愛あるセレクトをしたいママのみかた

1歳の知的障害の特徴は?軽度から最重度などの種類、遺伝なども解説【医師監修】

LITALICO発達ナビ

知的障害(知的発達症)とは?


知的障害(知的発達症)は論理的思考力や計画、判断など勉強に必要となる知的能力と、社会的なコミュニケーションなどの適応機能の遅れが発達期(おおむね18歳まで)に見られる障害です。知的発達症などと呼ばれることもあります。

継続した支援がない場合、知的障害(知的発達症)のある人は、家庭や学校、職場などさまざまな状況において、コミュニケーション面や行動面、学習面などで困り事が多く表れると言われています。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-004.html
参考:知的障害(精神遅滞)|厚生労働省 e-ヘルスネット

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/19-%E5%B0%8F%E5%85%90%E7%A7%91/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%83%BD%E5%8A%9B%E9%9A%9C%E5%AE%B3
参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版

知的障害の種類は?


知的障害(知的発達症)の基準は、行政や医療などによって違いがありますが、多くの場合、障害の程度によって、軽度、中度(または中等度)、重度、最重度と4つの種類に分類されています。分類はIQで表される知能指数と、社会的な能力である生活能力(適応能力)の両方を考慮したうえで行われます。

厚生労働省の基準では知的障害(知的発達症)の程度を知能指数(IQ)と生活能力(適応能力)の両方を評価したうえで判定します。以下の表にあるように、知能指数(IQ)がⅠからⅣに、生活能力(適応能力)はaからdとどちらも4段階に分けられており、その兼ね合いによって程度が決まります。

例えば知的指数(IQ)が軽度相当の51だとしても生活能力(適応能力)が最も困難を示すaの場合は「中度知的障害」と判定されることもあります。
1歳の知的障害の特徴は?軽度から最重度などの種類、遺伝なども解説【医師監修】

Upload By 発達障害のキホン

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/101-1c.html
参考:知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省

厚生労働省での知的障害(知的発達症)の程度ごとの状態の目安は以下のようになっています。
I :おおむね20以下
II : おおむね21~35
III :おおむね36~50
IV :おおむね51~70

適応能力は次のような判定表を用いて、aからdの4つに分類されます。
・食事:一人でできる/介助要 /できる
・用便(月経)の始末:一人でできる/介助要/できる
・衣服の着脱:一人でできる/介助要/できる
・簡単な買い物:一人でできる/介助要/できる
・家族との会話:通じる/少し通じる/通じない

ここに挙げたのは基準の一例です。療育手帳を取得する場合は各自治体で別途基準を設けていることもあります。
なお、医学的な診断基準である『DSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版改訂版』では軽度・中等度・重度・最重度と4つに区分されていますが、知能指数(IQ)での目安は明示されていません。知的機能と適応能力について、概念的領域(記憶や言語、論理的思考など)、社会的領域(対人コミュニケーションなど)、実用的領域(生活における能力など)の3つの領域の状態から重症度を特定します。

https://www.city.takarazuka.hyogo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/028/005/nichizyouseikatunouryoku.pdf
参考:日常生活能力判定表|宝塚市

知的障害(知的発達症)は遺伝する?


知的障害(知的発達症)が親から子へ遺伝するのか気になる方もいると思います。知的障害(知的発達症)の原因は一つだけでなく、さまざまな要因が重なっている事が多い傾向があります。
遺伝も要因の一つですが、まれだと言われており、ほかの原因により知的障害(知的発達症)が生じる場合もあります。

知的障害(知的発達症)の原因としては、遺伝以外にも妊娠中の感染症、母体の低栄養、アルコールや薬物の影響なども考えられています。また、出産時や出産後の低酸素症や脳感染症、頭部への負傷なども原因となり得るとされています。

遺伝子疾患、染色体疾患など、先天性の疾患が原因で知的障害の症状が表れる場合もあります。

なお、上記のような疾患がある場合も、必ずしも知的障害があるというわけではありません。

このように、知的障害(知的発達症)には遺伝的な要因もありますが、遺伝以外の要因によっても生じる可能性もあります。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/23-%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%A8%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%83%BD%E5%8A%9B%E9%9A%9C%E5%AE%B3
参考:知的能力障害|MSDマニュアル家庭版

1歳ごろに知的障害の症状は表れる?発達の遅れ、違和感、1歳半健診など


ここでは、知的障害(知的発達症)のある1歳児に表れる症状について紹介します。1歳頃の赤ちゃんは簡単な言葉を発したり、一人でおもちゃ遊びをしたり、いないいないばあをして笑ったりといった様子が見られ、食事の面では離乳食から普通食へ変わり、スプーンも使えるようになってくる頃と言われています。


