障害の有無にかかわらず、誰もが安心して遊べる公園をーー福岡市「インクルーシブな子ども広場FUKUOKAシンポジウム」をレポート
「安全性」「情報環境」として整理した周辺環境の整備を実現すること。これら6つを意識して、整備を進めることにしたのです。
また、いくつかの共通配慮事項も示しています。
1つめが、保護者が子どもを補助しやすいようなスペースを設けること。保護者が子どもを補助したり、一緒に使用できる遊具を設置したりする予定なのだそう。
2つめが、自然と人工物の調和が取れていること。木々や草花などを触れて感じることができるのはもちろんですが、シンプルな芝生広場は、小さな子どもや肢体不自由な子どもがはいはいやずりばいなどで楽しめるようにという面でも考えられています。
3つめが、1人遊びとみんなでの遊びを選択できること。
複数人が同時に遊ぶことを想定している場所とは別に、集中して1人遊びができるスペースを設けることを想定しています。
最後が、特に配慮すべき利用者が気兼ねなく利用できることです。おむつ替えや医療的ケアが必要な子どもなど、屋内での対応が欠かせない利用者にはバリアフリートイレは必須。乳幼児連れの保護者などでバリアフリートイレが混み合って、“絶対に必要な人”が使えないということがないよう、男女のトイレにベビーベッドやベビーチェアの配置をする予定です。
また、インクルーシブな遊び場は障害のある子どものためだけのもと、という誤った理解をしている人も多いので、表現を考えていかなければいけないと甲斐さんは話します。また、一方で障害のある子どもを育てる保護者は、公園の利用をあきらめてしまうというケースも多いので、月に一度は障害がある子どもがのびのびと遊べる日をつくるなど、運営面で環境を整えることも重要だと考えているそうです。
最後に甲斐さんはこんな言葉で説明を締めくくりました。「検証を基に整備指針を作成してきましたが、実際の整備はこれからです。
本日お話ししたことが100%正解だとは思っていません。整備後にもまだまだ改善点が出てくるはずです。その点は市としても継続的に検証を進めていきたいと思っています。公園を利用される市民のみなさんにもご協力いただきながら、より良い遊び場が生まれるような取り組みを続けていきます」
ハード面はもちろん、ソフト面の整備が重要な鍵に
甲斐さんからの説明のあとは、「インクルーシブふくおか」代表の上角栄子さんからのお話に移ります。上角さんは、「インクルーシブな子ども広場」