子育て情報『「普通に見えるね」「なんでできないの?」悪気のない言動が、発達障害当事者への差別・社会的孤立につながる――「オールマイノリティ・プロジェクト」代表大島教授インタビュー』

2023年7月2日 14:15

「普通に見えるね」「なんでできないの?」悪気のない言動が、発達障害当事者への差別・社会的孤立につながる――「オールマイノリティ・プロジェクト」代表大島教授インタビュー


努力をするのが発達障害当事者だけというのは、アンフェアでは?そこからスタートしたオールマイノリティ・プロジェクト

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All Minorities Project(オールマイノリティ・プロジェクト)は、発達障害の当事者が社会的孤立・孤独に陥らないフェアな社会の実現を目指すプロジェクトです。本プロジェクトの代表である千葉大学の子どものこころの発達教育研究センター大島郁葉先生にお話を伺いました。

LITALICO発達ナビ編集部(以下――)オールマイノリティ・プロジェクトとはどういうものか教えていただけますか?

大島郁葉先生(以下大島先生):オールマイノリティ・プロジェクトは、「社会的孤立、孤独の予防」をテーマにした五ヶ年計画のプロジェクトです。マイノリティの中でも、発達障害のある方に着目しています。
私の専門は自閉スペクトラム症(ASD)で、支援者の1人として発達障害のある方と関わることが多いのですが、努力をするのが当事者だけというのはアンフェアではないかとずっと考えていました。なぜなら、 発達障害のある方たちが感じるつらさの一部は、マイノリティの人たちへの無配慮であったりとか、偏見、差別といった非常に心理社会的な問題であったりします。ですが、マジョリティ※1はそれに気づかず、ただ当事者の方たちが一生懸命適応しようと頑張っている状況だからです。

例えば、通常学級に在籍している場合、当事者は通常学級に合わせようとかなり過剰適応していたりします。
その上、かなりのコストをかけて、心理療法やさまざまなトレーニングを積ませるのは、アンフェアです。
ですので、このプロジェクトを機に、当事者の方たちを努力させるのではなく、周りのマジョリティがマイノリティとの非対称性を認知し、悪意なくおこなってしまう差別的な言動に気づく仕組みづくりをしたいと考えています。

われわれが生きる社会は、片方に権力が偏ることなく、それぞれみんな等しい人権を持つべきです。みんながマイノリティであるという社会にしていった方がいいという想いを込めて、「オールマイノリティ」という言葉を使いました。

※1 マジョリティとは、「多数者」や「多数派」を意味する言葉ですが、単純な人数の多さだけではなく、「強い発信力がある」、「優位な立場にある」といった、より多くのパワー(権力)持つグループを指す場合もあります。

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