運動会や発表会などの行事を嫌がるわが子。欠席する?練習だけ参加?悩むときの対応のポイントは【公認心理師・井上雅彦先生にきく】
できるだけ本人にとって楽しく練習できたという経験を積み重ねて、本番に備えられるといいですね。
例えば、まずは一部分、お子さんが現時点でも無理なくできる場面から練習に参加し、参加できたことを認めたり褒めたり一緒に喜んだりしていきます。そこから少しずつ参加できる部分を増やしていけるといいと思います。
毎年の行事については、学年が上がるとともに参加できる幅が広がっていくお子さんも多いものです。毎年経験するうちに、流れの見通しを持てるようになったり、本人がとれる対応の選択肢が増えたり、自分なりの参加の仕方が分かってきたりするためです。その意味では、やはり就学前から小学校低学年くらいが、親子共に大きいお悩みになっていることが多いかもしれませんね。
お子さんも成長していきますので、次につなげるためにも無理をしすぎず「良かった・楽しかった」で終われることを優先してみてもいいのではないでしょうか。
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まとめ
お子さんによっては、普段と違う慣れない状況そのものが不安だったり、感覚特性により集団活動の負担が大きかったり、活動のルールが分からず参加しづらかったりすることもあります。
行事や練習への参加を嫌がる場合には、「参加する・しない」の選択というよりは、嫌がる理由を聞いて、参加しやすい工夫を考えていくことが大切です。先生と連携しながら「少しサポートがあればできること」の幅を少しずつ増やしていけるといいでしょう。
支援や工夫がないままに“無理やり”参加ということになると、お子さんにとっては「嫌だった経験」となり、次の行事も前向きに考えにくくなるかもしれません。環境調整やさまざまな工夫をすることによって参加しやすくなることや、部分的な参加でも「良かった・楽しかった」経験になると、お子さんの自信につながります。
園や学校での行事は、やはり先生との連携も必要になってくるため、お子さんの嫌がる様子がみられるときには、家庭だけで抱えずに先生に相談することも大切です。(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。