2017年5月22日 20:00
生放送で発達障害と向き合ったNHKの挑戦。そこで描かれたこと、描き切れなかったこと、これからのこと
というイギリスのスーパーマーケットでの取り組みも紹介されていましたが、こうした環境調整を部分的にでも行ってくれる場所が増えていくことで、日常生活上の困難さを軽減し、苦手な場所に行かないで済む「選択肢」を増やすことに繋がるでしょう。
番組中でも触れられていましたが、今回の番組づくりは、ゲストの方をはじめ、発達障害当事者の方の意見を取り入れながら進められたそうです。
例えば、スタジオトークでは「話し相手の顔を見ないでいいルール」を採用。人の顔を見ると、余計な情報が多く入ってきて、それをまとめ上げるのが困難だという特性を持つ人にとって、「目を見て話すこと」がマナーや礼儀とされる文化に合わせて過ごすことは、非常にストレスが大きいと言えます。
海外の研究でも、"Autistic Sociality"(自閉圏の社交性)という考え方が提唱されており、対面的ではない関わり方、情動を抑えめにした話し方など、ASD(自閉症スペクトラム)の人たちにとって心地よい他者との関わり方を分析・整理した論文も出されています。
番組内では栗原さんが「会話に使うエネルギーが他の人たちより倍ぐらい多いのだと思う」と述べていました。また一方で、あまり目を見ないとしても相手のことはリスペクトしているのだということを、相手に事前に伝えるようにしているとも語ります。
目を見て話さないことは、無礼なわけでも、相手に関心がないわけでもなく、物事の受け取り方や、相手への敬意の示し方が異なるだけなのだという観点を共有することができれば、ASDの人にとっても過ごしやすいコミュニケーションの方法を考えやすくなるかもしれません。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1548-1352.2009.01082.x/abstract
Elinor Ochs, Olga Solomon, "Autistic Sociality", Journal of the Society for Psychological Anthropology, 11 March 201
また、スタジオデザインについても、ゲストの綾屋さん・片岡さんから事前に相談をした上で決められたとの背景が語られます。フリップで見せられたスタジオの「初期案」は発達障害特性の多様さをイメージしてか、多くの色をふんだんに使用したカラフルなものでした。