解離性健忘とは?記憶を失ってしまうの?解離性障害のひとつ解離性健忘の原因・症状・治療法などを解説
「解離性健忘」・・・開くにはあまりにも危険なファイルであるため、記憶の記載されたファイルにアクセスできないようになっています。この場合の「危険」とは、本人の心に傷を与える危険があることを意味します。
「器質的な健忘」・・・ハードウェア自体が壊れてしまっているために、記憶ファイルがなくなってしまったり、容量が低下して記憶の書き込みができなくなったりしている状況です。
なお、解離性健忘は、自分にまつわる体験や自分が誰であるかを忘れてしまうことが中心的です。しかし、認知症の場合では、自分が誰だか分からなくなってしまうのは、認知機能がかなり低下してから生じると考えられています。
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岡野憲一郎、柴山雅俊、奥田ちえ/編『こころのりんしょうa・la・carte 第28巻2号〈特集〉解離性障害』(星和書店、2009年)242ページ
解離性健忘の診断基準
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10161018206
米国精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)での診断基準は、以下の通りです。
A.重要な自伝的情報で,通常,心的外傷的またはストレスの強い性質をもつものの想起が不可能であり,通常の物忘れでは説明ができない.
注:解離性健忘のほとんどが,特定の1つまたは複数の出来事についての局限的または選択的健忘,または同一性および生活史についての全般性健忘である.
B.その症状は,臨床的に意味のある苦痛,または社会的,職業的,または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている.
C.その障害は,物質(例:アルコールまたは他の乱用薬物,医薬品),または神経疾患または他の医学的疾患(例:複雑部分発作,一過性全健忘,閉鎖性頭部外傷・外傷性能損傷の後遺症,他の神経疾患)の生理学的作用によるものではない.
D.その障害は,解離性同一症,心的外傷後ストレス障害,急性ストレス障害,身体症状症,または認知症または軽度認知障害によってうまく説明できない.
【出典】日本精神神経学会/監修『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版(医学書院、2014年)296ページ
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診断にあたっては、器質的な原因による健忘でないかも含め、専門医による診断の上で解離性健忘かどうかを判断します。