神経発達症とは?発達障害との違いは?概要、分類と症状、原因、周囲の接し方について徹底解説!
それでは、神経発達症はこれまでの発達障害と何が違うのでしょうか。
結論から言えば、「神経発達症」は「発達障害」よりも広い範囲を指す言葉だと言ってよいでしょう。
日本での「発達障害」の定義として、「発達障害者支援法」の中で使われている定義がよく知られています。それによると、発達障害とは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」です。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/001.htm
発達障害者支援法(2004年)|文部科学省
「政令で定めるもの」とは、ここでリストアップされたもの以外の「心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害」です。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0412-1d.html
発達障害者支援法施行規則(2007年) |厚生労働省
「発達障害」という言葉の範囲は、それほどはっきりと決まっているわけではありません。実際には、リストアップされなかった障害も、必要に応じて「発達障害」に含められてきました。
こうした多くの障害を、発生原因に注目してグループ化しなおすために持ち出されたのが「神経発達症」という言葉です。
神経発達症の原因は?
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=28177002092
障害と神経発達を関連付ける見方そのものは、『DSM-5』(2013年)で初めて現れたわけではありません。精神医学の中では、一部の障害が中枢神経系の発達阻害に関連しているという仮説が以前から持たれており、研究が進められてきました。
近年とりわけ注目されているのは、神経発達症と染色体との関連です。たとえば、“Handbook of Neurodevelopmental and Genetic Disorders in Children”(編集部訳題『児童期の神経発達症・遺伝子疾患ハンドブック』)(初版1999年)では、個々の障害(自閉症やターナー症候群など、約20件)について、それぞれ神経の発達阻害をもたらす遺伝学的性質に関する研究がまとめられています。