旅先での行動は“ 親子別々” に。“親の不在” が深める子どもの「自信」
ところが、そういうときに親はつい謙遜してしまいます。大人の社会ではあたりまえの謙遜ですが、子どもが褒められたときに限っては絶対にNGです。
これにはわたしの反省も込められています。息子ひとりでそば打ち体験プログラムに参加したときのことでした。終了後、指導してくれた人に「お子さん、本当に頑張っていましたよ」と褒められたのに、わたしは「ご迷惑をおかけしなかったですか」とつい言ってしまった。すると、息子は「僕はひとりで頑張ったのに、ママは全然わかってない!」と激怒したのです。それこそ子どものプライドを傷つけることになり、自己肯定力を高めるどころではなく、深く反省しました。
旅先で子どもが褒められたのなら、「ありがとうございます」と素直にただお礼を言って、子どもには「褒めてもらえたね、良かったね」と言ってあげる。
そうして子どもの自信とよろこびを深めてあげるようにしましょう。
親がいない世界で子どもは素顔を見せる
また、子ども対象のプログラムを利用する際に、親がついて行ったりすることは、わたしはおすすめしません。子どもがよろこぶ顔を見たいとか、写真を撮りたいと同行する親も多いようですが、それなら親子一緒に参加するプログラムを選べばよいのです。子どもだけが対象のプログラムに親が同行することは、先にお伝えしたメリットを失うばかりか、デメリットをもたらします。
子どもは、親の前では無意識のうちにどこか自分の役割を感じながら行動していることも多いと感じます。たとえば兄弟なら、上の子どもは無意識に「お兄ちゃんらしく」振る舞おうとして、本来したいことを我慢してしまう。子どもなりにストレスを感じることもあるでしょう。
ところが、親がいない、まわりが自分の日常を知らないなかでは、役割から開放されお兄ちゃんも意外にやんちゃな一面を見せたりすることもあります。
まさにそれは、その子の素顔ですよね。他にも、参加している子どもたちが、素直な姿で本当に好きなものを見つけられるように、子どもだけの世界に浸って集中できる環境にしてあげることも大切だと思うのです。
『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ 旅育BOOK』
村田和子 著/日本実業出版社(2018)
■ 旅行ジャーナリスト・村田和子さん インタビュー一覧
第1回:子どもの人生は“旅”で幸せになる。いまの時代こそ親子で旅に出るべき理由
第2回:旅先での行動は“親子別々”に。