鏡リュウジさんの意外な「運命」の考え方が明らかに。
「運命的な出会い」や「悲しい運命」…なんていう風によく使われる「運命」という言葉。でもこれってそもそもどういうもの?本当にあるの?心理占星術研究家の鏡リュウジさんは、こんなふうに考えているのだそう。
***
太古より、人々は運命を論じてきました。そして、それに深く関わってきたのが占星術。どちらも、時代とともに移り変わってきたものです。星の動きは運命を決める自然秩序であり、人間はそれに従うべきとされた中世。
やがてルネッサンス以降は、人間の意思も運命に影響を及ぼせる、という考えが広がります。さらに20世紀の初頭になると、運命は自分の中にあり、自分を知ることが運を好転させるカギ、という思想が主流に。現在の、心理占星術の誕生です。運命は定められたフェイト(宿命)から、そこに向かって努力するためのデスティニー(目的地)へと変わり、人々はより積極的に運命と関わるようになります。
けれど、こんなことを言ったら驚かれるかもしれませんが、個人的には、運命というものが本当に存在するかはわからないと考えています。なぜなら、たとえ何かで運命が変わったとしても、人はもうひとつの人生を生きることができないからです。