2018年9月28日 19:30
ある誤報が家族の運命を変えた…物議を醸した注目作『運命は踊る』
―いまのスタイルを確立させるために映画を研究し続けている印象を受けますが、これまでに監督が影響を受けている人や作品があれば教えてください。
監督
影響を受けた映像作家たちを挙げたらきりがないんですけど、イングマール・ベルイマンやアンドレイ・タルコフスキー、スタンリー・キューブリック、黒澤明。それから、哲学や文学の分野だと、ニーチェやカフカ、村上春樹など、とにかく大勢いますよ。
映像作家というのは、自分の内面世界や視点だけでなく、先人たちの影響というのも合わさって何かが生むことができるのだと思っています。たとえば、撮影中に感じるのは、「アクション!」と言った瞬間に自分の世界が産声を上げますが、その瞬間に周りの世界は止まってくれていて、「カット!」と言ったところで、世界がふたたび動き出すような感覚があるのです。
―そもそも映画の道に進んだきっかけはどのようなものでしたか?
監督
幼い頃、テルアビブ近郊の小さな町に住んでいましたが、私の父は俳優になりたいと思いながらバスの運転手をやっていました。そのバスというのが、中心街にある映画館に行くためのバス。そのおかげで私もタダで映画が観ることができたので、西部劇やモンスターもの、カンフー映画など、父にはいろんな映画に連れて行ってもらいました。