【状況別】「早く!」の代わりに使いたい “魔法の言葉”
時間に追われているときや心に余裕がないとき、マイペースに行動する子どもの姿を見ると、イライラして「早く!」「もっと急いで!」と強めに言ってしまうことはありませんか?
本当は「早く!」なんて急かしたくない、大人の都合で子どもを振り回したくない、わが子のペースを優しく見守ってあげたいのに――。今回は、そんな悩みを抱えるすべての親御さんに向けて、「早く!」を言う前にできること、そして「早く!」の代わりに使いたい声かけ例をいくつかご紹介します。
「早く」という言葉は子どもの自己肯定感を下げる
朝出かける前にノロノロと準備していたり、予定が詰まっているのに寄り道しながらゆっくり歩いたりと、子どものマイペースさにイライラする親御さんは少なくないと思います。そしてつい、「早く早く!」「急いで!」と子どもに言ってしまうのではないでしょうか。
しかし、「早く!」と言いすぎると、子どもの人格形成に影響を及ぼすことがあるようです。発達心理学を専門とする白百合女子大学教授の秦野悦子氏は、「『早く!』という言葉がけは、子どもの自己肯定感を下げてやる気を奪うだけ」と苦言を呈しています。幼児期は「自分でやりたい!」という気持ちが高まりますが、当然ほとんどのことは上手にできません。それなのに、具体的なアドバイスをすることなく、「早くして!」「急いで!」と言い続けてしまうと、子どもの自主性や自己肯定感は育まれないのだそう。
それ以外にも、「自分で考えなくなる」こともデメリットとして挙げられます。家庭教育研究家の田宮由美氏によると、「『早く』『急いで』と言われると子どもは考える余裕を失い、とりあえず親に急かされている行動を終わらせることのみを考えるようになる」のだそう。その結果、勉強なども落ち着いて取り組めなくなり、自分で考えること自体が苦手になってしまいます。
また、「早く!」と言われすぎると「指示待ち族になる」と述べるのは、家族カウンセラーの宮本まき子氏です。「『早く!』のあとは、たいてい『〇〇しなさい!』と親の要求や指示、命令が続く」と宮本氏が指摘するように、結局「早く〇〇してほしい」のは大人の都合。子どもが思い通りに動いてくれないことに、親がいらだちを感じているだけなのです。そして親の指示や命令に従ってばかりいると、子どもはいずれ自分で考えて行動を起こすことが困難になってしまいます。