2023年11月28日 16:15
【児童精神科医 三木崇弘先生】人気漫画「リエゾン」監修への想い、発達障害子育ての「こころがまえ」を聞く
フリーランス精神科医から勤務医へ
三木崇弘先生は、2019年からフリーランス児童精神科医として、クリニック以外にも学校や児童相談所、児童養護施設や保健所などで勤務し、2022年7月から勤務医に転身されました。
その後も、臨床と共に、漫画『リエゾン―こどものこころ診療所―』の医療監修を継続、さまざまな社会活動を通して、社会への問いかけや支援の在り方について提言をされています。
――フリーランス児童精神科医として幅広く活躍されてきましたが、どのようなお気持ちの変化があったのでしょうか?
三木先生:もともと「都市で学んで、地方に還元したい」という気持ちがあり、家庭の事情も重なったことから地元にUターンすることにしました。
――有言実行されたということなのですね。ちょうど1年が過ぎた頃かと思いますが、見えてきた課題や現在注力していることを教えてください。
三木先生:地方は首都圏に比べると圧倒的にリソースが少なく、特に県庁所在地でない都市はそれが顕著です。子どもが安全・健全に育つために必要なリソースや考え方が不足しているように感じます。
そのため、さまざまな職種の仲間を募って勉強会をするなど、チームで連携して子どものためにできる支援は何かを模索しているところです。
漫画『リエゾン』医療監修、エンターテイメントの力を感じて
――『リエゾン―こどものこころ診療所―(以降、リエゾン)』について、最初に医療監修の依頼があった時は、どのように感じましたか?
三木先生:「自分の人生に『講談社』という文字が出てくるとは思わなかった」です(笑)。それぐらい縁遠い世界だと思っていましたし、想像もしなかったです。
ただ監修の依頼をいただいた頃、僕自身が「特殊なジャンルだと思われていることについて、専門家が専門家に対して、専門的な内容を伝えることの手応えのなさ」を感じていました。
――漫画だと、伝えたい相手も伝え方も大きく違いますね。
三木先生:そうですね。発達障害や不登校、虐待、非行などは教育や医療だけではなくて社会全体の問題ですから、こういったテーマを広く一般の方に知ってもらうためにエンターテインメントの力を借りる方法はとても素晴らしいと思いました。
――漫画で描かれていることは、実際の臨床現場でも多くあるのでしょうか?
三木先生:あります。もちろん漫画ですから多少は理想的に描かれていますが、『リエゾン』に関してはいろんな人たちの葛藤が丁寧に描かれるよう、編集部も力を入れてくれています。