子育て情報『生放送で発達障害と向き合ったNHKの挑戦。そこで描かれたこと、描き切れなかったこと、これからのこと』

2017年5月22日 20:00

生放送で発達障害と向き合ったNHKの挑戦。そこで描かれたこと、描き切れなかったこと、これからのこと

「色や光が強すぎてこの空間に長くいるのは辛い」とのフィードバックを受け、白を基調とした今回のシンプルな内装に決まったそうです。

スタジオ生放送で感想を求められたところ、綾屋さんは「反射もそれほど強くなく安心できるレベル」、片岡さんにとっては「これでもまだ反射が強くて眩しい」と回答。視聴者からもリアルタイムで様々な意見がありました(テレビ画面からだと、スタジオの方とはまた違った見え方をしているかもしれません)。

今回のように事前の相談・工夫を経た場合でも、なかなか万人にとって過ごしやすい空間を作るのは難しいものですが、むしろ、このスタジオに対する反応のバラツキこそが、一人ひとりの見え方、感じ方の多様さを浮き彫りにしているように感じました。

たとえ全員が満足できる環境にはできなくとも、こうしてなるべく多様な意見を取り入れながら空間づくりを考えていくことには意義があると思います。また、それでも難しい場合には、たとえばサングラスを着用可能にしたり、疲れた時にいつでもその場を抜け出せるようにするなど、その人のしんどさに合った、個別の合理的配慮を組み合わせていくことが重要だと思います。

アフタートークでも、「発達障害を扱っているのにBGMがうるさくて集中できなかった。配慮してほしい」との視聴者の声が紹介されました。
こうした意見も受け止める必要がある一方で、音声やビジュアルによる補助が多い方が理解しやすいという人の存在も同様に考える必要があります。

こうした問題を一度に解決することは難しいかもしれません。ですが、たとえば手話通訳や副音声の利用ができるようになったように、BGMの有無を選択できるようにするなど、今後の放送技術や環境の進化によっては、異なる感じ方の人同士が共存しやすい未来が訪れるかもしれません。

発達障害、とりわけ視覚や聴覚の過敏がある人のみならず、感じ方の違いを前提としたコミュニケーションのあり方について、多くを考えさせられる番組だったと思います。


伝えきれない「ちがい」について

生放送で発達障害と向き合ったNHKの挑戦。そこで描かれたこと、描き切れなかったこと、これからのことの画像

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017007055
今回のNHKスペシャルの放送内容の大きな意義は、一つには、発達障害は先天的な脳機能障害であり、甘えやしつけの問題ではないということを、その症状メカニズムと共に丁寧に伝えたこと、もう一つには、そうした先天的な凸凹に対しては、本人の努力不足や自己責任論で片付けるのではなく、刺激やストレスを減らすための環境調整や、その人の得意を活かす仕事や役割づくりの重要性を示したことだと思います。

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