自閉症息子は誰にでも「マブダチ対応」!?人との距離感、空気が読めず交流学級で空回り…【専門家からのコメントも】
馴れ馴れしいし、何を言っているか分からないし、あとやたら距離が近い。そんな存在であるスバルと交流学級のクラスメイトとの間の壁はますます高くなっていくのでした。
いわゆる「空気が読めない」立ち振る舞いをしてしまうスバルですが、人の顔色はなんとなく読めるので「人との接し方を何か間違ってしまったらしい」ということは分かりました。そして何を間違えたのか分からないまま挽回しようと、さらにグイグイと迫ってしまうのでした。
憧れのクラスメイト
入学してしばらくしてからスバルに憧れの人ができました。スバルの特別支援学級でのクラスメイトであり、同じ交流学級に通うたっくんです。
たっくんはスバルと同じで、初対面の人にもマブダチのように接するタイプでありながら、相手との間の壁を楽々と乗り越え、仲良くなるのが上手なのです。穏やかなスバルとは対照的に、たっくんの言葉は少々乱暴で行動はアクティブでトリッキーでスポーツ万能。
「オレについて来い」なんていうカリスマ性にスバルは憧れました。家でもたっくんの話をよくするようになりました。
自分を見失ったスバル
ある日、いつものように下校時間にお迎えに行くと交流学級のクラスメイト数人とスバルが一緒にいました。しかしなんだか様子がおかしく、慌てて近づくとスバルは「走ろうぜ」「オレについて来い」「オレはA組(特別支援学級)のスバルだぜ!覚えておけ!」「ボールは友達」と脈絡なく言葉を並べていました。
このセリフはたっくんがよく使うセリフでした。
スバルの顔は焦っていて、交流学級のクラスメイトたちの顔は戸惑っていました。その状況から仲良くなろうと話しかけたもののうまくいかず、友達づくりが上手なたっくんの真似をした……というのが手に取るように分かりました。
もちろんたっくんは脈絡なくこのセリフを言っているわけではなく、前後に文脈があってこその決め台詞として使っています。
脈がない相手に挽回しようと更にしつこくしてしまうスバルとは違い、たっくんは相手に脈がないと感じた時の引き際が上手なのです。
セリフだけ真似しても、スバルとは何もかも違うたっくんのようにはなれないのです。私が声をかけると、交流学級のクラスメイトたちはほっとした表情で帰って行きました。スバルは焦った表情のまま2、3歩追いかけ、立ち止まり「帰ろっか」と私の手を握りました。
Upload By 星あかり
スバルらしく
私は言葉を選びながら「幼稚園の時の仲良しの友達も、公園で意気投合して2時間も遊んだあの子も、誰の真似もしていないスバルのままで好きになってくれたんだよ」