障害の有無にかかわらず、誰もが安心して遊べる公園をーー福岡市「インクルーシブな子ども広場FUKUOKAシンポジウム」をレポート
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2006年から20年近く活動を続けるなかで、最近特にインクルーシブな遊び場への興味が高まってきたことを感じるという柳田先生。反面、表面的な理解や誤解をしている人が多いとも感じています。
・インクルーシブな遊び場は障害のある子どものためのもの
・平らな地面に易しい遊具を置けば、「それでよい」
・目指すゴールは「遊び場の完成」である
・インクルーシブな遊び場は一ヶ所あれば十分
上記がよくあるインクルーシブな遊び場に対する考えだそうですが、この全てが誤解なのだそう。では一体「インクルーシブな遊び場」とはどんな場所なのでしょうか。
柳田先生の考える「インクルーシブな遊び場」とは、“個人の特性や背景などの違いにかかわらず、あらゆる子どもが共に遊び、育ち合う場”。それには3つの柱が必要だといいます。
1つめがすべての基本となる「誰もが利用できること」、2つめが単に遊べるだけではなく子どもたちのさまざまな能力を引き出すために「遊びが豊かであること」、3つめが子ども同士はもちろん保護者同士や地域住民を含めたコミュニティをつくれるような「人や地域とゆるやかなつながりがあること」です。
柳田先生は、この3つの柱に合わせて、海外では具体的にどのような取り組みがあるのかを紹介しました。
“誰もが利用できる”ために欠かせないのが全体のアクセシビリティです。遊び場は、土地の高低差も利用しながら、すべてのエリアがアクセス可能な地面や園路でつながっています。これは、「公平性」を保証するためのもの。
また、遊具エリアの地面に使われているのはゴムチップ舗装です。クッション性があるので、怪我の心配も少なく、雨が降ってもぬかるむことがありません。
エリアの特性によって、コンクリート、芝、ウッドチップなど色や感触の異なる地表面材を使い分けられているのは、視覚に障害のある人を含め、多様な利用者が直感的に場所を認識しやすくするためだそうです。
“遊びが豊かであること”につながるのは、さまざまな選択肢があり、子どもたち自身がそのなかから選べるという環境。滑り台一つとっても、幅やタイプの異なる数種類が用意されていたり、エリアごとに回転遊具、揺れる遊具、音遊び…などに分かれていて、子どもたちが自分の気に入った遊びを選びやすいような工夫もあるそうです。
また、1人で遊べるもの、みんなで遊べるものなどの選択肢も大切な要素の一つになります。