2017年9月28日 18:00
長男が難病宣告された日。絶望の中で出会った言葉が今も私を支えてくれる
その後、私は自分がどんな顔をしているのか、どんな風に診察室を出たのかも覚えていません。
ただ待合室の椅子に座り、双子が生まれた時のことを思っていました。元気な体で産んであげられなくてごめんね……そんなことを考えていると、あとからあとから涙がこぼれてきました。
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待合室で涙をぬぐっていた私に声をかけたのは…
しばらくそうしていると、渡り廊下の向こうから見覚えのある看護師さんが歩いてくるのが見えました。双子がお腹にいる間、私はしばらく入院していたのですが、その間お世話になった方でした。看護師さんは私の涙に気付かないふりをして、明るい声で声をかけて下さいました。
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私はハンカチで涙をふきながら、ろくに挨拶もできないでいました。けれど看護師さんは、私が泣いている理由をおおよそ知っている様子で、どこか労わるような目で私の方を見ていました。
『そうか、この人が長男の便の色に気がついたのかもしれない』
そう思った私は「長男の病気を見つけてくださってありがとうございました」と頭をさげました。
看護師さんが気付かせてくれた長男の生命力
すると看護師さんは「違いますよ」と大きな、はっきりした声で言いました。
「お母さん、私たちじゃないですよ」
思わず顔を上げた私に、彼女はこう言ってくれたのです。
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それは完全に打ちひしがれていた私にとって大きな力をくれた言葉でした。
『この子は生命力のある子ですよ。
だって最後の最後で自分の体の危険信号を知らせてくれたんだから』彼女の言葉からそんなメッセージが汲み取れたのです。
その時すっと涙がひきました。振り絞るような大声で生まれてきた長男の姿と「生命力」という言葉が重なったからです。
もし長男が退院前のタイミングで便を出さなかったら、私では病気に気付けなかったでしょう。治療は適切に行われず、現在、命があったかどうかも正直わかりません。
この後、長男は薬が効果的に働いたことで肝臓疾患特有のかゆみが治まり、さらには旺盛な食欲で離乳食をどんどん食べるようになりました。生きるために必死にしがみつき、食べて食べて食べまくり、自分で体を大きくしていったのです。
本当に生命力のある子どもだったのです。
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あの時の言葉があるから、苦しい時も長男の力を信じて進める
今でも長男は毎月検診を受けなくてはならず、自閉症の経過観察で通院しなければなりません。