子育て情報『ジブリの宮崎駿も経験? 思春期に発症しがちな「中二病」の症状と克服法』

ジブリの宮崎駿も経験? 思春期に発症しがちな「中二病」の症状と克服法

実際に宮沢賢治はその書簡の中で「自分のそういった“絶対的真理”は存在するみたいな思考は、ある意味中学生が考えるようなものだ」という趣旨のことを書いているほどで、斎藤環先生は『賢治は自分が中二病であることを自覚していた』と分析しています。

ただ斎藤先生は、このような“中二病的世界観”に潜んでいる危険性についてもさまざまな機会に述べていらっしゃいますので、次の章ではその点について少し触れておきましょう。

●“唯一絶対の真理”という発想は生命論的ファシズムと親和性があり、危険性を孕む

「自分は万能であり、この世には“絶対的な真理”というものが存在する」。

中二病のこのような世界観はある面で生命論的なファシズムと親和性があるため危険性がある、と斎藤環先生は言います。中二病の男の子は、他人の忠言などには一切耳を貸しません。

ただ自分の美意識があるのみで、自分の美意識は絶対です。これは、政治思想史でいうところの『ファシズム』 と呼ばれるような独裁的で排他的な思考様式・政治手法の根底をなすものであると、斎藤先生は精神科の医師として指摘します。

このような幼稚でひとりよがりな性格は、アニメーション映画やポピュラー音楽、童話作品といった枠の中に収まっている限りにおいてはまだいいのですが、それが政治家のような権力を持った大人に発症した場合にはタチが悪い ため、治療方法だけは見つけておいたほうがいい、というのが斎藤環先生の考え方で、筆者もそのご意見には全くもって同感する次第であります。


●中二病の男性は“女性との恋愛”を経験することによって自然と治癒する

そこで斎藤環先生が言う“治療法”なのですが、先生によれば『男子の中二病は女性に恋愛感情を持ち、女性との恋愛を経験することで自然と治癒するケースがほとんど なので、特殊な症例を除けばそんなに心配することはない』というのが(意外と楽観的なのですが)結論のようです。その例として、斎藤先生は2013年公開の宮崎駿監督による長編アニメーション映画『風立ちぬ』の話をしています。

すなわち、自分が設計している飛行機が戦闘機であることさえ忘れてその機能美の追求に没頭する堀越二郎は、宮崎駿監督自身で中二の男子そのもののような自己愛を飛行機にダブらせているわけですが、その宮崎監督でさえ、戦闘機よりも里見菜穂子という二郎の恋人で後に妻となって早逝する女性の方をより美しく描きました。

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