2018年11月5日 20:40
時代が変わっても悩みは同じ!? 江戸の人々を活写した短編マンガ集
過去の作品を改めて読み返してみると、ヘタなりにいろいろ試行錯誤しているなあ、いろんなテーマに挑戦しようとしているなあ……、と。それなりに頑張ってきたあしあとがちょっと見えて安心しました(笑)」
ほかにも、子どもに交じって手習いをするワケあり女子を描いた「ふきちゃん」や、同じ反物屋に奉公していた男女の恋物語「蛙(かはづ)」など、楽しい話も切ない話もあるのだが、どれも「差配さん」に通じるようなユーモアや優しさが。浮世絵を彷彿とさせる一見すました絵柄から、こうした人間味のある感情が生き生きと発せられるギャップが面白い。
「絵柄は作品に合わせて自然に変わってきたという感じなのですが、せっかく日本髪や着物といった文化を描けるので、丁寧に美しく描けたらいいなと思います。江戸を舞台にした物語で大事にしているのは、季節感かなあ。春の夕暮れのなんか水っぽい感じとか、夕立のにおいとか、時雨の降る音とか……五感にちょっと触れるくらいの季節の気配を描けたら、と思うのですが難しいですね。でも四季を描くのは時代モノの魅力のひとつだと思っています」
人間のみならず、すべての生き物や自然の営みを豊かにとらえた物語は心を柔らかくしてくれる。