子育て情報『コントロールを外れて暴れる体と、終わりのない追いかけっこー『どもる体』伊藤亜紗さん×発達ナビ編集長』

2018年7月30日 10:00

コントロールを外れて暴れる体と、終わりのない追いかけっこー『どもる体』伊藤亜紗さん×発達ナビ編集長

暴れるフェーズと馴染むフェーズ、振り子みたいに振れている自分を楽しむような感覚です。


吃音があることの良さをあえて挙げるなら、それは「誠実さ」から逃れられないこと

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伊藤: 鈴木さん自身も「しゃべれない」経験があったとお聞きしましたが、それはいつごろだったんですか。

鈴木: 僕の場合は…「吃音」と言えるほどの症状か微妙なラインなんですが、話そうと思ってもなかなか言葉が出ない、人と「うまくしゃべれない」という時期がありました。大学卒業前後かな、ちょうど東日本大震災が起こった年と重なるんですけど。

あのころ、社会全体も大きく揺れていた時期でしたが、それと同じタイミングで、僕の中でも、人と向き合う上でのありようの地殻変動が起こっていたというか、まぁちょっと色々こじらせていたんですけど(笑)。

伊藤: こじらせてたんですね(笑)。

鈴木: 要するに当時、震災と大学卒業のタイミングが重なって、同級生は就職とか、それぞれの選択をして進んでいったわけですが、僕はうまく決められなくて立ち往生しちゃったんですね。しっくりこなかったというか、それでしゃべれなくなっちゃった。
いま思えば暗い時代です(笑)。

伊藤: ”しっくり感”に対する感度が高くなりますよね、吃音だと。うまくしゃべれないというときに「言い換え」はしていましたか?

鈴木: どうでしょう…そんなにしている感覚はなかったのですけど。

伊藤: 私は結構しているんですよ。Aと言いたい、でも難発になりそうだからBに換えたというときに「Aだったらしっくりきてた」「Bだったからしっくりこなかった」というのがすごい残るんです。しっくり感に対する感度は私にとって言い換えで育まれた感じがしています。

鈴木: なるほど。

伊藤: 本の最後でも触れたんですけど、吃音があることの良さ…をあえて言うとしたら、それは「誠実」さから逃れられないことなのかもしれません。
どうしても体の方が「ちょっと待て」とひっかけてきたりするので、立ち止まらざるを得ない。

私、大学の講義も3年で内容を全部変えているんですよ。”立て板に水”みたいに話せるようになってきちゃうと、学生に対して申し訳ない気持ちになるし、苦しい。新しいものにしてたどたどしくしゃべらないと伝わってない気がするんです。

鈴木: 仕事に慣れてくるとしゃべりが上手になってきますよね。

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