知的障害(知的発達症)のある子どもは以下のような様子が見られることがあります。
・おもちゃで遊ばない
・あまり笑わない
・あまり泣かない/いつも泣いている
・つかまり立ちをしない
・歩かない
・喃語を話さない
・保護者の言葉に反応しない
・かむ力が弱く離乳食が進まない
・全体的に発達の遅さが見られる

ただ、上記のような様子が見られるからといって、必ずしも知的障害(知的発達症)というわけではありません。赤ちゃんの発達は個人差があることや、ほかの病気や障害が背景にある可能性もあります。心配な様子がある場合は、後ほど紹介する相談窓口に問い合わせてみるといいでしょう。https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/23-%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%A8%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%83%BD%E5%8A%9B%E9%9A%9C%E5%AE%B3
参考:知的能力障害|MSDマニュアル家庭版

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/pre_school/files/curriculum2/15_2_2_sankou.pdf
参考: 0歳児から2歳児の発達過程|東京都保健福祉局

保健センターで行われる乳幼児健診に1歳半健診があります。1歳半健診では子どもの発達について詳細な質問項目が用意されていて、発達が年齢相応かどうかを測ることができるようになっています。

1歳半健診における質問項目をいくつか抜粋して紹介します。
・絵本を見て知っているものをさしますか。

・周りの人の身振りや手振りをまねしますか。
・自分の好きなおもちゃで遊びますか。
・かんしゃくをよく起こしますか。
・手をひかれて階段を上がることができますか。
・手足の動きがぎこちなく突っ張った感じがありますか。
・鉛筆を持ってなぐり書きをしますか。
・スプーンを使って食事ができますか。
・大人の言う簡単な言葉が分かりますか。
(おいで・ねんね・ちょうだいなど)
・何かに興味を持った時に、指さしで伝えようとしますか。
など

こういった項目にはい/いいえで回答していき、発話や人への興味、指さし、運動面などで発達の遅れが見られる場合は、医師からアドバイスなどがもらえることがあります。また、気になることがあれば保護者から医師や保健師などに相談することも可能です。

https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/001028426.pdf
参考:乳幼児健診における標準的な項目一覧|厚生労働省

1歳ごろに表れる知的障害の症状をチェック

1歳の知的障害の特徴は?軽度から最重度などの種類、遺伝なども解説【医師監修】

Upload By 発達障害のキホン

※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐに知的障害(知的発達症)と診断されるわけではありません。

発達の遅れが気になる……どこに相談をすればいい?


普段の様子や周りの赤ちゃんと比較して、うちの子は発達が遅れているのではと心配な保護者もいると思います。また、1歳半健診では「様子見」と言われたが、やはり気になるという場合もあるでしょう。そういったときに相談できる窓口がありますので紹介します。


かかりつけの小児科
予防接種や健診で定期的にみてもらっているかかりつけの小児科にまずは相談しましょう。定期的にお子さんの発達をみてもらいながら、必要だと思われる福祉的な支援などについても相談してみても良いでしょう。

保健所/保健センター
保健所も保健センターも、地域における保健衛生を担当する専門機関です。子どもの発達に関しても相談でき、医師や保健師など専門的なスタッフが相談に対応しています。

児童相談所
18歳未満の子どもに関するさまざまな相談を受けつけている機関で、発達の遅れについても相談することが可能です。児童福祉司、児童心理司、医師、保健師などのスタッフが対応しています。

児童家庭支援センター
身近な地域で子どもに関する相談を受けつけている機関です。発達の遅れに関してもアドバイスがもらえるほか、児童相談所などと連携した対応も行っています。


児童発達支援センター
障害のある子どもが通いながら、日常生活や集団生活への適応を目指してさまざまなサポートを受けることができる場所です。児童指導員、保育士、医師など専門のスタッフもいて、発達の遅れなど気になることを相談することもできます。

まとめ


知的障害(知的発達症)は知的能力と適応能力に遅れがあり、支援を受けていないと身の回りのことや学習などで困り事が生じる場合があると言われています。

知的障害(知的発達症)の子どもは、1歳頃から今回紹介したような様子が見られる場合があります。しかし、子どもの発達は個人差が大きいものです。子どもの発達が遅いなど気になることがある場合は、不安を抱え込まずに1歳半健診の際に相談したり、そのほか相談できる専門機関に問い合わせてみたりするといいでしょう。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

提供元の記事

提供:

LITALICO発達ナビ

この記事のキーワード