点取り屋がいなくなって決定力ガタ落ち、今いる選手で何とかして優勝する方法を教えて
そんな姿を目指しませんか。
■ふと気が付いたら、上手くなっていたと実感することが理想
「池上さんのところの練習、子どもの声しか聴こえませんね」
私が主宰するスクールに見学に来られた方たちがよく漏らす感想です。なぜ大人の声が聴こえないか。それは、子どもたちの課題に対しオーガナイズした練習を行ったうえで、子どもたちのプレーから習熟度や理解度を観察しているからです。もう少しストレス(レベル)を上げたほうがいいのか。下げたらいいのか。次のオーガナイズに向けてコーチたちは考えています。
さらにいえば、子どもたちが練習を遊びのようにとらえているか?私はそこも気になっています。
私たち大人はどうしても、こんなことができるようになってくれたらと願います。
そして、そこに向かって練習させます。しかし、実はそうではなく、子どもたちがもっと自由に感じて、判断できる空間を目指したいと思っています。
子どもたちが「ふと気が付いたら、うまくなっていた」と実感してもらうことが理想です。
■今のやり方で優勝できたとしても、問題点は解決しない
また、相談文には「優勝」という文字がたくさん出てきます。しかしながら、今のやり方で優勝できた先には何があるのでしょうか?恐らく、優勝したとしても、問題点は全部クリアになっていないでしょう。
ご相談文によると、決勝まではいくけれど、終了間際に失点して優勝を逃していることに触れられています。なぜそうなるのか?とゲームの流れだけに注目してしまうと、精神論になりがちです。
最後までやり切る精神力がないとか、体力とかの問題にされると、自然と長時間練習になってしまうこともあります。
しかし、スポーツ心理学の本などで最新の学びを得ると、そのような根性論ではないことがわかります。
■試合ごとに一つの課題を追いかけることの方が意義がある
育成年代は、試合ごとにひとつの課題を追いかけることのほうが意義があります。例えば、すごく高い位置でボールを奪ったのに、どうしてシュートにいけなかったのか?そんなところに注意を向けてあげて、次に成功させるための練習を積む。そんなふうにひとり一人の成長につながる練習ができたら、子どもにとってプラスになります。
例えば、育成王国と言われるオランダは、チームでの成績に一喜一憂しないことをコーチに求めます。それよりも、個人個人のつながりやサッカーの成り立ちをいかに理解するか。