【産婦人科医監修】サイトメガロウイルスとは?妊娠中は注意が必要?感染経路や母子感染のケースも紹介
ごくまれに、流産や死産にいたる重篤なケースも発生します。
出生時に無症状であっても、成長してから難聴や精神発達遅滞、視力障害が起こる場合もあります。とはいえ、抗体を持たないママがサイトメガロウイルスに感染する確率は1~2%と低く、胎児に先天性感染が起こるのはそのうちの40%です(※1、※3)。胎児がサイトメガロウイルスに感染してもほとんどは症状もなく正常に発達するので、心配しすぎないことも大切です。
赤ちゃんへの感染はエコーでわかる?
エコー検査で胎児に小頭症や脳内石灰化、脳室拡大といった頭部の異常が認められた場合、先天性サイトメガロウイルス感染症が疑われます。
胎児腹水、肝脾腫も典型的な症例となるため、エコー検査でこうした所見がみられたときは、ママの血液による抗原検査が行われます。
サイトメガロウイルスの感染経路は?
サイトメガロウイルスは唾液、尿、血液、精液、腟分泌液などに含まれ、唾液による飛沫感染、キスや性行為、輸血などで感染が広がります。授乳や分娩で母子感染が起こることもあります。
子どもが感染しやすいのは、ほかの子との接触機会が多い幼稚園や保育園です。外で感染してきた子どもの世話をしているときにママが感染するケースも見られるため、兄弟がいる家庭の妊婦さんは注意が必要です。
一度ウイルスに感染すると、ウイルスは数年にわたって体内に居座り続け、尿や唾液中に排出されます。症状がなくても感染させるリスクは続くので、普段から感染しないように心がけるようにしましょう。
サイトメガロウイルスの検査方法は?
サイトメガロウイルス感染の検査方法はいくつかあり、検査時に感染しているかを調べる「抗原検査」や「PCR検査」、過去に感染したことがあるかを調べる「抗体検査」を症状や目的にあわせて実施します。検査の検体には血液、唾液もしくは咽頭ぬぐい液、尿が用いられます。
先天性サイトメガロウイルス感染症が疑われる赤ちゃんに対しては、生後3週間までに尿や血液を採取し検査を行います。検査の結果、さらに詳しい検査を必要と判断されれば、頭部超音波やCTを使った脳画像検査、聴力検査、眼底検査により症状の有無調べ診断を確定させます。
サイトメガロウイルスの治療法は?
ウイルスに感染してもほとんどの場合は無症状のため、治療は必要としません。軽い症状があったとしても、免疫が働き自然治癒します。