「あなたはもう読んだ?」現代の子どもたちに必要な一冊とは
・自分のあやまちを認めることはつらい。しかし、あやまちをつらく感じるということの中に、人間のりっぱさもある(同)
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なんだか、あまりフェアでないことにかかわっていたのは明らかなのに「かかわっていない」「記憶にない」と言い張り自分のあやまちを認めようとしない今のわが国の要人たちの姿が思い浮かびませんか。
彼らに比べたら自責の念に駆られて学校にも行けなくなってしまうコペル君は数段立派なのではないでしょうか。
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以上、いかがでしたでしょうか?
『君たちはどう生きるか』には今回筆者が取り上げた2つの“普遍”のほかにも、今の時代を生きるわたしたちパパ・ママと子どもたちが一緒になって考えてみるべき哲学的なテーマ がぎっしりと詰まっています。
哲学というのは“道徳”とは違います。道徳は誰かがある特定の価値観に基づいて作った“教育の指針 ”です。
しかし、哲学というのは一切の前提条件なしにどんな人にも当てはまる事実について考える“論理の体系”ですので、普遍性という意味でその質が違います。
この物語が現代の子どもたちの心に響いてやまない理由は、「哲学を語れなくなってしまった今の大人たちに代わって、それを語ってくれる物語だから」です。
お子さんたちだけでなく是非パパやママのみなさんにも一度読んでいただきたい一冊 です。
●参考文献
『君たちはどう生きるか』吉野源三郎・著、ポプラポケット文庫、2011年
『君たちはどう生きるか』吉野源三郎・著、岩波文庫、1982年
『漫画君たちはどう生きるか』吉野源三郎・原作、羽賀翔一・漫画、マガジンハウス、2017年
●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
●モデル/大上留依