合理的配慮はずるいのか?「先生はえこひいきしてる!」発達障害がある子への配慮をうまく説明できなくて
するとほかの生徒たちから「ずるい!僕も先生の横に座りたい!」と文句が出ました。
困り果てた担任は「この子だけ特別扱いはできない。えこひいきになってしまう、そうしたらいじめにあってしまうかもしれない」と感じ、個別対応を諦めました。
近視の子に眼鏡を禁止して「気合を入れて黒板の字を写しなさい」とは言いません。眼鏡だけでなく黒板の近くの席にする配慮をするでしょう。ところが、発達障害についてはほかの子と同じ学習のさせ方をしてしまうという例としてとりあげられていました。
障害がある人の不当な取扱いを禁じ、個々のニーズに合った合理的配慮の提供を求めることによって、差別を解消しようとする障害者差別解消法があります。これに沿って対応しなくてはならないのに、ほかの児童のクレームに押し切られてしまった担任の先生でした。
A君はこの経験から「僕は周りに助けを求めてはいけないんだ。何もかも自分の努力でこれからの人生を歩んでいかなくてはならないんだ」と思ったでしょう。
ツールの活用
学習障害のある生徒には先生が読んでやる、または音声ソフトを使わせればよいと思います。例えば、マルチメデア教科書(デイジー教科書)という音声ソフトもあります。
https://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/book/daisytext.html
参考:マルチメデアデイジー教科書について
背景と文字の境界が混ざってしまい、行を飛ばしたり、読めなかったりすることもあるので、こんなときはリーデングスリットを使わせればよいのです。
また、黒板の文字を写せないのならば、タブレットで写真を撮らせればよいのです。
子どもの特性に合わせてツールを上手に活用することで、学びの困難を少しでも軽くすることができます。
Upload By 立石美津子
高い壁の向こうで行われているスポーツの試合…背が低い子に「背を高くして観戦しなさい!」と言っても無理です。
ですが、踏み台を使えば平等に楽しむことができます。学習も同じで、合理的配慮とは、同じ土俵でチャレンジするためのサポートの形で、この踏み台がリーデングスリットやデイジー教科書、タブレットなのです。
共に学ばせながら、ときには定型発達の子どもと障害のある子どもの教育環境を変えたり、特性を踏まえて違う課題を与えたりするのが本当のインクルーシブ教育ではないでしょうか。
とはいえ、私自身も、他の児童が納得できる説明の仕方を未だに見つけられないでいます。