ADHDがある子どもの薬物療法とは?ビバンセ、コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、それぞれの違いと副作用を解説――マンガで学ぶ発達障害の薬【医師監修】
特にビバンセとコンサータは流通規制がとられており、登録した医師だけが処方できるような厳しいシステムが整備されています。
アトモキセチン(ストラテラ®)
ストラテラは不注意、多動性、衝動性といったADHDの症状を改善するために処方される薬です。
2003年にアメリカで発売開始されてから海外でも広く使用されており、日本では2009年に18歳未満の子どもに承認されました。さらに、2012年には18歳以上の成人にも承認が拡大され、幅広い年齢の人への処方が可能となっています。ただ、6歳未満の子どもへの安全性と有効性は確立されていません。
ストラテラはアトモキセチン塩酸塩という成分の入った薬で、脳の前頭前野部分に多く存在する神経伝達物質「ノルアドレナリン」を活性化させる働きを持っています。脳の前頭前野部分は、順序だてた行動や、行動をコントロールする役割を果たしており、ADHDの人はこの部分に何らかの不具合があると推測されています。ストラテラはドーパミンの代謝も調節することで、症状を改善させると推測されています。
また、ストラテラは薬物依存に関係する中枢神経系には作用しないために、薬への依存性は低いといわれています。
ストラテラは飲み薬で、現在カプセルと液体薬剤のどちらかが処方されます。カプセルは5mg・10mg・25mg・40mgの4種類あり、医師が処方した用量になるように組み合わせることが可能です。カプセル内の物質は刺激物のためカプセルを分解することは禁止されています。そこで、まだカプセルが飲めない子どもや、カプセルが飲みづらい人には、液体薬剤(内用液)0.4%を選べるようになっています。
18歳未満の子どもと18歳以上の成人では処方量や処方回数が異なります。子どもには体重に基づき決定した1日分の用量を1日2回に分けて処方される一方、成人では体重に関係なく用量が決められ1日1回もしくは2回に分けて処方されます。
また、子どもも成人も少量からの服用で治療がはじまります。
どのように処方されるかは、医師が診断の上で判断しますので、かかりつけの医療機関で相談してください。
薬には飲んですぐ効果があらわれるものと、効果があらわれるまでに時間がかかるものがあります。ストラテラは後者のタイプで、毎日飲み続けることで効果があらわれる薬ですから、ADHD症状が改善するためには少し待つ必要があります。