高機能自閉症とは?アスペルガー症候群とは違うの?症状や診断基準、障害者手帳の取得について紹介します!
高機能自閉症と似た特性がありますが、高機能自閉症とアスペルガー症候群はどういった違いがあるのでしょうか。
アスペルガー症候群は知能・言語の発達に障害がありません。一方の高機能自閉症は知的発達における遅れや障害はありませんが、言語発達において遅れがあります。この症状の違いが臨床的な診断の際に用いられてきました。
しかし、近年の研究によって、2~3歳頃にみられた高機能自閉症とアスペルガー症候群の言語能力の差は、時間の経過とともに縮まっていくことが分かりました。
また、高機能自閉症は年齢を重ねて言語が身に付き始めると、アスペルガー症候群と変わらない特徴や症状がみられることが分かりました。以上のことから近年、両者はあまり区別しないで扱われることが多くなってきました。
そこで、以下の項目では、高機能自閉症とアスペルガー症候群をあわせてご説明していきます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcomdis2003/23/2/23_2_87/_pdf
参考:大井学/『高機能広汎性発達障害にともなう語用障害:特徴,背景,支援』
高機能自閉症の診断基準
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10132107100
高機能自閉症という言葉は一般的によく使われていますが、精神医学における診断名としては確立していません。
高機能自閉症に当たる特徴・症状のある方は、診断基準上はアスペルガー症候群の診断に含まれます。また前項で説明した通り、近年は高機能自閉症とアスペルガー症候群は同種の発達障害であるという説が主流になっています。そのため、この項では、アスペルガー症候群の診断基準を紹介していきます。
アスペルガー症候群(高機能自閉症)は世界保健機関(WHO)の診断基準である『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)では広汎性発達障害のカテゴリーに属しています。
広汎性発達障害には「3つ組の障害」と呼ばれる「社会性の障害」、「コミュニケーションの障害」、「限定的な反復行動」の3つの領域があります。高機能自閉症は、その中でも「コミュニケーションの障害」が軽度で知能の発達もないことを言います。
■ICD‐10におけるアスペルガー症候群の診断基準
・認知的発達において臨床的に明らかな遅延がみられない
・相互的な社会関係の障害がある
・限定的で反復的な行動、関心、活動がある
・明らかな言語遅滞が存在するときはこの診断は除外される
アスペルガー症候群の障害名は、アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)