子育て情報『英語を始めた年齢よりインプット量が脳に大きく影響「世界に先駆けた大規模な研究でわかったこと」』

2023年2月28日 11:00

英語を始めた年齢よりインプット量が脳に大きく影響「世界に先駆けた大規模な研究でわかったこと」

1〜3年生の子どもたちを3年間追跡調査し、英語学習経験の長さや英語力で子どもたちをグループ分けして比較しました。

<実験の結果、わかったこと>
1,英語の習熟度に応じて脳活動が変わっていく。
2,英語学習の開始年齢は、日本人小学生の場合、単独で大きな効果を持っているわけではない。
3,学習開始年齢よりも、トータルで何時間英語を学習してきたのか、ということのほうが脳活動に大きく影響していた。

この結果を踏まえて、「日本で英語を学ぶ子どもの場合、学習開始年齢が早くても、必ずしも英語にたくさん触れてきたとは限りません。(中略)英語を外国語として学ぶ日本では、英語に触れる時間をたくさん確保できなければ、早くから学び始めたことの効果は出てこないと思います」と話す尾島教授。
では、もし小さいころから大量の英語に触れ続ければ、遅くから学び始めた人と何か違いが出る可能性はあるのでしょうか。尾島教授によると、最終的に身につく知識やスキルの種類が変わってくる可能性はあるとのこと。
特に違いが出やすいと考えられる側面として、日本語を話す人にとって難しい音素の発音や聞き取り、自然なイントネーション、会話における形態素(例:三単現のsなど)の正確な使用が挙げられました。

■ おわりに:「おうち英語」のカギは、大量のインプットか
早期英語教育にどのような効果があるかは、第二言語習得の研究だけに基づいて結論づけることはできません。英語が日常的に使われる環境(英語が第二言語の環境)で育つ子どもと、そうではない環境(英語が外国語の環境)で育つ子どもでは、多くの違いがあるからです。
年齢の影響に関する先行研究や尾島教授の研究から、日本で早くから英語に触れ始めた子どもが英語力の面でほかの子どもと差が出るとすれば、それは「年齢」ではなく「大量のインプットから無意識に学ぶ環境」の影響である可能性が高いと考えられます。その意味で、英語を理解したり使ったりするときに生じる無意識レベルの反応を調べることは重要であり、英語学習経験の異なる日本の子どもたちを対象にした脳科学的研究は、世界的に見ても貴重なものです。
日本国内で日本語を話す親のもとで生まれ育ったにもかかわらず、高い英語力を身につけている子どもたちはいますが、その実態はまだ十分に明らかになっていません。ほかの子どもたちと比べたときや大人になったときに具体的にどのような能力の違いがあるか、もし違いがあるとすればどのように学んできたのかなどの疑問について研究を進めることは、日本における早期英語教育の意味やあり方を考えるうえで不可欠です。

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