障害の有無にかかわらず、誰もが安心して遊べる公園をーー福岡市「インクルーシブな子ども広場FUKUOKAシンポジウム」をレポート
“人や地域とゆるやかなつながりがある”については、さまざまな視点からの仕掛けが。たとえば、砂場や回転遊具などは、車椅子やバギーに乗ったままみんなと同じ場所で遊べるのはもちろん、初めて会った子ども同士でも砂のやりとりや協力する遊びが生まれやすいようデザインされています。
また、「〜したい」「走る」「あれは何?」など、遊びのなかでよく使う言葉をピクトグラムにしたコミュニケーションボードを設置し、音声言語を持たない子どもや、外国にルーツのある子どもなども意思の疎通をはかりやすいようになっているのです。公園内のステージは、イベントの開催を促したり、地域とのつながりを広げることを目的として設置されています。
こうした海外の質の高い事例の背景には、多様な連携があると柳田先生。自治体の積極的なリードはもちろん、障害のある当事者やNPOや市民団体の働きかけ、大学や企業による開発や研究、そして地域住民の協力や寄付など、さまざまな人が公園づくりに参加しています。公園を“つくる人”、“使う人”、そして“地域社会”がそれぞれの強みを活かし、対話を重ねることで、このような遊び場が現実のものとなっているのです。
柳田先生は講演の最後にこんなことを語りました。
「福岡市の取り組みは、まさに多くの方の連携が実践されているように思います。遊び場をつくる段階から、多くの人が参加することで、人々のあいだにオーナーシップが生まれ“私たちの公園”と呼べるものになっていくのです。子どもたちにとって、こういった遊び場で得た経験は、将来学校や社会のあらゆる場面で活かされていくでしょう」
目指すのは、誰もがお互いを理解し、安心して、笑顔で、自分らしく遊べる場所
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柳田先生の講演に続き登壇したのは、福岡市住宅都市局公園部整備課 甲斐航平さんです。甲斐さんからは、2023年1月に策定された「インクルーシブな子ども広場整備指針」の説明が行われました。
まず冒頭で、心に残っている言葉を紹介した甲斐さん。「公園ってもともとインクルーシブな場所なのに、なぜ今になってインクルーシブと言い出すのか?」「そもそも公園に行こうという発想がない、いくとしたら人気がない時間に行く」という市民の方からの言葉です。指針をつくるにあたり、この2つの言葉を根底で意識してきたと振り返りました。
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