子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」
誰もがいろいろな人に助けてもらって生きている。「自立」するということは、人の力を借りないことではなく、むしろ、「うまく人に助けてもらう」ことなのです。そして、そのときに必要とされるのは、自分の置かれた状況を自分の言葉で語って助けを求める、それこそ「自己表現力」ではないでしょうか。
話を聞いてもらった経験が多い子どもだけが、話を聞ける子どもになる
その自己表現力を伸ばしてあげるためにも、子どものもっとも身近にいる大人である親が子どもとしっかりコミュニケーションを取るべきです。きちんとコミュンケーションが取れるということは、その時点で良好な関係ができていることでもあり、親子間の「応答性」が育っているということになる。
ひとりがしゃべって、もうひとりはずっと黙って聞いている。こんなものはコミュニケーションでもなんでもありません。コミュニケーションとは、相互が話して聞く、応答を指すもの。
その応答によって互いを知り、感情を共有したりするなかで、子どもの自己表現力が養われていきます。
でも、残念ながら、それができていない親御さんも目立ちます。ここで、わたしがスーパーで目撃した出来事を紹介しましょう。お母さんが、「今日は好きなアイスクリームを食べていいから、決めておいてね」と言って、アイスクリームボックスの前に子どもを置いていきました。子どもはブツブツとなにやらひとりごとを呟いています。ちょっとだけ耳を傾けてみると、「どうしようかな、バニラにしようかな、チョコにしようかな」と悩んでいるようです。しばらくして、「よし、バニラにしよう」と言った。決まったのかと思いきや、今度は「コーンにしようかな、カップにしようかな」とまた悩んでいる(笑)。
そして、「カップはけっこう食べているからコーンにしようかな」「コーンにしてチョコをトッピングすれば両方食べられるな」なんてことを言っているところに、お母さんが買い物を終えて戻ってきた。すると、お母さんが言いました。「なにやっているの!まだ決まらないの?じゃ、これでいいでしょ」と。そんなことでは、いままで子どもが悩みながら考えていたことが一瞬でパーです。
子どもの頭がいちばん働いているのは、悩んで考えているとき。親は子どもとしっかりコミュニケーションを取って、その考える時間を保証してあげる必要がある。それが、自分の考えをしっかり表現する力のみならず、「自己選択」