ネグレクト(育児放棄)とは?ネグレクトの判断基準は?もし見つけたらどうする?
ただし、これらのサインが見られる子どもすべてがネグレクトを受けているわけではないので、あくまで一例として参考にしてください。
・子どもの身長・体重が同年齢標準よりも極端に低いまたは軽い
・冬なのに上着を着ていないなど季節はずれな服装をしている
・皮膚がかさかさで目の下に黒いクマがある
・虫歯がある、予防接種を受けていないなど医療的ケアを受けていない明白な兆候がある
・いわゆる「ゴミ屋敷」に住んでいる等、住居が不適切である
・親の監督不行き届きのためにたびたび危険な行為に参加している
・不潔な身なりをしている
・平日の昼間なのに公園にいるなど、学校に行っていないように見える
・夜遅くまで外で遊んでいるなど、家に帰りたがらない
・空腹のため、食べ物をせびったり盗んだりする
・気だるそうで、何事にも無関心に見える
現実では、断片的な情報しか得ることのできない家庭外の第三者がネグレクトがあるかについての判断をすることは容易ではありません。次章では、どこから虐待といえるのか、厚生労働省が示す虐待の捉え方について解説します。
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バーバラ ローエンサル『子ども虐待とネグレクト』(明石書店、2008)
どこからが虐待になるの?
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10120002290
親による子どもに対する行為が虐待にあたるかどうかの判断は、以下で紹介するような児童虐待防止法の定義に基づいて総合的に行われるのが基本ですが、厚生労働省はその過程における重要な観点として「子どもの側に立って判断すべき」という点を明らかにしています。
厚生労働省のホームページでは、虐待を判断する上で有効な考え方として、小児科医・小児精神科医である小林美智子氏の言説が引用されています。
「虐待の定義はあくまで子ども側の定義であり、親の意図とは無関係です。その子が嫌いだから、憎いから、意図的にするから、虐待と言うのではありません。親はいくら一生懸命であっても、その子をかわいいと思っていても、子ども側にとって有害な行為であれば虐待なのです。
我々がその行為を親の意図で判断するのではなく、子どもにとって有害かどうかで判断するように視点を変えなければなりません。」(小林美智子,1994)