染色体異常症とは?原因や種類、検査や遺伝について解説【医師監修】
染色体異常症とは?症状や原因を解説
染色体は細胞の核の中に存在し、細胞分裂のときに紐のような形で現れます。染色体の中には、身体をつくる設計図といえる遺伝子(DNAからなる)が入っており、1つの細胞が持つ染色体の数は、生物の種類よって違います。人間の場合は22対の常染色体と1対の性染色体の、合わせて46本。1本ずつに多くの情報を持った染色体が細胞分裂の前に複製され、2つに分かれた細胞それぞれに同じ設計図の情報を伝えます。その染色体に起こる異常(=染色体異常症)は、すべての染色体で起こる可能性があります。
・数の異常による染色体異常…通常は2本で1組になっている染色体の数が増減する
・構造の異常による染色体異常…染色体の一部が欠けるなど、構造に関する異常
などの要素によって染色体異常が引き起こされます。要するに、染色体の数や構造が本来のものとは異なり、何らかの異常(症状)が生じている状態を染色体異常症といいます。
染色体異常症が染色体の数や構造に変化が起こるものを指すのに対して、遺伝子異常症(遺伝子疾患)は遺伝子の異常が原因でなんらかの病気につながるものを指します。
遺伝子は染色体の中にあるのですが、染色体異常症と遺伝子異常症とは互いに異なる疾患概念といえます。
染色体異常症は、体の成長や発達の遅れ、いろいろな臓器・器官の構造・機能の異常など、さまざまな症状を持つことが多いです。
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染色体異常症の考えられる原因としては、前述した「染色体の数」と「染色体の構造」の二つの要素があります。詳しく解説していきます。
・数の異常による染色体異常
人間の精子と卵子は細胞分裂し、受精すると父親由来の23本と母親由来の23本が合わさって46本の染色体に戻り、子どもに受け継がれていきます。その過程でいずれかの染色体がうまく分離せず2本とも精子もしくは卵子に入ってしまい、異常な精子や卵子ができることがあります(染色体不分離)。そのような異常な精子や卵子が、正常な精子や卵子と受精すると、1+2本でいずれかの染色体を3本持つ受精卵ができます(「トリソミー」と呼ぶ)。
その反対で、染色体が1本もない異常な精子や卵子が、正常な精子や卵子と受精すると、染色体が1本しかない受精卵ができます(「モノソミー」と呼ぶ)。
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・構造異常による染色体異常
染色体の一部が欠けている「欠失」