コンサートが開ける家ピアノの練習だけでなく、 レッスンも自宅で存分に。
さらにまたこのカーテンは楽器の響きを調整するための装置でもあるという。「正面にある壁と正対しているため反響があります。そこで一方の壁にカーテンをかけることで音の響きを調整することができるようにしたんです」(岸本さん)。
左奥の先にエントランスがありそのレベルからピアノ室は3段下がっている。奥の壁とピアノの上の天井は反響を避けるためにフラットにせず傾斜させている。
24脚置かれたセブンチェア。大谷さんはこの椅子が気に入りプライベートスペースのほうでも使うことに。天井にはロックウール吸音板を張っている。
コンパクトな中でつくる距離感と一体感
2階の居住スペースは約55㎡(ロフト含まず)。大谷さんのお母様と2人の息子さんとの4人家族のためのものとしてはかなりコンパクトだが、大谷さんは「ほどよく居場所が離れている」という。「寝室に向かう途中に3段の階段があって、ワークスペースとは仕切りもないんですが、ダイニングキッチンとうまく距離が保てているのでいいですね」と話す。
これは「とてもコンパクトな面積の中で狭さを感じさせないために」行った岸本さんの建築的工夫によるもの。「仕切りをできるだけ設けずに床の仕上げを変えてそこに丸柱を立てたり、スキップフロアをつくったり」