視空間認知って?「見る」ことのメカニズム・検査・強化するトレーニング法、発達障害との関連について
視空間認知とは
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10387000366
視空間認知とは、目から入った視覚の情報を処理し、空間の全体的なイメージをつかむための機能です。ものとの距離感や奥行き、文字や形を把握するときに使われます。
目でとらえた映像は、そのままだと「点」「線」「色」などの単なる情報にすぎません。しかし、私たちは「3本の縦線」を見ると漢字の「川」であることがわかりますし、平面である地図の情報を見て、自分の現在地がどこかを把握し、実際に目的地までたどり着くことができます。これらはすべて視空間認知の機能のおかげです。
このように視空間認知機能とは、視力とは異なり、はるかに幅広く複雑なものです。「ただ単にものを見る」ための視覚のシステムは生まれたときにはほぼできあがっていますが、視空間認知は発達とともに身についていくものです。この機能を身につけていくためには、実際にものを見たり触ったり、興味のあるものを目でとらえて手を伸ばしたりと、空間の中で目や体を使う経験が必要です。
さて、視空間認知は「見たものの全体像を把握する機能」ですが、その機能はいくつかの要素に分けて考えることができます。
・対象と背景を区別するはたらき
・形や色を認識するはたらき
・形・方向に左右されず、同じ形を「同じだ」と把握するはたらき
・ものともの(あるいは自分ともの)の位置関係を把握するためのはたらき
詳しくはのちほどの章でご説明しますが、これらの4つのはたらきにより視空間認知機能は構成されています。
また、視空間認知機能は、運動機能や記憶力とも関連する重要な機能であるといえます。脳で処理されたイメージが鮮明であればあるほど、即座に反応して体を動かすことができますし、複雑な形も覚えることができます。逆に、この機能に弱さのある場合には、ものを覚えることや、体を動かすことに対して苦手を持っていることが多くなります。
視空間認知の力が弱いとどうなるの?
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私たちは日常生活のさまざまな場面で視空間認知の機能を使いながら過ごしています。学習や集団での行動につまづきがある子どもの中には、その背景に視空間認知の問題が潜んでいることがあります。