2018年2月20日 22:00
書くのが「しんどかった」シーンも…男女4人の悲劇、村山由佳の新作
でも、それも世の中のどこかで実際に起きていることだからと、覚悟を持って書きました」
一方、秀俊には親以外に面倒を見てくれた九十九(つくも)という男がいる。実は彼は極道。九十九に助けを求めたことから、秀俊はこの男の呪縛から逃れられなくなる。
そして20年後。傷を抱えながらもそれぞれの人生を歩む彼らに、再び悲劇が。彼らはそれと、どう向き合っていくのか。
「ご都合主義の救いも書きたくないし、大山鳴動して鼠一匹、ともしたくなくて。彼らのその後に寄り添って、きっちり最後まで書かなければ、という思いで書き進めました」
意外な事実も判明、スリリングな展開の後半では、九十九の運転手だった近藤という男もキーパーソンに。
「女性はだいたい秀俊派か近藤派に分かれますね(笑)。タイプは違うけれどそれぞれ男気があるんですよね。それは女性側からすると要らない強がりだったりする。それもむしろ愛しいなと思いながら書きました」
村山さん自身は「実は私は山田・佐々木派(笑)」。この二人の人物が何者なのかは、読んでご確認くださいませ(きっと驚くはず!)。
むらやま・ゆか作家。‘93年『天使の卵-エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。