配偶者控除の変更でママたちがお得になる働き方5パターン
手取りを回復させるには、妻はおおよそ年収123万円まで働く必要がある。
「ただし、106万円でセーブすると、収入として足りなくなる場合も。結局、子どもが大きくなってからのことを考えて、壁を越えて働こうというママが増えている印象です」
(3)妻がパート勤務。年収130万円で社会保険に加入する場合
(2)と同様、妻の年収が105万円超から201万円までは、配偶者特別控除の適用によって、変更前に比べて手取りが増加する。
しかし、妻の年収が130万円になると、夫の社会保険の扶養から外れるため、世帯の手取りは減少してしまう(「130万円の壁」はこれまで通り)。
「このケースで手取りが回復するのは、150万円強働いた場合です。つまり130万円~150万円強までが手取が減少に転じるゾーンになります」
(4)夫が会社員で、妻が個人事業主の場合
妻がプチ起業などで個人事業主になっている場合、協会けんぽでは扶養の基準を収入ではなく「所得」(注2)で判断することになる。
所得130万円未満であれば、社会保険上の扶養に入ることができる。
そのため所得が130万円以上になると世帯手取は減少する。なお、扶養の認定基準は保険者により異なるので、夫の勤め先の健康保険組合に尋ねよう。
(5)夫が個人事業主の場合
妻がいくら働こうと、何の壁もない。むしろ妻が社会保険に入ったほうが、世帯所得が増えるケースが多い。
「大切なのは、何を優先するか。例えば、パートで働きながら、『年間〇万円を超えないように、年末は休む』などとしていると、大切な仕事を任せてもらえないかもしれません」
せっかく働いた分を社会保険料でもっていかれたり、手当がカットされたりするというのは、悔しいもの。でも、長期的にキャリアアップを考えるなら、「壁」にとらわれず、「未来への投資」と思うことも必要かも。
(取材・文:田幸和歌子編集:ノオト)
注1:配偶者特別控除とは、配偶者控除が受けられない場合であっても、配偶者の所得に応じて、一定額の所得控除が受けられる制度。
注2:所得とは売上から必要経費を引いたもの。
※図版はいずれも小谷さん提供