「サッカー少年少女の親として何より大事なのは、子どもをプロにすることではない」 昌子源選手の父・昌子力さんが語る親の心得
そのために指導者の「観る」という能力がすごく問われるんじゃないかなっていうのは、大学生を指導する場合もそうですが、最近小中学生を観ていてより一層思いますね。
子どもの時にやるべきは、ボールを扱うこと、神経系に刺激を与えること、と言われますが、刺激を与えるというのは何もボールを触ることだけではないんです。ボールがあろうがなかろうが周りを見るとか、自分がどうあるべきかなって、その「考える」ことそのものに意味があると思うんです。
ボールを触る=神経系への刺激=少年時代に必要なことだとか、ドリブル=少年に必要なことだとか言われますが、私はキック練習だって神経系刺激の一つだと思っています。やっぱり小さいときにちゃんと(足で)捉えるフィーリングを養っておかないといけません。
近年、キックが上手くない子がすごく多い気がします。高校年代になると、やっぱりキックの質の差が如実に個人差、チーム差になっていると思います。ましてや日本代表レベルなんて、速さと上手さに加えて正確性が必要ですから。
■なんでもルール通りきっちりやるのではなく、時に余韻を楽しむこと
現在私が代表を務めるロヴェスト神戸は先代の代表者が「ドリブルのロヴェスト」と言われたいと、ずっとドリブルを主体にやっています。私もそれを否定はしませんが、ドリブルと同じくらい他の何かを付け加えないといけないと考えています。ドリブル主体のチームあるあるで、ボールが足元に来て「さあ、サッカーが始まるぞ」みたいなことが多くて......。
ですから5割以上とは言いませんが多少はボール操作力と合わせてキック、そして飛んできたボールのワンタッチコントロールにも注力すべきだと思います。例えば飛んできたボールをコントロールしてからドリブルドリルを開始するとか。ファーストタッチで最初のドリブル操作へスムーズに移行させるコントロールをしないと実践的ではない訳です。
指導者も先入観や、思い込みを捨てて常に「なぜだろう、どうしてこうなるんだろう」というところを持っていないと、子どもたちに刺激を与えられいないと思うんです。
課題を与えられて挑戦し、成功もするし失敗もする。
うまくいったら、「ナイス、いいぞ!」ともっと褒めてあげたらいいのにとある指導者に言うと、「次の順番を待っている子のことが気になって、一人ひとりの子どもたちを観れていない」と言ってました。