。