知的障害の若者に大学教育を。福祉型大学「カレッジ」の挑戦
そのために大切な仲間や先生に囲まれ、自分は大丈夫だという強い自信をもって生きていってもらいたいと思っていますし、そのような心を育てていくことが彼らの身を助けると信じています。」
知的障害のある若者でも、自由に学びの選択ができるように
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最後に、長谷川さんに今後日本の社会で必要になることは何かを尋ねました。
「知的障害のある若者でも自由に学びの選択ができるような土壌を作る必要があると考えています。
先ほども述べましたが、日本の知的障害のある若者は社会から隔離されていることが多いんですね。
一方、海外では障害の有無なしに学ぼうとする取り組みが増えてきています。
最も進んでいる海外の取り組みとして一例を挙げると、アメリカでは2008年の高等教育機会均等法の成立によって知的障害のある人たちにも平等に学びの機会を用意する流れができるようになりました。
2013年の段階で250校もの大学がすでに受け入れを行っており、全米各所で知的障害のある若者がキャンパスライフを送っているのです。」
日本でも2014年に障害者権利条約を批准し、その後もさまざまな法律整備を進めています。
条約の中には教育の機会についても触れられており、たとえ障害があってもそのことを理由に学ぶ機会がないということにはならないことが明記されています。
「最終的には、大学内に他の学生たちと交流できるようなクラスを併設するなどして連携していけたらと思っています。そして大学にクラスが併設されているのが当たり前になれば、知的障害のある人たちに対して理解は深まっていくでしょう。」
これからの障害者雇用のカギを握る、「カレッジ」の取り組み
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10568002502
ゆっくりと、でも着実に学んでもらいたい。
大事な10代から20代の人生の節目で青春を謳歌してもらいたい。
知的障害のある子どもたちの教育格差や就職格差を埋める挑戦として社会的意義がある「カレッジ」には、現状を打破しようとする長谷川さんの強い信念と、教育者としての愛情が込められていました。
近年、障害者雇用促進法によって障害のある人の雇用問題について取り上げられるようになりましたが、求人そのものを増やすだけではなく、就職前後の支援をいかに拡大していくかが今後の焦点となるでしょう。