「サッカー少年少女の親として何より大事なのは、子どもをプロにすることではない」 昌子源選手の父・昌子力さんが語る親の心得
と、昔ならそんなカミナリ親父が怒る姿が日常でした。どうやったら許してもらえるのか?どうしたらそもそも怒られずに済むのか?いろいろ知恵を働かせたものです。サザエさんじゃないけど、あんな世界が今はもう全くないですもんね。
でも昔はそれなりにちょっと駄目もとでやってみようかなって思えたんです。子どもの頃からの積み重ねで、やってみて失敗もしたけど上手くいったという成功体験があるからとにかくやってみようかという思いも湧いてくるんでしょうけど、それすらもなくなってしまったという印象です。
それは何か行動を起こすたびに誰かに何か言われるような社会になったからだと思うんですよ。加えてそれは年齢の逆転現象もあると思います。大人も若者を注意しなくなりました。
だから余計に考えなくなったのだと思います。
■関わりすぎるな=放っておけという意味ではない
親が関わり過ぎるな、というのは子どもを放っておけ、という意味じゃありません。7、8年ぐらい前に「親は手をかけすぎないで」というテーマで、ある小学校のPTA向けの講演に伺ったとき、その時女性の校長に聞かされたのですが、画板持参で校外写生大会をすると知った親がその前日に集まってみんなで公園を掃除したというんです。
なので、写生をしようと公園に行くと何も落ちていない。先生としては子どもたちに落ち葉やいろんなものをそのまま見たり感じたりしてほしいのに。保護者にどうして掃除したんですかと聞くと、「うちの子が葉っぱに足を取られ滑って転んだらどうするんですか?」と逆に平気な顔で言われたそうです(笑)。
びっくりしてね。そんなふうだから、気持ちが一度折れると立ち上がれない。
やっぱり失敗経験がないと打たれ弱くなってしまうだろうなと感じました。
■「先生はどんな答えを求めているんですか?」と聞く生徒が増えた
――何が原因でそうなるんでしょうね。
先日高校の先生と話をしていたら、「先生はどんな答えを求めてるんですか」とか「どんなこと言ったらいいんですか」と、そんなことを質問してくる高校生がいると。本当ですか?と聞くと、そんな生徒が増えたというんです。相手を不愉快にさせないで、相手が求めていることにちゃんとストレートで答えてあげたい、そういう気持ちから出た行為にも見えますけど、そんなのは大人になってやればいいことで、子どものときにそんなふうに考えなくてもいいのにな、と思います。