「話さないやつにはパスは来ない」松井大輔さんが語る、海外で活躍するために大事なコミュニケーション力
華麗なドリブルを武器に、世界の強豪と渡り合った松井大輔さん。2010年の南アフリカワールドカップで、日本中を熱狂させた彼の足跡は、多くのサッカーファンの記憶に刻まれています。
そんな松井さんは京都サンガやジュビロ磐田、横浜FCなど、Jリーグでの活躍はもちろん、フランスのル・マンやグルノーブル、ロシアのトム・トムスク、ブルガリアのスラビア・ソフィアなど、6カ国13クラブでプレーしました。
現在、松井さんは自身の経験を次世代に伝えるべく、サッカーコーチとして新たな挑戦を始めています。
今回のインタビューでは、松井さんに「将来海外でプレーするために、小学生年代にしておきたいこと」をテーマに語っていただきました。
語学力の重要性、文化適応の秘訣など、実践的なアドバイスは、若い選手の道しるべになるでしょう。
(取材・文鈴木智之、写真:新井賢一)
(C)新井賢一
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■話さない選手にはパスは来ない
松井さんは、海外でのプレーを目指す若い選手に対し、現在の環境で最善を尽くすことの重要性を強調します。
「まずはなにより、今いる環境で、しっかりと自分のプレーをすること。
日本サッカー協会の育成システムはしっかりしているので、才能ある選手は必ず見出されます。クラブもスカウトを通じて、小学生の段階から優秀な選手を探しています。焦って海外に行こうとするのではなく、日本で実力をつけてからでも、遅くはないと思います」
松井選手が海を渡ったのは、23歳の頃でした。最初の行き先はフランスです。
「やっぱり、語学は大切だと感じました。サッカーはボール一つあれば誰とでも交流できますが、言葉ができれば、さらに深いコミュニケーションが取れます。僕はフランスに8年いたので、日常会話には困らない程度でしたが、最初の1年間は集中的に勉強しました。チームが家庭教師をつけてくれて、その後は自分で雇って学びました」
サッカーはチームスポーツであり、コミュニケーションが重要です。
海外では、自己主張しなければ、いないものとみなされる傾向があります。「チームメイトと会話をして仲良くならないと、なかなかパスがもらえません。